カルティエはメンズ腕時計の始まり?カルティエ タンクの誕生背景や種類・気になる値段!

監修:Onoda Koichi
2024/03/11

カルティエは、世界的に有名なジュエラーで腕時計の先駆者でもあります。

実は世界で初めて男性用の実用腕時計を生み出したブランドということをご存知でしょうか。

そんなカルティエの中でも「タンク」シリーズは、1919年から続くロングセラーでありアイコン的存在です。

今回はカルティエ タンクの誕生背景や、魅力、人気モデルとその実勢価格についてもご紹介します。

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カルティエ とは

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出典:カルティエ銀座並木通り店|https://stores.cartier.com/

カルティエのブランド創業は1847年のフランスパリで、現在では世界に冠たるウォッチ&ジュエリーメーカーのひとつです。

ジュエリー職人ルイ=フランソワ・カルティエによって創業され、その後時計製造においては現在のカルティエブランドの骨格を作った孫のルイ=ジョセフ・カルティエの時代、1800年代末よりスタートしています。

王侯貴族に愛されたブランド

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出典:カルティエ スクロール ティアラ|https://www.cartier.jp/

カルティエは1853年にはパリにジュエリーブティックを開き、世界的なジュエラーとして名を響かせ、1939年までに15カ国から王室御用達の特許状を受けるに至りました。

他のジュエラーと違った点は、紳士用のアイテムを多く手掛けてきたことです。

そしてまだ懐中時計が主流の時代でしたが、カルティエはいち早く腕時計の製造に着手し1900年代には本格的な市販化が行われました。

 

 

カルティエは腕時計製造の先駆者でもある

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ジュエラーとして長年培ってきた金属加工の技術は、カルティエの大きな強みとなっていました。

カルティエはまだ腕時計という概念が浸透していなかった1900年代初頭に、航空家アルベルト・サントス=デュモンの「飛行機の操縦中に手を離さず時間が見たい」という依頼に応え、1911年に腕時計「サントス」を誕生させました。

この「サントス」こそがカルティエで、実用的な男性腕時計の第一号とされ、世界的なブランドとしてその名を響かせるきっかけとなりました。

 

カルティエ タンクとは

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「タンク」シリーズは、1919年から続くカルティエのロングセラーでありアイコン的存在です。

スクエア型でラグとケースサイドが一体化しており、ベゼルのないことが特徴の腕時計です。

その誕生背景についてご紹介します。

 

タンクの誕生|1800年代後半時代背景

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出典:カルティエの時計作り|https://www.cartier.jp/

カルティエがタンクを作る前の1800年代後半は、産業革命の波が時計業界にも進出した時代です。

時計は芸術品から工業製品になりました。時計師という限られた人以外でも組み立てによって時計の製造が可能になり、世界中で多くの時計ブランドが誕生した時代です。

この時代、腕時計は一部の貴族のみが楽しむ装飾品でしかなく、庶民が使う実用品にまでは進んでいませんでした。

 

タンクの誕生|1900年代初頭時代背景

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1900年代初め、腕時計の時代がやってきます。

先行して腕時計の市販化を進めた有名ブランドにはカルティエとロレックスが挙げられます。

腕時計業界にカルティエが参加したのは、腕時計が装飾品から実用品へと変わっていく過渡期でした。

タンク以前に作られた腕時計には前述しましたが今も残る名作「サントス」があります。

 

 

カルティエ タンク|デザインのコンセプト

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出典:戦車のモチーフ|https://www.cartier.jp/

タンクコレクションの原型となる最初の「タンク」が誕生したのは1917年。

誕生のコンセプトとしては諸説ありますが、カルティエの創業者であるルイ・カルティエが第一次世界大戦時、記事でみた連合軍の戦車(タンク)の轍からインスピレーションを得て当時のクリエイティブディレクター、シャルル・ジャコーと共にデザインした説が有力だと言われています。

タンクのモチーフは戦車を上から見た時のデザインで、縦に伸びた2本の枠の間にラグを一体化させたデザインがキャタピラーを彷彿とさせます。

 

アール・デコの先駆け

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タンクの機能性を表現する直線的、幾何学的なデザインはアール・デコの先駆けとして高く評価され、伝説的な腕時計としてその地位を確立していきます。

アール・デコというのは1910年代半ば以降に流行したデザイン潮流のことで、それ以前の潮流であったアール・ヌーヴォーと呼ばれ曲線的だったデザインに対して直線的で無機質なデザインをさします。

