パテックフィリップは、世界三大時計ブランドに数えられる雲上ブランドです。世界三大時計ブランドはパテックフィリップ・オーデマピゲ・ヴァシュロンコンスタンタンを指し、いずれも古い歴史と伝統、高い格式を誇ります。
なかでもパテックフィリップは頭一つ抜きんでた存在で、世界一の名門と言えるでしょう。時計の美しさはもちろん、ステータス性や格調の高さ、そして常に最先端をゆく革新的な技術力を有し、圧倒的支持を得ているブランドです。
世界三大時計ブランドの頂点に君臨するパテックフィリップの歴史や、その魅力について詳しく解説します。
またパテックフィリップは上記の世界三大ブランド、そして世界7大ブランドにも数えられています。パテックフィリップ以外の世界7大ブランドについて知りたい方は、こちらの記事でも紹介していますのでぜひお読みください。
【世界7大時計ブランドとは?愛好家を魅了する名門の魅力に迫る】
パテックフィリップとは?
出典: https://www.patek.com/
パテックフィリップは1839年に、スイスへ亡命してきた2人のポーランド人によって創設された時計ブランドです。当時は懐中時計がメインだったため、主に高級懐中時計を製造販売、またオーダーメイドで製作していました。創業して間もないころから世界中の王侯貴族に愛され、磨き抜かれた技術とセンス、ステータス性で、他のブランドを圧倒してきました。
現在は多くのブランドが時計業界の三大コングロマリットに属していますが、パテックフィリップは創業から独立を貫いています。現在も創業の地、ジュネーブに本社を置き、中興の祖であるスターン兄弟の子孫ティエリー・スターン氏が社長に就任しています。
~時計業界の三大コングロマリット~
・スウォッチ
(オメガ・ブレゲ・ブランパン・ロンジンなど)
・リシュモン
(ヴァシュロンコンスタンタン・カルティエ・ピアジェなど)
・LVMH
(ゼニス・ウブロ・タグホイヤー・ティファニーなど)
の三グループを指します。
創業から現在までの変遷
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パテックフィリップはアントワーヌ・ノルベール・ド・パテックとフランソワ・チャペックという2人のポーランド人が、1839年にスイス・ジュネーブで創業しました。もとは創業者2人の名前から、パテック チャペック社と呼ばれていました。
パテックはポーランドの亡命貴族で、高い美意識とセンス、慧眼の持ち主でした。チャペックは高い技術を持つ時計技師です。その後、2人は1844年に開催されたパリ博覧会で、フランス人の天才時計師ジャン・アンドリアン・フィリップと出会います。フィリップを技術者として招き入れ、1851年にはパテックフィリップという社名に変更し、現在に至ります。
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1851年は、ロンドンの万国博覧会が開催された年です。最先端技術を組み込んだ懐中時計を出品したパテックフィリップは、ヴィクトリア女王をはじめ王侯貴族をとりこにしました。
以降パテックフィリップは、王侯貴族が愛する雲上時計ブランドとしての地位を確立します。1854年には現在の本拠地であるジュネーブのジェネラル=ギザン通り沿いに店舗を構えました。
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また、パテックフィリップはアメリカのティファニー社と「蜜月」と称されるほど密接な関係にあることでも知られています。ティファニーはニューヨークに本拠地を置く、世界屈指のジュエラーです。
パテックフィリップとほぼ同時代の1837年創業で、早くから時計製造にも手を広げ、パテックフィリップとの関係を築いてきました。両社の関係170年周年が2021年に祝賀されたほど、初期から密接な関係にあります。
パテックフィリップにはティファニーとのダブルネームを持つモデルもあり、さらなる希少性で垂涎の的となっています。また、ティファニーブルーと呼ばれるコマドリの卵色のダイヤルを持つモデルも存在しますが、限定モデルかつ市場にほぼ出回らない希少モデルも存在します。
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パテックフィリップは、1932年に世界恐慌の影響を受けて経営危機に陥りますが、文字盤製造業者のスターン兄弟が同ブランドを買収、現在に至るまでスターン一族が経営を続けています。今はスターン兄弟の末裔である、ティエリー・スターン氏が社長として同メゾンを牽引しています。
