ロレックスはなぜ高いの?価格高騰の理由を徹底解説!

監修:Onoda Koichi
2023/06/22

近年では腕時計業界のみならず、様々なメディアが取り上げるロレックスの価格高騰。ロレックスはいわゆる「高級腕時計」に位置づけられるブランドで、そもそもの定価も高額ですが、人気モデルはこの定価を大きく上回るプレミア価格を記録し続けていますね。 

いったい、なぜロレックスはこれほどまでに高いのでしょうか。 
価格の裏側には、何が隠されているのでしょうか。 

この記事では、ロレックスの価格が高い理由を徹底解説いたします! 

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前提として、高級腕時計市場全体が高騰している

冒頭でも述べている通り、ロレックスはもともとの定価のみならず、実勢相場の高騰で大きな話題となっております。 
例えばロレックスのクロノグラフコレクションである、デイトナ。いくつかの派生モデルがあり、そのほとんど全てがプレミア価格ですが、とりわけステンレススティール製の116500LNは定価1,757,800円のところ、実勢相場は中古であっても400万円前後~500万円前後(文字盤色やコンディションにもよります)という驚くべき高騰を遂げています。デイトナは2023年にフルモデルチェンジされ、116500LNを含め既存コレクションが生産終了となったことからも、高騰の勢いは止まりません。 
もちろんデイトナのみならず、GMTマスターIIやサブマリーナー、エクスプローラーなどといった人気コレクションもまた、ここ数年、高値続きといった相場感を続けてきました。 

とは言え、「価格が高い」というのは、ロレックスに限った話ではありません。

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と言うのも、定価にしろ実勢相場にしろ、近年は時計市場全体が値上がりし続けているのです。 
「なぜロレックスは高いのか?」「なぜロレックスは価格高騰しているのか?」を解説する前に、近年の時計市場の動向についてご紹介いたします。 

そもそも「近年」とはいつ頃なのか、というのが難しいところですが、2016年頃から為替やインバウンド需要が相まって、国内の時計市場が成長を続けていたという点がまずあります。 
そして価格高騰が顕著となったのは、新型コロナウイルスが一つのきっかけと言って良いでしょう。 

2020年に新型コロナウイルスの影響で世界各国がロックダウンや緊急事態宣言を出し、行動制限が行われました。この時、成長を続けていた時計市場も大きく落ち込みます。需要が低減したことはもちろん、感染症対策の一環での行動制限により、製造工場やショップが休業し、供給がストップしたことなどが背景としてあります。 

一方で新型コロナウイルスは、「新しい生活様式」を提供し、時計市場―とりわけ高額品―に大きな影響を与えることとなりました。一時落ち込んでいたと思われる時計市場が、経済活動が再開するにつれ、急速に発展していったのです。

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市場の発展には、いくつかの要因が考えられます。 
最もよく指摘されるのは、外出自粛によってレジャーや飲食への消費が縮小し、代わって高級嗜好品への需要が伸びたことです。世界的な金融緩和による「カネ余り」や、労働者階級の可処分所得の増加などが相まって、高級腕時計への需要もまた、大きく成長していくこととなりました。 
eコマースの発展も、時計市場を大きく変革したと言えるでしょう。もともと高級腕時計のようなラグジュアリー製品は、対面販売が基本でした。リアル店舗でのお買い物体験や、実物を実際に見て購入の意思決定をすることが、重要視される傾向にあったためです。一方で新型コロナウイルスは、人と人との交流を介さないeコマースの普及に寄与しました。もっともコロナのみが理由ではなく、それ以前からラグジュアリー産業のeコマースは広がっていました。現在は市販のカメラで高画質な商品画像や動画撮影が可能となり、実物とサイトの商品写真に乖離が少なくなったこと。またSNSや口コミサイトの大規模化によって、お店の質や信頼性をユーザーが知りやすくなったことが背景としてあるでしょう。さらにコロナの感染リスクへの懸念から、人との接触を介さず、また遠方でも利用できる利点が、eコマースの発展を後押ししているのです(もっともアフターコロナ下では、再びリアル店舗での購入が勢いを増しているため、ユーザーの好みやライフスタイル、居住地によってオンライン・オフラインへのニーズは変わってくることでしょう)。 

