ロレックス エクスプローラーIIの魅力・特徴を徹底解説!
エクスプローラーは「探検家」という意味で名付けられたロレックスのスポーツモデルであり、その名のとおり、探検家のために開発された堅牢な時計です。
エクスプローラーIIはエクスプローラーIの上位機種とされていて、初代モデルが誕生したのは1971年と約53年も前ですが、進化し続けるこだわりのロレックスとして人気を博しています。
今回はそんなエクスプローラーIIの魅力や特徴、エクスプローラーIとの違いについてご紹介していきます。
エクスプローラーIIとは
エクスプローラーIIは、エクスプローラーI の機能性と堅牢性を高めた上位機種です。
先に誕生したエクスプローラーI は1953年に人類が初めてエベレストの登頂に成功した際、携行された時計です。その偉業を称えられ英語で探検家という意味の「エクスプローラー」と命名され、同年1953年に公式に発表されたロレックス初のスポーツモデルです。
後発のエクスプローラーIIの誕生背景には、1970年にロレックスで行われたドイツのチームによるグリーンランド遠征や、ニュージーランドのチームによる南極遠征が関係していると言われています。
エクスプローラーIの堅牢性については高く評価されていましたが、洞窟などさらに過酷な環境への挑戦において「昼夜の区別がつかない」、そして「経過日数が分からない」という大きな課題を解決するために誕生しました。
そんなエクスプローラーIIの魅力と特徴についてご紹介していきます。
高機能モデルである
エクスプローラーIIは、堅牢かつ高機能なアドベンチャーウォッチです。
デザインの特徴にもなっている、赤やオレンジの24時間針(現行モデルはオレンジ)は、昼夜の区別が難しい場所で役立つだけでなく、第2時間帯を示すGMT機能としても利用できます。
文字盤を見るだけで日付がわかるカレンダー機能が備わっているのもエクスプローラーIIの大きな魅力の一つです。
こだわって改良されている
エクスプローラーIIは第3世代のRef.16570から、2011年にモデルチェンジしたRef.216570よりケース径が42mmと2mm大きくなっています。
それにより針やインデックスも大きくなり視認性が向上、かつ個性的なデザインになっています。
元々エクスプローラー自体、過酷な環境下でも使用できる優れた機能性・耐久性を兼ね備えた時計ですが、上位機種であるエクスプローラーIIは刷新されるたびデザインの向上も図っています。
手に取りやすい価格帯
エクスプローラーII は、ロレックスのスポーツモデルの中では比較的手に取りやすい価格です。実勢価格は、状態にもよりますが100万円台〜といった印象です。ヴィンテージの風合いが魅力的なモデルでも500万円台〜探すことができます。
基本的に機械式の高級時計なので決して安いというわけではありませんが、ロレックスのエントリーモデルと言われるのも納得です。
エクスプローラーIとIIの違い
エクスプローラーIIは「洞窟探検家」のためのアドベンチャーウォッチとも呼ばれ極限の状況でも使用できるようにと作られています。
エクスプローラーIは「探検家」や登山家のために先に作られた堅牢でシンプルなスポーツウォッチです。他にはどんな違いがあるのか見ていきましょう。
視認性・機能の違い
エクスプローラーIIの文字盤デザインはシンプルではありますが、24時間針やデイトもついています。
24時間針はベゼルの24時間表記部分をさしており、これによって暗い洞窟のような場所でも昼と夜を認識できるようになっています。
初代のRef.1655は24時間を表示するだけでしたが、Ref.16550でムーブメントCal.3085を使用するようになってからは、短針のみを動かして第二時間帯も調べられるようになりました。
Ref.16550については製造年数が4〜5年ほどという説や、その間の2年間のみ販売された説など諸説あります。
3代目エクスプローラーIIであるRef.16570が1988年に登場し、Ref.16550はその役目を終え、僅か数年しか製造されず短命に終わってしまいました。そのため、謎が多いとされながら手に入りにくいレアモデルとしてロレックスファンの間では注目されています。
夜光塗料に関しては、Ref.16550、Ref.16570の初期型はトリチウムが使用されています。
【トリチウム】は自発光で寿命が来るまでは発光を続けます。半減期が約12年と長いものになっており、塗料の光によって茶色い焼けが起こるので、その独特な風合いが人気のポイントとなっています。(ヴィンテージのトリチウムに関しては既に半減期を過ぎ、発光しません。)
Ref.16570でも1998年頃からの後期型はルミノバに変わりました。
【ルミノバ】は蓄光の為、蓄積する光が必要ですが経年劣化(寿命)がほとんどないという点がメリットです。またこの技術をを生み出したのは実は日本で、根本特殊化学という企業が開発した「N夜光」が正式名称となっています。
この性能の素晴らしさをロレックスも認めており、現在も世界の時計の夜光部分に採用されています。
Ref.216570からはクロマライトに変わり発光時間が約8時間と大幅にアップしました。