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厳選された素材のみを使用したマニュファクチュール(自社製造時計ブランド)で、進歩し続ける技術力と最高の品質を保ち続ける実力から、雲上ブランドとも呼ばれます。
~マニュファクチュール~
マニュファクチュールとは、時計の心臓部であるムーブメントから自社製造している時計ブランドを指す言葉です。パテックフィリップも、ムーブメントを独自製造しています。
また、パテックフィリップの腕時計は資産価値が高いことでも知られ、古いモデルであっても、一部のモデルは高値で取引されています。
パテック・フィリップシールと永久保証
パテックフィリップは、現在「パテックフィリップシール」(通称PPシール)という独自の品質基準を定めています。パテックフィリップシールの前は、ジュネーブシールを採用していたため、まずは、ジュネーブシールについてお話します。
~ジュネーブシール~
ジュネーブシールとは、製造に関する場所と品質を保証するものです。1886年に設立された、ジュネーブ時計検定局が認証を行っています。
- 場所に関する認定
ジュネーブ州(かつてのジュネーブ共和国)内で製造されたムーブメントを使用していること - 品質に関する認定
ベースプレートとブリッジ・調整システム・輪列と宝石・形状部品のどれもが機械的・美的に優れていること
ジュネーブシールを許されたブランド・時計は非常に少ないのですが、パテックフィリップはそんな数少ないジュネーブシールを許されたブランドのひとつでした。しかし、パテックフィリップはジュネーブシールよりもハイレベルな品質基準を独自に設け、「パテックフィリップシール」として使用するようになります。
そして2009年ころを境にジュネーブシールからパテックフィリップシールへと移行し、現在ではジュネーブシールの紋章が入った時計は製造されていません。パテックフィリップシールは、ジュネーブシールを凌駕する時計界最高水準の厳格な品質基準です。
パテックフィリップシールの認定基準
- 完成した時計の構成要素すべて(ムーブメント/ケース/ダイヤル/針/プッシュボタン/ブレスレット/バックル)
- デザイン、製造、サービスに関わるノウハウ、技術レベル、造形美、すべての機能のシームレスな統合
- 自社製造ムーブメントの計時精度:日差−3〜+2秒
- ジュネーブの伝統的時計製作法をベースとした構成部品の手仕上げ
- すべての素材・貴石の品質
- 完璧なセッティング技術
ジュネーブシールを超える厳しい基準を独自で定めているブランドは、世界的に見ても珍しい存在です。また「一生使える、子孫に受け継がれゆく時計」を目指し、永久保証を約束しています。
創業以来製造してきた全モデルのメンテナンスと修理を請け負い続けており、時代ごとの部品や修理に使用する機器類も大切に受け継がれているのです。永久修理を行うことで、パテックフィリップの時計は永久に使える、一生ものの財産になるという認識が定着しています。
パテックフィリップシールが制定される以前から、未来に製造されるであろう未知の技術までを保証する、時を超えた制度です。永久修理を請け負っているブランドは、非常に稀有な存在で、星の数ほどある時計ブランドのなかでも、世界三大時計ブランドを含むたった5社のみ。パテックフィリップの時計の価値を、さらに高めているサービスです。
さらに、パテックフィリップでは同社の古い時計がオークションに出品されると、自社で買い戻すという戦略を取っています。高額で競り落とすことで顧客に資産価値を保証し、「パテックフィリップは中古でも高額で売れる、大きな財産になる」というイメージ定着に成功しています。同社にとっても、ヴィンテージウォッチの品質と自社の地位の維持に繋がるのです。
パテックフィリップが愛好家を魅了する理由
パテックフィリップの歴史と、厳格な品質へのこだわりについて解説してきました。ここからは、パテックフィリップの時計が時代を超え、世代を超えて愛される理由について追求していきます。
圧倒的なステータス性と格式の高さ
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パテックフィリップの特徴のひとつ「圧倒的なステータス性」は、世界三大時計メゾンにおいて同社が頭一つ抜きんでた存在である理由です。パテックフィリップは、創業から現在に至るまで一度も歴史が途絶えたことがありません。1839の創業から180年以上の長きにわたり、ブランドを継承してきました。現在の時計業界に君臨する三大コングロマリットにも属さず、孤高の存在として高いステータス性を誇ってきたのです。
また、古くから世界中の王侯貴族をはじめ、セレブリティに愛され続けてきたことも、ステータス性と格式の高さを示しています。ラストエンペラー、愛新覚羅溥儀の所有していたパテックフィリップが、2023年にオークションで落札されたことは記憶に新しい方もいるでしょう。