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この市場の拡大は、とりわけ二次流通市場を巨大化させました。 
二次流通市場というのは、ブランドやメーカーから仕入れた商品を正規店・正規代理店で販売する一次流通ではなく、いったん誰かの手に渡った中古品が売買されるような市場を指します。また、海外製品であれば「並行輸入品」といって、海外の正規代理店や卸会社、あるいはバイヤーなどから買い付けた新品を販売する業者も存在しますが、こちらも二次流通に分類されます。 
高級時計は中古品にしろ並行輸入品にしろ、二次流通市場がかねてより盛んでした。メンテナンスを行えば再販しやすく、価値も落ちづらい高級時計は中古へのニーズが大変高いためです。さらに最近はサスティナビリティといった観点からも高い注目を浴びており、これまで二次流通には基本的に関わってこなかったブランド・メーカー側でも参入する動きが見られ、結果として市場全体が非常に活発となっているのです。 

こういった時勢の中で、ロレックスに限らず中古市場全体で需要がいや増し、比例するように実勢相場もジワジワと上昇することとなりました。 

さらに二次流通価格のみならず、一次流通価格―すなわちメーカーの定価―が上昇していることも、特筆すべき点です。 
ロレックスやオメガ、IWCにジャガールクルト…非常に様々な人気ブランドが定価改定という名の値上げを敢行しています。ここ数年では、短いスパンの間に何度も値上げが行われることも!定価改定の背景としては、ウクライナ危機を始めとした社会情勢による原価高騰や、国内であれば為替の影響が大きい他、各メーカーは近年新型ムーブメントや新機種のローンチに非常に意欲的で、その開発費用がかさんでいるといった場合もあるようです。 

定価がすぐに二次流通市場の実勢相場に影響するわけではありません。とは言え仕入れ値が上がればその分販売価格は上昇していくものです。この傾向が供給・流通を上回る需要と重なって、高級腕時計全体の価格が上がることとなりました。 

もっとも、やはりロレックスの高騰ぶりは他の追随を許しません。 
相場上昇している高級時計市場の中でも、ロレックスはさらに頭一つ抜きんでているのです。 
なぜロレックスは、ここまで高くなったのか?  
その理由を、次項より解説いたします! 

ロレックスはなぜ高い?価格高騰の理由 

なぜロレックスだけ傑出して価格が高騰しているのか?その理由を三つに分けてご紹介いたします!

プロダクトとして完成されているから

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ロレックスと聞いた時、知名度や人気がイメージとして先行するかもしれません。しかしながら時計業界人の多くは、ロレックスと聞いて、まず完成されたプロダクトを思い浮かべることでしょう。 
時代に左右されないアイコニックな意匠。時代に合わせて常に進化する実用性。時計を日常使いするうえで欠かせない正確性や信頼性。 
これら全てを備えつつ、非常に高度な製造技術で以て実現する高級感溢れる外装や文字盤を強みに、ロレックスは高級時計で随一と言って良い品質をユーザーに提供してきました。ロレックスは「実用時計の王者」と称されることもあるほどです。 