ジュエリー業界でアール・デコへの変遷を牽引していたのがカルティエでした。

20世紀初頭にはカルティエはフォルムの追求に専心し、ブレスレットの線の中に時間の円を収めラグを最終的にケースとブレスレットの延長線上に組み入れることでデザインを洗練させたといいます。

この完成されたデザインがあるからこそ、現在でもタンクはアール・デコ様式を代表する時計として愛され続けているのです。

 

カルティエ独自のサイズ表記

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(画像は左からタンクソロのXL、LM、SMサイズです)

腕時計はメンズとレディースを分けて発表するのが一般的ですが、カルティエの腕時計ではそれを分けていません。

サイズの表記をSM・MM・LM・XLとし、カルティエ独自のサイズ表記の方法を取り入れることで、腕まわりに合わせて腕時計を選ぶことが可能となっています。

メンズ向けサイズでタンクの場合、LMサイズは、XLサイズよりも少し小ぶりのサイズで男女問わず使えるユニセックスサイズのことです。

ムーブメントは女性でも使いやすいようにクオーツムーブメントを搭載しています。

XLサイズは男性向けの最も大ぶりなサイズで、機械式(自動巻き)ムーブメントを搭載しています。

カルティエの腕時計はシリーズによってもサイズが異なるので注意が必要です。

 

 

タンクシリーズを代表するモデルと値段

カルティエのタンクシリーズには多くの魅力的なモデルが存在します。

その中でも代表的なモデルとその中古価格(実勢価格)をご紹介します。

 

タンクフランセーズ

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タンク フランセーズは、1996年に誕生しました。

アクセサリー感覚で着用できるシンプルなデザインで女性からの人気が高いモデルです。

タンク フランセーズはタンクシリーズの1種で、「フランスの(フランス人女性)」といった意味を持ちます。

すっきりとしたスクエア型のケースと、インデックスのローマ字がカルティエらしい上品な印象となっています。

従来のタンクの特徴を受け継ぎながら先端を斜めに切ったケース縦枠とその断面、ケースの反りに沿ってわずかにカーブした枠のラインは新しい試みです。

ブレスレットは戦車のキャタピラーを模してデザインされたと言われており、ケースがブレスレットの一部としてデザインされているのも特徴的です。

タンクシリーズには他にも「アメリカの」という意味を持つ「タンク アメリカン」や、「中国の」という意味を持つ「タンク シノワーズ」などがあります。

 

 

■タンクフランセーズLM WSTA0067

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メンズサイズのタンクフランセーズは、2016年に後継モデル「タンクMC」が誕生したことで廃番状態でしたが、このタンクフランセーズLM【WSTA0067】で復活を果たしました。

前作モデルと比較すると、インデックスのローマ数字がレリーフ状になったことで、文字板から浮き立った感じで、角度によって色味が違って見えます。

ケース・ブレスレットの形状は全体的に丸味を帯び、少しソフトな印象です。

スティール製リューズにシンセティック カボションシェイプ スピネルがアクセントとなっています。

コマとコマが隙間なく連続した一体感のあるブレスレットと、ケースがなめらかに一体化し、アクセサリーのような1本です。

実勢価格は、その状態にもよりますが70万円代〜となっています。

ブルースティール製剣型針、ステンレススティール、ケース径:36.7mm x 30.5mm、日常生活防水。

 

 

タンクソロ

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タンクソロは2004年に誕生し、2021年に生産終了となりました。現在の流通は中古市場のみですが、根強い人気となっています。

2004年といえば、カルティエを代表する世界初の腕時計とも呼ばれている「サントス」ウォッチが誕生して100周年に当たるアニバーサリーイヤーでした。

その年にカルティエがメゾンの新たな象徴として誕生したのがタンクソロだったのです。

タンクソロはそれまでのカルティエにはない一段低めの価格設定で、より幅広い一般消費者層へカルティエの魅力を知らしめることに一役買いました。

タンクルイ カルティエのデザインから現代風にアレンジされて、正面がフラットになっており、丸みのあるケースサイドとのコントラストが都会的でシャープな印象に仕上げられています。

機能は2針のみという非常にシンプルなデザインとなっているため、ビジネス・フォーマルシーン問わず存在感を放ちます。

 

 

■タンクソロ XL W5200026

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出典:タンクソロ XL W5200026|https://www.rasin.co.jp/

