ブレゲの伝統と歴史。愛好家を魅了し続ける理由とは?

監修:Endo Youkoh
2023/12/08

ブレゲ(BREGUET)は、世界五大時計ブランドの一角を担う、スイスでもトップクラスの一流メゾンです。
洗練されたデザインと、類まれな技術力で知られ、長い歴史のなかで数々の名機を世に出してきました。

メゾンの創設者である初代ブレゲは、希代の天才としても知られています。
ブレゲがいなければ、現代のオートオルロジュリー(高度な技術を用いた高級腕時計)はまったく違ったものになっていたでしょう。

この記事では、時計史上至高の天才ブレゲと、彼の作り上げたブランド「ブレゲ」の、歴史やモデルについて解説します。

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ブレゲとは?

ブレゲ(BREGUET)は、1775年創業の一流メゾンです。
世界五大時計ブランドの一角を担い、世界中の王侯貴族やセレブリティから愛されています。

「時計界のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と称される天才時計技師、アブラアン・ルイ・ブレゲが創設しました。

パリのセーヌ河畔シテ島にある、ケ・ド・ロルロージュ(時計河岸)で産声をあげた時計工房は、世界屈指のブランドとしてスイスの時計の谷、ジュウ渓谷に本拠地を構えています。
現在は時計界の三大コングロマリットのひとつ、スウォッチグループ傘下のブランドです。

~時計業界の三大コングロマリット~

・スウォッチ(ブレゲ・オメガ・ブランパンなど)
・リシュモン(ヴァシュロンコンスタンタン・IWCなど)
・LVMH(ゼニス・ウブロ・タグホイヤー・ティファニーなど)

初代ブレゲの孫である三代目が、自社工房で働くイギリスの時計技師にブランドを売却し、ブレゲはブレゲ家の手から離れます。
その後、フランスの宝石商ショーメの手に渡り、1976年に自社工房をスイスのジュウ渓谷に移しました。

ブレゲはショーメからフランス資本の流通系PPR、サウジアラビア系投資会社などを経て、1999年にスウォッチ傘下に入りました。

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出典:https://www.breguet.com/

スウォッチ社長のニコラス・G・ハイエックがブレゲ社長も兼任し、メゾンの再興と時計技師・ブレゲの再評価に尽力、ブレゲは再び時計業界で脚光を浴びます。
現在は、ハイエック社長の孫にあたるマーク A. ハイエック氏から、苦楽を共にしてきたリオネル・ア・マルカ氏へとCEOの座が譲られています。

時計の歴史を200年早めたブレゲ

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出典:https://www.breguet.com/

メゾンの創業者は、時計界のレオナルド・ダ・ヴィンチと称される、アブラアン・ルイ・ブレゲです。
天才時計技師ブレゲは、時計の歴史を200年早めたと言われるほどの功績を残しました。

ブレゲは、1747年にスイス・ヌーシャテルの名家に生まれました。
若くして父を亡くし、母の再婚相手が時計技師だったことから、時計界との関りが生まれます。

15歳で時計技師としての修行のためにフランス・ヴェルサイユへ移り、その後パリで修行を重ねたブレゲは、時計技師としての生涯の多くをフランスで過ごしました。

時計技師として研鑽を積む一方で、ブレゲは大修道院長のジョゼフ-フランソワ・マリー神父と親交を深め、博識な神父から物理学、光学、天文学、機械工学などを学びました。
これらの知識は、ブレゲが時計技師として数多くの発明を世に放つための基礎となったのです。

アブラアン・ルイ・ブレゲは、時計に関する天才発明家でした。
世界三大複雑機構と呼ばれる、ミニッツリピーター、パーペチュアルカレンダー、トゥールビヨンはすべて、ブレゲの発明によるものです。

他にも、ブレゲは様々な時計に関する発明をし、数々の栄誉を贈られています。
アブラアン・ルイ・ブレゲが200年も前に残した発明を、年代を追って一部ご紹介します。

 

1780年 ペルペチュエル (「オートマティック」自動巻き時計)
1783年 ミニッツリピーター用ゴング
1790年 パラシュート機構(耐衝撃吸収機構)
1795年 パーペチュアルカレンダー
1801年 トゥールビヨン
1810年 クイーン・オブ・ネイプルズ(初の腕に装着する時計)
1815年 マリン・クロノメーター
1820年 スプリットセコンド・クロノグラフ
1827年 超複雑時計「マリー・アントワネット」

スプリットセコンド・クロノグラフの発明は、現代のスプリットセコンド・クロノグラフの起源となり、今も大きな影響を与え続けています。

また、航海が主たる国交手段だった18世紀~19世紀のヨーロッパでは、海上で船の経度が正確にわかる「マリン・クロノメーター」は、非常に重要なアイテムでした。
映画『パイレーツオブカリビアン 最後の海賊』のヒロインは、天文学者でマリン・クロノメーターを用いて宝のありかを探している、という設定でしたね。

ブレゲは、大変精度の高いマリン・クロノメーターを開発します。
フランス王室はこの偉業を称え、ブレゲに海軍省御用達時計師(オルロジェ・ドゥ・ラ・マリーン)の称号を与えています。

当時、優れた「マリン・クロノメーター」の製造者として国家に認められることは、時計技師にとって最高の栄誉でした。
ブレゲは、卓越した功績に対し、ルイ18世からレジオン・ドヌール勲章を授与されました。