清朝最後の皇帝として知られる、愛新覚羅溥儀が愛用したパテックフィリップのカラトラバ 96カンティエーム ルナ(コンプリートカレンダームーンフェイズ)は、約8億円で落札されました。インペリアル・パテックフィリップと呼ばれるこのムーンフェイズは、パテックフィリップがいかに世界中の雲上人に愛されてきたかを物語るピースのひとつです。
また、ダライ・ラマ14世はわずか7歳のときに、当時のアメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトからパテックフィリップを贈られました。ダライ・ラマはパテックフィリップに魅せられ、自身で修理まで行うアマチュア時計技師になるほどの時計愛好家になりました。世界的な宗教家では、ローマ教皇ピウス9世もパテックフィリップの所有者として知られています。パテックフィリップの本社には創業からつづられてきた顧客名簿が保管されており、世界中の王侯貴族や科学者、芸術家など、世界を牽引してきた人々の名が残っています。
~パテックフィリップの所有者たち~
・ヴィクトリア女王
・エリザベス2世女王
・アインシュタイン
・キュリー夫人
・チャイコフスキー
・リスト
・ワーグナー
・トルストイ
・ウォルト・ディズニー
・クラーク・ゲーブル 他
19世紀にイギリスのヴィクトリア女王が愛用したことで、パテックフィリップの名声は一気に高まりました。現在も世界中のセレブたちに愛される、まさに王侯貴族の雲上時計メゾンです。
トレンドに流されない普遍的な美しさ
パテックフィリップは「トレンドに流されることのない世界最高の時計」を理想に掲げています。洗練された完璧なディティールは気品に満ちています。トレンドに流されることのないデザインは、長い歴史のなかで様々な世代の人々に愛され続けてきました。
パテックフィリップの時計には、時代も年齢も超えて人々を魅了する「普遍性をもつ美しさ」がある証左でしょう。世界最高の時計を作るという高い志は、揺るがぬ技術力とたゆまぬ研究開発の原動力となり、希少価値の高い優れたタイムピースを生み出し続けてきました。
パテックフィリップは、同社のポリシーとして、また製造する時計に対して「10の価値」を掲げています。
・独立
・伝統
・革新
・品質と精緻な仕上がり
・希少性
・付加価値
・美
・サービス
・思い入れ
・継承
以上に挙げた10の価値はパテックフィリップの時計そのものと言えます。独立を貫き続け、伝統を守りながらも技術は常に革新を繰り返し、時代の先端を進んでいます。作り上げる時計は精緻な細工や研磨が施された高い品質が特徴で、大変美しいだけでなく少数生産ゆえの希少価値もつきます。
パテックフィリップの時計がもつ美しさと品格、価値は、同社が180年の長きにわたって継承してきた頂点の矜持そのものです。パテックフィリップの時計は、一生ものとして愛され、子孫へと大切に受け継がれます。同社の永久修理は、「一生もの」「子孫に受け継がれゆく」タイムピースだからこそ、意味があるのです。
パテックフィリップの時計を物語るうえで、欠かせないものが「カラトラバ十字」です。パテックフィリップのエンブレムであるカラトラバ十字は、4つの百合を組み合わせた百合十字。時計の様々な箇所に刻まれる美しい紋章は、優雅で高尚なワンポイントとして愛されています。
カラトラバ十字は、12世紀にスペインで初めて設立された騎士団「カラトラバ騎士団」の紋章です。カラトラバ騎士団が、騎士道に基づいて重視した勇気・礼節・独立の象徴とされています。
また、カラトラバ騎士団は王侯貴族の文化にも深く関わっており、スペイン君主の称号にはカラトラバ騎士団総長(グランドマスター)が含まれているそうです。さらに、天才時計技師ジャン・アドリアン・フィリップの出身地であるフランスのウール・エ・ロワール県の紋章は、3つの百合の花であることも、関係しているようです。
ポーランド出身の亡命貴族だったアントワーヌ・ノルベール・ド・パテックにとって、カラトラバ十字は王侯貴族の象徴でもあり、彼の高い美意識を納得させるものだったのでしょう。
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パテックフィリップは、世界屈指の技術力を持つ時計工房としての名声も得ています。180年に及ぶ歴史と伝統を継承しつつ、最先端の技術革新にも余念がありません。同社が取得した特許は100以上あり、いかに卓越した技術力を有しているかがわかります。
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数あるモデルのなかでも、パテックフィリップの技術力が良くわかるシリーズはコンプリケーションです。コンプリケーションとは「複雑機構」のことで、腕時計に施されている仕掛けのなかでも高度で複雑なものを指します。
