ロジェデュブイは、1995年に創業した、オートオルロジュリー(高度な技術を用いた高級腕時計)の、新しいブランドです。スタートからわずか30年足らずという短期間で、錚々たるメゾンとならび、世界七大時計ブランドに数えられています。
今回は、日本の芸能人や文化人、アスリートをはじめ、世界中のセレブをとりこにした、ロジェデュブイについてご紹介します。
ロジェデュブイとは?
出典:https://www.rogerdubuis.com/
ロジェデュブイは、スイスのジュネーブに本拠地を置く、超高級腕時計メゾンです。
創業は1995年。
世界中がWindows95の発売に沸き、デジタル社会が本格的に幕を開けた年でした。
世界七大時計ブランドに数えられている創業から約300年、約270年という老舗に対し、ロジェデュブイは約30年という若いブランドです。本社のあるスイス・ジュネーブは、時計の名門ブランドが軒を連ねる、世界的な時計の都市です。
ロジェデュブイの創業者は、カルロス・ディアスと、ブランドの名前にもなっている、ロジェ・デュブイです。現在の代表者は、ニコラ・アンドレアッタ氏。イタリアに生まれ、高級腕時計業界で活躍してきた氏は、ティファニーの時計専門部門、ティファニー スイス ウォッチ カンパニーで辣腕をふるいました。2018年に、ロジェデュブイのCEOに就任、現在に至ります。
ロジェデュブイの歴史と歩み
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ロジェデュブイの創業は、ロジェ・デュブイと、カルロス・ディアスという、2人の才能の出会いから始まります。
カルロス・ディアスは、繊維業で経営手腕を発揮した、天才経営者でした。また、腕時計をこよなく愛し、審美眼にも優れ、みずからデザインを手がけるという、多才な人物です。
繊維業で財を成したカルロス・ディアスは、経営センスと腕時計の審美眼を見込まれ、テクノウオッチ時代のフランクミュラーで、デザイン担当の責任者として活躍します。
1993年にフランク ミュラーのブランド化を成し遂げた後、カルロス・ディアスは理想の腕時計を追求するため、自らのブランド立ち上げに向けて動き出しました。カルロス・ディアスが、自らの相棒として白羽の矢を立てたのは、当時の天才時計技師、ロジェ・デュブイでした。
ロジェ・デュブイは1950年代の終わりに、ロンジンにて時計技師としての第一歩を踏み出しました。その後、パテック・フィリップに移り、コンプリート部門の最高責任者としてコンプリケーションムーブメントの開発に心血を注ぎました。
その後は自身の工房を立ち上げて、優れたコンプリケーションムーブメントを設計したり、複雑機構の腕時計修理を請け負ったりと、時計技師として活躍します。また、ジュネーブにある時計学校で教鞭をとり、当時学生だったフランク・ミュラーが彼のもとで学んだこともあります。
天才時計技師と名高いロジェ・デュブイと、天才デザイナーであり投資家・経営者でもあるカルロス・ディアスの出会いが、当ブランドを瞬く間に世界の頂点へ押し上げたのです。
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マニュファクチュールブランドとしてスタートしたロジェデュブイは、4年の開発期間を経て、自社製キャリバーをリリースします。その後ジュネーブ郊外にガラス壁が美しい大きな工房を建設しました。
当初、ロジェデュブイでは「サンパティ」と呼ばれるモデルをローンチ、瞬く間に人気を博しました。サンパティとはシンパシーという意味で、クッション型ケースの四隅を優雅に尖らせた独特なスタイルのエレガントなタイムピースです。エッジの利いたデザインが特徴である、現在のロジェデュブイを知る方にとって、サンパティは違和感を覚えるかもしれません。
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2000年代に入ると創業者たちは次々と引退・離脱し、2008年にブランドは大手コングロマリットのリシュモンに経営権を委ねました。その後、ブランドは方向性を大きく転換します。
最先端の技術や素材を惜しみなく使い、超複雑機構をスケルトンケースからあまさず見せる、斬新なデザインやゴージャスなジェムセットが主流のブランドとなりました。
ロジェデュブイは少量生産に徹しており、市場にもあまり出回りません。そのため腕時計上級者に好まれ、価格も上がり、名だたるブランドの最後にたどりつく、超富裕層向けの雲上メゾンとしての地位を確立しています。
2016年には日本進出を果たし、東京・銀座にフラッグシップショップをオープンさせています。
ロジェデュブイの特徴と魅力
ロジェデュブイは、芸能人やアスリートなど、世界中のセレブリティーに支持されるブランドです。
高級時計を見る目が肥えた、富裕層の心をつかむ魅力や特徴について、解説します。
著名人や芸能人に愛用されている
ロジェデュブイの腕時計は、著名人や芸能人など、今をときめくセレブリティーに支持され、愛用者も数多く存在します。
ロジェデュブイを愛用している著名人・芸能人
ATSUSHIさん(アーティスト)
GACKTさん(アーティスト)
加藤茶さん(コメディアン)
