エクスプローラー Iは、ロレックス創業から50年近くたってから登場した、人類未踏の地へチャレンジする探検家のために開発されたモデルです。
1953年にエベレスト登頂の公式スポンサーになったことで世界中から注目を集めるようになり、現在ではビジネスでもカジュアルでも身に着けられる万能な時計として人気で、初めてのロレックスとして選ぶ方も多いモデルです。
今回はエクスプローラー Iの特徴や魅力、エクスプローラー IIとの違いについてご紹介していきます。
エクスプローラーIとは
出典:https://www.rolex.org/
エクスプローラーIは、1953年頃ジョン・ハント卿率いる登山隊のクルー、エドモントヒラリー卿とテンジン・ノルゲイ氏に携行され、人類初のエベレスト登頂に成功しました。
ロレックスはこの登山隊の歴史的偉業を称え、その偉業を共に連れ添った腕時計として英語で探検家という意味の「エクスプローラー」と命名し、同年1953年に公式に発表しました。ロレックス初のスポーツモデルとしても有名です。
そんなエクスプローラーIの魅力と特徴についてご紹介していきます。
シンプルで使いやすい
エクスプローラーIは初代より変わることなく、カレンダーさえ持たない3針構造による究極のシンプルデザインとなっています。
そのすっきりとしたデザインが魅力で、探検者向けに作られたプロ向けのモデルとしての発表でしたが、仕事の時や休日にも使えるだけでなくフォーマルな場面でも合わせることができます。高級モデルですが嫌味がなく、ちょっと出かけるだけでも着けることができると人気です。
実用性が高い
エクスプローラーIは探検時に適した視認性・耐久性など性能の高さが大きな魅力です。
1998年頃に発表されたRef.14270から放射性トリチウムが蓄光塗料のルミノバに変更され、経年劣化がほとんどない為、光を当てることにより長い期間持続して使用できるようになっています。(トリチウムは十数年で自発光しなくなるのでヴィンテージのエクスプローラーIは光りません)
2001年頃発表されたRef.114270からはブレスと別体式だったフラッシュフィットが、一体型となり堅牢性が大幅に上がり、見た目もスタイリッシュに進化しています。
さらに、2010年に発表されたRef.214270からは高い衝撃吸収能力を持つパラフレックスショック・アブソーバー(耐震装置)が装備されています。
ケースの厚みですが、エクスプローラーIは約11mmとなっており、サブマリーナーなどと比較すると薄いです。したがって、フィット感が高くスーツを着用した際などはすっきりと邪魔をしないのが魅力です。
手に取りやすい価格帯
エクスプローラーIは、ロレックスのスポーツモデルの中では比較的手に取りやすい価格です。
実勢価格は、状態にもよりますが100万円を切るものも多いです。
元々が高級時計なので決して安いというわけではありませんが、ファーストロレックスとしては手に取りやすくなっています。
エクスプローラーIとIIの違い
エクスプローラーIの現行モデルはロレックスの公式ホームページでは「エクスプローラー36」「エクスプローラー40」と紹介されています。また「 I 」というローマ数字をあえて省いて紹介していることが多く、「エクスプローラー」といえばIのこと、という認識になっています。
対してエクスプローラーIIの表記は統一されているところが多いです。
この2つのモデルには他にはどんな違いがあるのか紹介していきます。
デザインの違い
エクスプローラーIのデザインはブラックの文字盤にアラビア数字の369とバーインデックスが基本となっています。このシンプルなデザインは発売当初から大きく変わっていません。
素材に関してはステンレススティールがメインとなっていますが、現行モデルにはRef.124273というステンレススティール×イエローゴールドのロレゾール(コンビ)もあります。
ブレスレットに関してはオイスターブレスのみとなっています。
変わったモデルではRef.14270の 一部に見られる「ブラックアウト」と呼ばれる369のアラビアインデックスに黒い塗料が塗られている、非常にレアなものも存在します。
Ref.14270のブラックアウトには、ホワイトレターとシルバーレターの2種類があり「シルバーレター×ブラックアウト」は違うモデルと思えるくらい雰囲気が変わるので一番人気の組み合わせです。
ブレスレットが「シングルバックル」になっている個体も、後のダブルフォールディングバックルと異なりシンプルで無骨な雰囲気が好まれています。
また、90年代初期頃まで存在した夜光ドットが外側によっている「先端ドット」と呼ばれる秒針もそのエイジングの状態によりますが大変希少とされています。初期個体全てに装備されているわけではないところが希少性を高めています。