タンクソロ XL 【W5200026】は、ブルースティール針やローマンインデックスなど、カルティエらしいエレガントさを存分に堪能できる時計です。

自動巻きムーブメントを搭載して6時の窓に日付を表示し、インデックス7時の一部に“CARTIER”の文字を使用するなど、細部にまでこだわりが感じられます。

ケースの表側にピンクゴールド、裏側にステンレスを採用しています。
ピンクゴールドと相性が良いブラウンのアリゲーターストラップを使っており、全体の調和が見事なモデルです。

実勢価格は、その状態にもよりますが80万円前後〜となっています。

自動巻きムーブメントCAL.049搭載。ブルースティール製剣型針、ピンクゴールド×ステンレススティール 、ケース径: 40.8mm ×  31.0mm、日常生活防水。

 

タンクアメリカン

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タンクアメリカンは1930年代にカルティエのニューヨーク店が生み出したと言われている、人気の現行モデルです。

湾曲させた長方形ケースに加え、1921年 発表の「タンクサントレ」に採用された腕に沿うようにゆるやかに湾曲した縦型フォルムを継承しつつ、よりコンパクトで丸みを帯びたケースが採用され、繊細でエレガントなデザインへ刷新されているのが特徴です。

2023年、さらにアップデートされ、ラインの力強さが高められた新作モデルもコレクションに加わりました。

タンクアメリカンのケースには、ステンレススティールのほか、イエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクゴールドといった高級素材が採用されたモデルも数多くラインナップしています。

 

 

■タンクアメリカン XL W2609956

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出典:タンクアメリカン XL W2609956|https://www.rasin.co.jp/

タンクアメリカン XL【W2609956】は、ラグを含めた縦幅が50mmを超えており、他のタンクシリーズとは一線を画す存在感が魅力のモデルです。

ホワイトゴールドの程良い重みとギョーシェ彫りが施されたシルバーダイアルが上品な高級感を醸し出しています。

裏蓋はシースルーとなっており、細かな装飾の施されたムーブメントの緻密な動きを楽しむことができます。

搭載されている「Cal.191」はジラール・ペルゴの名機「Cal.3100」がベースのムーブメントです。

実勢価格は、その状態にもよりますが120万円前後〜となっています。

ブルースティール製剣型針、ホワイトゴールド、ケース径:52.0mm ×  31.4mm、日常生活防水。

 

 

タンクマスト

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「マスト ドゥ カルティエ」は、1970年代〜1980年代に製造された往年の名作です。

クォーツ式ムーブメントを多く採用したり、多彩な文字板バリエーションを加えたりといった試みによって、幅広い年齢層のファンを獲得していきましたが、2000年頃に生産終了しています。

2021年に発表された「タンクマスト」は、3種類のムーブメントを搭載した「マスト ドゥ カルティエ」の復刻版であり、比較的お手頃価格ながら、タンクの歴史的な素晴らしさを十二分に落とし込んだ銘品です。

「マスト(生活に不可欠なもの)」とカルティエ自身が称するように、エレガントな薄型ケースに丸みを帯びたラグ、そしてローマンインデックスを湛えた上品な文字板はこれぞタンクと言った完成されたデザインです。

 

 

■タンクマスト XL WSTA0040

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出典:タンクマスト XL WSTA0040|https://www.rasin.co.jp/

タンクマストXL【WSTA0040】は、カルティエの伝統を受け継いだ長方形のケースが特徴で、文字板にはブラックのローマンインデックス、ブルースティール針が配され、6時位置には日付窓が表示されています。

リューズにはブルースピネルが埋め込まれ、エレガントで高級感があり、幅広い層に人気のデザインです。

実勢価格は、その状態にもよりますが65万円前後〜となっています。

自動巻きムーブメントCal.1847 MC搭載。ブルースティール製剣型針、ステンレススティール、ケース径:41mm×31mm、日常生活防水。

 

 

まとめ

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カルティエ タンクは100年以上の歴史を持つ、完成されたデザインであり、今もなお愛される伝説の腕時計ということがわかりましたね。

カルティエの腕時計のパイオニア的な存在がサントスで、さらに機能美に対するデザイン思想を一般化させ、実用性を不可させたのがタンクという流れではないでしょうか。

その芸術品のような美しさは男女や年齢を問わず、多くの人々を魅了し続けています。