林修先生(塾講師・タレント)
前田健太さん(メジャーリーガー)
ダルビッシュ有さん(メジャーリーガー)
小川直也さん(総合格闘家)
他にも、多数の著名人や海外セレブが愛用しています。
俳優の故・松方弘樹さんも、愛用者でした。
ロジェデュブイの腕時計が著名人や芸能人など、セレブリティに愛される理由は、
・絶対的なステータス性
・唯一無二の強烈な個性
以上のふたつに集約されるでしょう。
高度な複雑機構を備えた超高級腕時計だけを、少数限定で製造するロジェデュブイの腕時計は、現代におけるオートオルロジュリー界で、絶対的なステータス性を誇ります。
強烈な個性は、腕時計の場合、デザインだけでなくムーブメントや機能性すべてに及びます。華やかな世界を舞台に活躍する著名人やアスリートにとって、個性は自身を表現するために絶対不可欠な武器です。
ロジェデュブイの腕時計は、著名人やアスリートたちの個性に負けず、より輝かせる、インパクトの礫のように強烈な、唯一無二の個性が特徴です。
斬新で独創的なデザイン
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斬新で独創的なデザインコードは、誰もが納得するロジェデュブイの特色でしょう。ブランドでも、「ロジェデュブイの辞書に不可能はない」「限界を超えることを恐れぬ傲慢」「オートオルロジュリーのトラブルメーカー」と自負しています。
星の形のブリッジ、飛び出しそうなフライングトゥールビヨンなどがありありとわかるデザインは、強烈な個性を放っています。
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文字盤に伝説の「円卓の騎士」が並び、ケース内にあらゆる「渦」が立ち上がる——。
他の追随を許さない、物語性をはらんだデザインは、見る者を一瞬でとりこにする力を持っています。
ロジェデュブイでは、かつて「ウォリアー(戦士)」「プレイヤー(社交)」「ベンチャラー(冒険者)」「ディーバ(歌姫)」という4つの世界観でコレクションを展開していました。
2016年には、「ウォリアー(戦士)」を表現するエクスカリバー、「ディーバ(歌姫)」を表現するベルベットにモデルを絞り、より独創性を極めています。
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さらに、スーパーカーで知られるランボルギーニ、そしてランボルギーニに純正タイヤを提供するスポーツタイヤ業界のピレリともタッグを組み、世界観を体現したモデルをリリースしています。
実は、見た目の衝撃にとらわれてしまいがちですが、ロジェデュブイが重視するポイントは、以下の2点です。
・ムーブメントありきのデザイン
・日常使いできる機能性の良さ
ロジェデュブイは、ムーブメントの質の高さを誇る、完全マニュファクチュールのブランドです。しかし、ただ高品質で高難度のコンプリケーションを作り上げるだけでなく、それらが「日常使いできる機能性」を有していることに重点を置いています。
実用性、機能性を高めつつも、美しさを強調する取捨選択の大胆さは、ロジェデュブイの本質が「ムーブメント、そして日常使い」にあることを教えてくれます。
インパクトのある見た目や、ゴージャスな価格に惑わされがちですが、ロジェデュブイが私たちに提供しているものの本質は、一生使える時計への「信頼」といえるでしょう。
玄人を唸らせる高い技術力
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ロジェデュブイは、時計業界で非常に高い評価を得ているブランドです。
まず、すべてのムーブメントを完全に自社製造するマニュファクチュールである点が、たった30年あまりで世界の頂点に上り詰めた技術力をものがたります。
1999年に初の自社製ムーブメントを発表して以来、2023年までの間に、33種類もの完全自社開発・自社製造の機械式ムーブメントをリリースしています。しかも、そのすべてが「ジュネーブシール」を取得しているのです。
ジュネーブシールとは、ジュネーブ州が伝統的な「Made in Geneva」であることを証明するムーブメント規格です。
すべての工程や素材、歯車など部品のひとつひとつに至るまで、細かく、かつ厳格に定められているうえ、「ジュネーブの職人」が「ジュネーブで」製作している必要があります。
あまりにも厳格な規格ゆえに、工業規格でもトップクラスの難度を誇り、スイスで製造される時計の0.1%しか取得できません。取得しているタイムピースは、ほとんどが世界七大時計ブランドで製造される、超高級腕時計に限られ、時計技師にとって最高の栄誉のひとつとされます。
そんな厳格を極めるジュネーブシールを、すべてのモデルで取得しているロジェデュブイは、世界最高峰の技術力を有すると言えます。「ジュネーブシールは目標ではなく、出発点」と言い放つ、技術力への傲慢なまでの自負は、裏返せば飽くなき研鑽への誓いでもあるのです。
しかも、ロジェデュブイは極めて高度なコンプリケーションムーブメントに、強いこだわりを持っています。
ダブルトゥールビヨンなどの超複雑機構ムーブメントを得意とし、革新を旨とするメゾンは、日々新たなる扉を開くチャレンジを続けています。