ちなみに「ロレックスの三大発明」というフレーズをご存知の方も多いかもしれません。これはロレックスが開発した「オイスターケース(1926年)」「パーペチュアル機構(1931年)」「デイトジャスト(1945年)」を指します。簡単にそれぞれを解説すると、オイスターケースが防水ケースで、パーペチュアル機構が優れた巻き上げ効率を実現した自動巻き機構(正確には、世界初の360度全回転型の片方向巻き上げ式自動巻き)で、デイトジャストは0時を境に瞬時にデイトが切り替わる(かつ、ポインターデイトが主流であった時代において、3時位置にデイト窓を設置。これによってジャケットの袖口を少し上げるだけで日付の確認ができる)機構です。 
全てがロレックスの完全なる新規発明というわけではありませんが、ロレックスの品質をより高みへと引き上げたことはもちろん、後の腕時計のスタイルを確立することとなりました。つまり、ロレックスのプロダクトの完成ぶりは、伝統的に培われてきたと言えるでしょう。

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なお、「品質が高いから価格が高い」というわけではありません。もちろん高級時計として作りこまれているだけ、定価は高くなります。一方でロレックスは二次流通市場での「実勢相場の高騰」が叫ばれていることは、繰り返し述べてきた通りです。前述の通り実勢相場の高騰は、「供給・流通を需要が上回っている」がゆえです。 

そして時計としての高い品質は、「人気」「需要」を語るうえでは欠かせません。 
いくらクールなデザインであったり、あるいは正確な時計であったりしても、どれか一つだけ傑出していたのであればここまでの人気は出なかったでしょう(もちろん、デザインあるいは実用性に全振りしたような高級時計も素晴らしく、コアなファンを獲得する傾向にあります)。 

加えてロレックス自身も、自社の完成された品質を巧みなブランディングによって大いに広めることに成功しました。知名度の拡大やステータスの確立にも繋がり、今やロレックスは高級時計の代名詞的存在ですね。 

かっこよくて、様々なシーンで使えて、さらに歴史的に高い品質を提供してきたロレックス。 
そして、誰もが質の高さや知名度、ステータスにおいて高く評価するロレックス。 

品質が良いゆえに定価が高くなることはもちろん、「高くても欲しい」といった購入マインドに支えられ世界的な需要が高まり続けている結果、ロレックスの実勢相場は右肩上がりを続けていると言えます。 

世界的に中古市場が確立しており売買しやすいから

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近年のロレックスの価格高騰に限った話ではなく、ロレックスは昔から資産価値の高いブランドとして扱われてきました。 
もともとロレックスのように世界的に人気の高い高級腕時計は、「持ち運べる資産」などと称されることもあります。世界的に価値が共通しており換金しやすく、かつ金や不動産などと異なり携行・移動が容易であるためです。 

また、ロレックスは随一の巨大中古市場を形成しますが、これは前述した「三大発明」に代表されるように、古くから時計の高い質を確保していたこと。流通量が豊富で、修理ノウハウが出回っていることが大きく関係しているでしょう。 
いくら人気が高くても、使えないのでは中古時計は再販ができません。基本的に機械式時計は「パーツ交換さえできれば修復して蘇らせられる」と言われることもありますが、一方で修理がスイス本国送りになってしまい、法外な金額がかかってしまったなどといったケースでは、決して「再販しやすい」とは言えません。

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その点ロレックスは、「実用時計の王者」。 
時計としての精度や信頼性はもちろんのこと、メンテナンス性にも長けたムーブメント開発を行ってきました。また、早い段階から防水や内外の堅牢性を高めていたことから、年式を経ていても機能を損なうような劣化は少なく(もっとも、針・文字盤のヤケや腐食などは劣化というよりもヴィンテージらしい味わいですが)、メンテナンスを行うことで十分実用可能な個体が多く出回っていることが、中古市場を下支えしていると言えます。生産終了モデルであればパーツが流通していることもあり、民間修理会社でも多くのケースでオーバーホールやパーツ交換を受け付けてくれることでしょう(ただし、信頼できる修理店を選ぶ必要はあります)。 