時計の世界三大コンプリケーションには、永久カレンダー(パーペチュアルカレンダー)、ミニッツリピーター、トゥールビヨンが挙げられます。
永久カレンダー |
閏月の調整も自動で行う、2100年までは調整要らずのカレンダー |
ミニッツリピーター |
小さなゴングによる鐘の音で現在の時間を教えてくれる技術 |
トゥールビヨン |
姿勢差による精度の誤差を修正するための複雑機構 |
さらに、スプリットセコンド・クロノグラフやパワーリザーブ・インジケーター、ムーンフェイズ、レトログラードを加えた7つを世界七大コンプリケーションと呼んでいます。
これらの複雑機構を搭載した機械式時計は高価なものとなりますが、複数の複雑機構を搭載した超複雑機構の時計も存在します。パテックフィリップでは、超複雑機構製造を専門の「グランドコンプリケーション」部門に属する卓越した職人たちが担っています。ちなみに、超複雑機構(グランドコンプリケーション)とは、複数の複雑機構を組み合わせた機構のことです。
1845年に初めてミニッツリピーターを搭載した懐中時計をリリースしたときから、パテックフィリップの歴史はグランドコンプリケーションの開発とともにあります。1989年に創業150周年を記念して製作された「Cal.89」は、当時世界最高峰とされたグランドコンプリケーション搭載の懐中時計です。複雑機構を33も搭載し、開発制作に9年を費やした懐中時計は、たった4個だけ作られました。
しかもCal.89は展示品として作成されたわけではなく、グランドコンプリケーションの現行コレクションとしてリリースされています。世界七大複雑機構をはじめ、様々な複雑機構を搭載した懐中時計は、まさに「掌に乗る宇宙」。1728個のパーツを正確に組み立てた、想像を絶する超複雑機構です。
数多くの複雑機構を手がけるパテックフィリップですが、特にミニッツリピーターへのこだわりは有名です。今もミニッツリピーターは個体ごとの音を科学的にチェックしたのち、社長自らの耳で最終確認してから出荷されています。
また、美術的な技術についても開発や技術の継承を熱心に行っています。メティエダール(職人の手による工芸技術)は19世紀に流行したのち衰退していきました。パテックフィリップでは高度なメティエダールを使用したタイムピースを数多くリリースし、失われゆく工芸技術の維持と継承、職人の育成に貢献しています。
特にクロワゾネ(有線七宝)やグリザイユエナメル、多彩な研磨技術はグランドコンプリケーションなどに施され、世界中のセレブリティから称賛されています。
パテックフィリップを代表するコレクション
それでは、パテックフィリップを代表するコレクションについてご紹介します。パテックフィリップはムーブメントから自社製造するマニュファクチュールであり、世界最高峰の時計を少数生産するメゾンのため、正規店購入が困難です。そのため、人気の高いコレクションはプレミアム価格がついていることも珍しくありません。
ラグスポの定番「ノーチラス」
「ノーチラス」は1976年にリリースされた、ラグジュアリースポーツウォッチの最高峰です。天才ウォッチデザイナー、ジェラルド・ジェンタが手がけた傑作です。
ジュール・ヴェルヌのSF小説『海底2万マイル』に登場する潜水艦ノーチラス号の舷窓をモチーフとした、ゆるやかな角を持つオクタゴン(八角形)ケースが特徴です。非常に人気が高く、正規店購入が特に難しくアンティークも入手困難な、資産価値の高いモデルです。
■ノーチラス5711
ノーチラス5711は2006年にローンチされた、ステンレススティール製の「世界最高のラグスポ」です。完成されたスタイルが愛され、2010年にはブレスレットのマイナーチェンジを行ったモデルで、正規店ではまず手に入らない超人気コレクションです。
定価をはるかに上回る実勢価格で取引されていましたが、2021年初頭に現行モデルの生産終了が発表されると実勢価格は定価の10倍以上まで跳ね上がりました。そのあとすぐに新作として流行のオリーブグリーンモデルが発表されましたが、現在も実勢価格の高騰は収まっていません。
カジュアルな意匠が美しい「アクアノート」
アクアノートは、1997年にリリースされた第二のスポーツウォッチです。ダイヤルに施された地球儀を思わせるエンボス装飾が美しく、ケースはノーチラスよりまろやかな曲線を描きます。もともとは若い世代をターゲットにしたスポーティーな仕上がりで、防水性能・耐牽引性能・耐紫外線性能にも優れています。
■アクアノート5167
アクアノートの顔とも言える超人気モデルで、2007年に発売されたアクアノートの第三世代です。視認性が高く40mmケースを採用した少し大きめのモデルで、エクストララージとも呼ばれます。ノーチラス同様正規店購入が特に難しい定番モデルで、実勢価格も高騰中です。