他にも夜光部分がオールトリチウムなど人気のポイントは色々とあり、条件が揃った状態の良い希少な個体は実勢価格が3〜4倍くらいに跳ね上がることもあります。
ちなみに人気俳優の木村拓哉さんがTVドラマで身につけていたのも、このRef.14270でエクスプローラーIの人気をさらに加熱させたと言われています。
対してエクスプローラーIIのデザインは、ドットインデックス、デイト機能、赤かオレンジの24時間針、ベゼルには24時間表記の数字、リューズガードがあり、Iに比べてさらに実用性と堅牢性が重視されています。
これはエクスプローラーIIがIとは違い、「洞窟探検家用に作られた」という経緯があるからです。文字盤色はブラックとホワイトがあり、デイト機能もつき、よりスポーツモデルらしいデザインとなっています。
視認性・機能の違い
エクスプローラーIの文字盤デザインはシンプルなものとなっていて、より「視認性」を重視したものとなっています。
夜光塗料に関しては、Ref.14270の1999年頃までトリチウム、Ref.114270からはルミノバ、現行モデルのRef.224270ではクロマライトが使用されています。
【トリチウム】は自発光で寿命が来るまでは発光を続けます。半減期は約12年と長いものになっており、塗料の光によって茶色い焼けが起こるので、その独特な風合いが人気のポイントとなっています。
【ルミノバ】は蓄光の為、蓄積する光が必要ですが経年劣化(寿命)がほとんどないという点がメリットです。またこの技術を生み出したのは実は日本で、根本特殊化学という企業が開発した「N夜光」が正式名称となっています。
この性能の素晴らしさをロレックスでも認めて採用しており、現在も世界の時計の夜光部分に使われています。
現行モデルに使用されている【クロマライト】はロレックスが製造している独自製品で、ルミノバが緑に光るのに対し、青く光るというのが特徴です。
基本的な性能はルミノバと変わりませんが、夜光時間はルミノバの約2倍となっています。
エクスプローラーIIの文字盤デザインもシンプルではありますが、こちらは24時間針やデイトもついています。24時間針はベゼルの24時間表記部分をさしており、これによって暗い洞窟のような場所でも昼と夜を認識できるようになっています。
1988年以降にGMTマスターIIと同じムーブメントを使用するようになってからは、短針のみを動かして第二時間帯を確認できるようになりました。
どちらも視認性は良いので用途によって選択して使用するのがベストですが、普段使いで充分という方はスーツにもよく似合うエクスプローラーIがおすすめです。
価格の違い
エクスプローラーIは状態によりますが、実勢価格80万円台〜100万円前後で購入することができます。(希少なヴィンテージモデルの場合1000万円を超えることもあります)
対してエクスプローラーIIは、実勢価格150万円台〜200万円前後となっています。機能が多くついている分IIの方が価格が高いですが、それでも同じロレックスのスポーツモデルであるデイトナが実勢価格250万円〜2000万円台というということを考えればどちらも比較的手に入れやすい価格といえるでしょう。
最後に
エクスプローラーIは、そのシンプルなデザインと使いやすさで多くの人から選ばれるモデルということがわかりましたね。どんなシーンでも対応できる堅牢で心強いロレックス。TVドラマで時代を代表する俳優さんがつけたりするのも納得です。
人気のモデルなので値崩れすることがあまり無いことから資産としても注目される定番の時計です。
ロレックス購入時に迷ったら、一度手にとってみることをお勧めします。
この記事を監修してくれた時計博士
Endo Youkoh
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC 上級ウォッチコーディネーター取得
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 銀座本店 販売スタッフ
1984年生まれ 神奈川県出身 時計業界2017年より
デザイン系の短大を卒業後、23歳で大手セレクトショップに入社。 主にレディースの服飾雑貨の責任者として、店頭接客・MD・VMD業務に携わる。入社10年目を機に更なるステップアップを目指し、高級時計店への転職を決意。2017年にGINZA RASIN入社。
人と話すのが好きで、スーパーポジティブな私は、現在お気に入りのIWC メカニカルフリーガークロノと共に店舗にて販売業務に従事。アパレル業界での経験を生かし、多角的な視点で記事監修を行っている。