ロジェデュブイを代表するコレクション
「エクスカリバー」
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エクスカリバーは、ロジェデュブイを代表する、代名詞ともいえるモデルです。世界的に人気の高い「アーサー王騎士道物語」に登場する、魔法の力を持つ伝説の剣から名づけられました。
「未来を創造する」というブランドの魂そのもののデザインや、過剰なまでに追求された超複雑機構が特徴で、毎年発表される新作には、驚くべきコンプリケーションムーブメントが搭載されています。また、アーサー王物語に登場する、円卓の騎士を手作業で作成、ダイヤルに並べたナイツ オブ ザ ラウンドテーブルや、ランボルギーニ社とのコラボモデルも強烈な独創性を誇ります。
2023年に発表された新作モノボルテックス スプリットセコンド クロノグラフには、浮遊しているように見えるフライングトゥールビヨンが搭載されています。
コニカル モノボルテックストゥールビヨンと呼ばれ、360度回転する不思議な超複雑機構です。
珍しいターボローター円筒振動錘など、最先端技術がスケルトンケースの中で慌ただしく動くさまは、機械か魔法かあやふやになってくるほど。
最新作のナイツ オブ ザ ラウンドテーブル「氷と炎の物語」は、凍てついた氷の大地に、召喚された12の騎士が並ぶドラマティックなデザインです。
■エクスカリバー モノバランシエ DBEX0955
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星形ブリッジが特徴的な、ブラックのセラミック製エクスカリバーです。
ブラックのセラミックは、外側だけでなく、内部も深いブラック一色の、特殊な素材です。ステンレススティールの4倍という硬度を持ち、高い堅牢性を誇ります。
その硬さゆえに加工や研磨が非常に難しく、メゾンの技術力が光るタイムピースです。
モノバランシエとは、バランスホイール、つまりテンワがひとつしかない、という意味です。
通常の機械式時計ではひとつが当たり前ですが、過度に超複雑機構を搭載するロジェデュブイでは、最大で4つ搭載しているため、あえて「ひとつ」が強調されています。
世界的イラストレーターである空山基氏とのコラボモデル、モノバランシエ ソラヤマもローンチされています。
「ベルベット」
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ベルベットは、ロジェデュブイのレディースモデルで、ラウンドとトノーを組み合わせたケースデザインが魅惑的なシリーズです。
また、デザインコードは歌姫(diva)の世界観を体現しています。
しかし、「悪魔はディテールに潜みます。美は永遠のものだから」とメゾンが述べるように、小悪魔のような蠱惑的で官能的な美しさを追求しています。
高度な焼成技術を駆使したエナメルと、ダイヤモンドを大胆に組み合わせたタイムピースは、ジュエリーとして十分通用する美しさ。
レザーストラップを糸で綴じ、中世のコルセットのように編み込むなど、斬新なデザインや、遊び心も魅力です。
エクスカリバー同様、超富裕層の女性をターゲットに少数のみ製造される、極めてステータス性の高い腕時計です。
■ベルベット ホワイトゴールド DBVE0091
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ホワイトゴールドのラウンドケースのなかに、トノー型のダイヤルを組み込んだ、艶やかな逸品です。
マザーオブパールのダイヤル素地に、エナメル彫刻の花々を咲かせ、ダイヤモンドを散りばめています。
絵画のようなデザインに、ブリリアントディープルビーカラーのアリゲーターストラップが映え、まばゆいばかりのタイムピースです。
あなただけの1本が、ジュネーブできっと待っている
ロジェデュブイは、「世界にたった1本」と称されるほどの希少価値、ステータス性を持ち、ジュネーブシールを取得するほどの技術力で磨かれた腕時計です。
正真正銘、生粋のジュネーブ生まれの、メゾンのタイムピースとの出会いは、きっと一生ものとなることでしょう。
あなただけのために、職人が精魂を込めた1本を、探してみてはいかがでしょうか。
この記事を監修してくれた時計博士
Endo Youkoh
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC 上級ウォッチコーディネーター取得
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 銀座本店 販売スタッフ
1984年生まれ 神奈川県出身 時計業界2017年より
デザイン系の短大を卒業後、23歳で大手セレクトショップに入社。 主にレディースの服飾雑貨の責任者として、店頭接客・MD・VMD業務に携わる。入社10年目を機に更なるステップアップを目指し、高級時計店への転職を決意。2017年にGINZA RASIN入社。
人と話すのが好きで、スーパーポジティブな私は、現在お気に入りのIWC メカニカルフリーガークロノと共に店舗にて販売業務に従事。アパレル業界での経験を生かし、多角的な視点で記事監修を行っている。