王道クラシックウォッチ「カラトラバ」
カラトラバはパテックフィリップを象徴するドレスウォッチで、完成されたラウンドケースの純粋な美しさから至高の時計と称されるコレクションです。ブランドのエンブレムであるカラトラバ十字と同じ名を与えられており、1932年にリリースされてから現代に至るまで「最高峰」の地位をほしいままにしています。
■カラトラバ96
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カラトラバの初代モデルにして、50年以上も生産され続けた究極のドレスウォッチです。優美なラウンドケースにカッティングを施したバーインデックスとドーフィン針を組み合わせたシンプルなデザインで、最上の正装に相応しい完璧なフォルムを誇ります。
愛新覚羅溥儀が所有していたカラトラバも96でした。カラトラバ96がすでに完成された美しさを備えており、その後にリリースされた3796や5196などの人気機種にも、96によって体現された美の方程式が継承されています。
ドレスウォッチの最高峰として大変な人気を誇り、現在でも高値で取引されています。また、現行モデルはカラトラバ6119ですが、こちらも正規店購入が難しいモデルのひとつです。
機械美を堪能できる「コンプリケーション」
パテックフィリップの技術力や純粋な機械美を堪能できるコンプリケーション、グランドコンプリケーションも、ファン垂涎のコレクションです。特に同社が開発した「タイムゾーン機構」と「年次カレンダー機構」は、現在でも多くの時計ブランドに採用されている便利な機能です。
タイムゾーン機構はUTC(協定世界時)からの時差を設定し、世界中の地域の時刻が表示できるもので、ワールドタイムとも呼ばれます。世界を相手に活躍する商社マンや証券マン、パイロットといった職業の方に重宝される機能です。
年次カレンダー機構は1年に1回、3月1日に調整するだけで1年間正確に月週日を表示できる機能で、アニュアルカレンダーとも呼ばれます。永久カレンダー(パーペチュアルカレンダー)よりも簡素で低価格、しかも便利ということで、人気の高い機能のひとつです。ちなみに永久カレンダーは閏月まで計算できる複雑機構で、2100年まで調整を必要としません。
■パーペチュアルカレンダー3940
1985年にリリースされ、20年以上にわたり製造されてきたグランドコンプリケーションモデルの超人気作です。3つのインダイヤルを備えており、それぞれ月・曜日・ムーンフェイズと日付を表示します。
ダイヤルは第三世代、裏ブタは二世代まであり、それぞれ特徴から好みがわかれます。シースルーバックになっており、内部の超複雑機構を外から堪能できる点も魅力です。(上記の画像は三代目のダイヤルとなります。)
世界最高峰の時計を手がける王者「パテックフィリップ」
パテックフィリップは世界最高の時計を作ることを目標に掲げ、実践している最高峰のウォッチメゾンです。
「一生ものの時計」「ステータスシンボルとなる時計」「子孫に託すべき時計」など、特別な1本を探す方に、おすすめするブランドです。
美しさ、技術力、ステータス性のすべてが完璧で、他の追随を許さない矜持もあります。ただし、高い品質へのこだわりゆえに、年間製造量が限られており、需要に供給がまったく追い付いていない点がデメリットと言えます。
そのため、正規店での定価購入が難しく、実勢価格は跳ね上がる一方です。しかし、それはステータスや資産としての価値にもつながり、ますますパテックフィリップの名声を高めています。
世界に通用するステータス性や美しさ、気品の高さを追求するならば、パテックフィリップを選んではいかがでしょうか。
この記事を監修してくれた時計博士
Endo Youkoh
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC 上級ウォッチコーディネーター取得
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 銀座本店 販売スタッフ
1984年生まれ 神奈川県出身 時計業界2017年より
デザイン系の短大を卒業後、23歳で大手セレクトショップに入社。 主にレディースの服飾雑貨の責任者として、店頭接客・MD・VMD業務に携わる。入社10年目を機に更なるステップアップを目指し、高級時計店への転職を決意。2017年にGINZA RASIN入社。
人と話すのが好きで、スーパーポジティブな私は、現在お気に入りのIWC メカニカルフリーガークロノと共に店舗にて販売業務に従事。アパレル業界での経験を生かし、多角的な視点で記事監修を行っている。