ロレックスはメーカー自身のアフターフォロー体制が充実しているというのも、確固たる中古市場の秘訣でしょう。 
パテックフィリップやオーデマピゲのように永久修理を謳っているわけではありませんが、充実したメンテナンス体制を敷くことで末永く愛用できる時計の価値をユーザーに提供してくれています。なお、年代の古いモデルの修理受付がパーツ在庫がないことを理由に断られるといった事例もあったようですが、2022年にはロレックスも「認定中古」として二次流通市場への参入を始めたため、オールドウォッチへの修理体制もいっそう拡充されるのではないかといった期待が持たれます。

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※認定中古とは
ブランドが設けた厳格な基準や検査のもとに「真正性」「品質」が保証された中古製品、およびそれをブランドがメンテナンス・値付けしたうえで再販する制度のこと。中古車業界などではポピュラーとなっていますが、時計業界でもフランクミュラーやリシャールミルが先鞭をつけ、普及しつつあります。

中古時計を購入する時、「壊れていないかな?」「ボロボロじゃないかな?」などといったことが気になるものでしょう。ロレックスであればもともとのモノが良いことに加えて、正規・民間問わずメンテナンスがなされやすいことから、中古ニーズが高く、結果として世界的に活発に売買され、価値が落ちづらいといったサイクルとなっているのです。 
ただし、中古時計に関しては「どのような状態で売るか」はお店や業者次第です。例えば価格が安くても実はオーバーホールしていなかったり、内外いずれかに瑕疵があったりする個体が出回ることもあります。ロレックスと言えど、中古時計を購入する際は、信頼できる販売元からにしましょう!また、購入前にしっかりとコンディションや年式について確認するのもお勧めです。

 凄まじい人気に流通量が全く追い付いていないから

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これまでロレックスはなぜ高いか?をご紹介してきましたが、「価値が落ちづらい」ではなく、「なぜ凄まじいまでに価格高騰しているのか」にフォーカスした時、それはロレックスの絶大な人気に他ならない、と回答するでしょう。 
そう、「ジワジワ値上がりしている」「世界中で売買されやすい」というのを超えて、数年前と比べて2倍の上昇率は当たり前などといった高騰を遂げているブランドは、ロレックスを除いて高級時計市場と言えどそう多くはありません。 

もちろん過去、プレミア価格がなかったわけではありません。特にレアな個体というのは、超絶ハイプライスとなることも珍しくないでしょう。そう、実勢相場というのは「需要と供給」に大きく左右されます。そのため需要(簡単に言うと、人気)が流通量を上回れば、必然実勢相場は上がっていくこととなります。 

とは言えロレックスは決して生産本数は少なくありません。むしろ歴代モデルを入れれば、膨大な数が市場に出回っています。 

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しかしながら現在ロレックスの価格高騰が続いているのは、この流通量を大いに上回る世界的な需要が確かに存在しているためです。 
もっとも「全てのモデルが100万、200万円超」というわけではありません。とは言え人気モデル、とりわけ比較的新しい現行モデルに関してはまだ十分に出回りきっていないことも手伝って、多くのモデルで定価超えの値付けでの売買となっております。  
さらに生産終了モデルも、これ以上市場に供給されないため弾数はどんどん少なくなり、上質な個体、あるいはオリジナルが維持されたような個体の価格は右肩上がり。 

一方で「人気が人気を呼ぶ」「高くても欲しい」といったマインドから目立った買い控えが見受けられず。多少のアップダウンはあれど、ロレックスの価格高騰は続いており、今後も続くであろうことが予測されます。

まとめ

 ロレックスはなぜ高いのか?なぜここまで価格高騰しているのか? 
この理由をご紹介いたしました! 
「プロダクトとしての素晴らしさ」「世界的な中古市場」「凄まじい人気」大まかに分けてこの三点がロレックスの価格の裏側ですが、とは言え「なぜロレックスはここまで我々を魅了するのか?」といった問いに関しては、それぞれの愛好家によって変わってくるでしょう。 
筆者自身も、まだまだ欲しいロレックスはたくさん!今後もロレックスを楽しんでいきたいと思います!