現行モデルに使用されている【クロマライト】はロレックスが製造している独自製品で、ルミノバが緑に光るのに対し、青く光るというのが特徴です。
基本的な性能はルミノバと変わりませんが、夜光時間はルミノバの約2倍となっています。このことにより視認性も上がって、暗闇での使用により適したものとなりました。
またエクスプローラーIIにはデイトもついていますのでパッと見た時に、時間も日付もわかるのも機能性が高く「上位機種」と呼ばれる所以ですね。
対してエクスプローラーIの文字盤デザインはシンプルなものとなっていて、より「視認性」に寄せたものとなっています。
デザインの違い
エクスプローラーIIのデザインは、ドットインデックス、デイト機能、赤やオレンジの24時間針、ベゼルには24時間表記の数字、リューズガードがあり、Iに比べてさらに実用性と堅牢性が重視されています。
これはエクスプローラーIとは違って、「洞窟探検家用に作られた」というモチーフがあるからです。
文字盤色はブラックとホワイトがあり、デイトジャスト機能もつき、よりスポーツモデルらしいデザインとなっています。
(※画像はRef.1655マーク4です)
そんなエクスプローラーIIのなかでも変わっていて希少性の高いモデルが存在します。
レトロなデザインで人気のヴィンテージモデルRef.1655のなかでは秒針にドットの夜光が新たに設けられ、暗所での視認性が向上した通称「マークII」ダイヤルが注目されています。
また第二世代といわれるRef.16550は、1984年〜1988年の約4年間と製造期間の短いモデルですが、それまでブラックダイヤルのみだったものにホワイトダイヤルが追加されるようになりました。
スポーツモデルではあまり見ないアイボリーダイヤルも存在し、ホワイトの色が経年で変化したなど諸説あります。
そのレトロな雰囲気は時間の経過とともにさらに味が出ると人気で“視認性”という面では目的と外れていますが、遊び心があり個性的な時計を探している方にはピッタリのモデルです。
Ref.216570のブラックの文字盤に、時分針と24時間針の根元部分もブラックにペイントされているモデルも人気です。
これは3本の針が浮いているかのように見える「ファントム効果」を狙った仕様で注目されています。このデザインは初代エクスプローラーIIのオマージュで、往年のロレックスファンを喜ばせました。
シックな中にもビビットなオレンジ色の24時間針がポイントとなり、スポーティさと視認性を兼ね備えています。
対してエクスプローラーIのデザインは、初期モデル以外はブラックの文字盤にアラビア数字の369とバーインデックスが基本となっています。
このシンプルなデザインは発表当初から大きく変わっていません。
素材に関してはステンレススティールがメインとなっていますが、エクスプローラーIの現行モデルにはRef.124273というステンレススティール×イエローゴールドのロレゾール(コンビ)もあります。またブレスレットはオイスターブレスのみとなっています。
変わったモデルではRef.14270の一部に見られる「ブラックアウト」と呼ばれる369のアラビアインデックスに白い塗料が塗られていない、非常にレアな仕様なものも存在します。
サブマリーナーや、GMTマスターのような“これぞロレックス”というデザインのスポーツモデルをお求めの方はエクスプローラーIIの方がおすすめです。
価格の違い
エクスプローラーIIはその状態にもよりますが、実勢価格150万円台〜200万円前後となっています。機能が多くついている分IIの方が価格が高いですが、それでも同じロレックスのスポーツモデルであるデイトナが実勢価格150万円台〜200万円前後ということを考えればどちらも比較的手に入れやすい価格といえるでしょう。
対してエクスプローラーIは、実勢価格80万円台〜100万円前後で購入することができます。(こちらも状態にもよります)
24時間表示やカレンダーなど、より多くの機能を求める方は、エクスプローラーIIの方がお勧めです。
最後に
エクスプローラーIIは多機能でスポーツモデルらしいデザインのため、多くの人から支持されている時計ということがわかりましたね。GMT機能もつき、海外出張が多いビジネスマンに重宝されています。
エクスプローラーの中でも実用性によせた時計ですが第3世代や第4世代のモデルも安定した人気で、状態の良いヴィンテージが年々減少しています。
こだわって進化し続けている個性派なので、最新モデルにするか旧モデルにするか迷う時間さえも楽しめるのではないでしょうか。
この記事を監修してくれた時計博士
Onoda Koichi
一級時計修理技能士取得
高級時計専門店GINZA RASIN 本社 ロジスティック部 商品管理課 主任
1982年生まれ 神奈川県出身 時計業界2005年より
大学卒業後、時計の販売や修理受付を経験した後、修理専門学校に入学。メンテナンスの基本知識を学ぶ。2009年に専門学校卒業後、時計専門の修理会社や国内メーカー、正規輸入代理店で腕を磨き12年以上の時計修理実務経験を経た後、2023年3月より商品管理業務に従事。
なお、国内メーカー在籍時、時計技能競技全国大会に出場した経歴を持つ。