 

フランス貴族に愛されたブレゲの時計

ブレゲが学んだ大修道院長のジョゼフ-フランソワ・マリー神父は、フランス王室や貴族にブレゲを紹介しました。

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出典:https://www.breguet.com/

ブレゲが手がけた時計の数々は、あっという間にフランス社交界で話題となり、ついには国王ルイ16世や王妃マリー・アントワネットも顧客名簿に名を連ねます。

ブレゲが自ら手掛けた時計でもっとも有名なもののひとつに、マリー・アントワネットの懐中時計があります。
クリスタルと金でできた時計は、44年の歳月をかけて完成したときにはすでに、王妃が処刑台の露と消えた後でした。

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懐中時計には、当時最先端の複雑機構をできる限り詰め込むよう、王妃から命じられていました。
なかには、恒星時から割り出す平均太陽時と、現実の天体の運行に基づく真太陽時との時間の差である「均時差(イクエーション・オブ・タイム)」を表示する、天文学的にも難解な機能まで搭載されています。

現代に至るまでに一度行方不明となり、ブレゲがメゾンの歴史と技術の総力を挙げて復元するも、完成の1年前に本物が発見された、という逸話は有名です。

他にも、ナポレオンや妻のジョセフィーヌ、イギリス国王ジョージ4世やビクトリア女王、イタリアの作曲家ロッシーニなど、錚々たる王侯貴族や著名人が顧客として名を連ねます。

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特にロシアの王侯貴族に大変愛され、皇帝(ツァーリ)アレクサンドルは熱心なブレゲのファンでした。

ナポレオンの妹、ナポリ王妃カロリーヌ・ミュラのために作られた時計は、腕に巻き付けることができるスタイル、つまり一点ものではありますが、世界最初の腕時計だったとされています。

 

ブレゲが創作した歴史的な価値

天才技術者だったアブラアン・ルイ・ブレゲは、時計界に数多くの革命的発明をもたらしました。
さらに、ブレゲは装飾やデザインにおいても、天賦の才に恵まれていました。
素晴らしいデザインを思いつき、実現する技術力を持ちえたブレゲのタイムピースは、高い機能性と芸術品のような美しさを兼ね備えています。

ブレゲというメゾンが愛され続ける理由である、アブラアン・ルイ・ブレゲの創作した歴史的価値について解説しましょう。

 

世界三大複雑機構の発明

ブレゲが発明した複雑機構のなかでも、現在世界三大複雑機構に数えられるものが、パーペチュアルカレンダーやミニッツリピーター、トゥールビヨンの3つです。

 

パーペチュアルカレンダー

腕時計が稼働する限り、うるう年も関係なく日時を自動調整する機能で、永久カレンダーとも呼ばれます。

 

ミニッツリピーター

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小さなゴングを搭載し、決まった時間にベルの音が鳴る機能で、暗闇でも時間がわかります。

 

トゥールビヨン(トゥールビヨン脱進機)

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姿勢差によるズレを修正する機構です。
フランス語で「渦」という意味をもち、渦巻き状のヒゲゼンマイにかかる重力の影響を軽減します。
時計は傾きによって進度が変化しやすい繊細な機械ですが、トゥールビヨンは傾きによるズレを最小限に抑え、どんな角度でも正確なリズムを保ちます。
複雑機構の中でも最高レベルと言われる高度な技術で、以前は組み立てられる時計技師が世界に10人しかいない、と言われていました。

以上にご紹介した機構は、数多くの複雑機構のなかでも世界三大複雑機構と呼ばれ、すべてをブレゲが発明したことからも彼の天才ぶりがわかります。

また、ブレゲは現在の自動巻き機械時計に欠かせない機構も発明しています。
1780年に発明したペルペチュエル機構は、現在のローターによる自動巻き機構の礎となっています。

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懐中時計だった当時、ブレゲは、持ち主が歩いたり馬車に乗ったりすると、ムーブメントに取り付けた分銅が上下に振動、ぜんまいを自動的に巻き上げる機構を開発しました。

ブレゲは信頼性が証明された機構に「モント・ペルペチュエル」(永久時計)と名づけて、当時の仏オルレアン公に販売しています。
世界初のモント・ペルペチュエルを搭載した時計は、なんと初のパワーリザーブインジケータ(ゼンマイの巻き上げ残量表示)と、初のスモールセコンドも備えていたそうです。

 

伝統的な外装様式

デザイナーとしても天才的な才能を持っていたアブラアン・ルイ・ブレゲは、外装様式にも革命を起こしました。
ギョーシェ彫りやブレゲ針・ブレゲ文字、コインエッジ装飾など、ブレゲが開発した外装様式は、美しいだけでなく時計には欠かせない機能性も持ち合わせています。
現代の時計にも受け継がれる、ブレゲの外装様式について解説します。

ギョーシェ彫り

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出典:https://www.breguet.com/

ギョーシェ彫りは、ダイヤルに施される彫金で、細かなパターンを繰り返すデザインです。
熟練の職人が、手動旋盤を用いて手作業で彫りこむギョーシェ彫りは、ダイヤルの反射を抑えて時計の視認性を高め、独特の高級感をもたらします。

宮廷の彫金技術を進化させたギョーシェ彫りには、様々な種類があり、初代ブレゲが発明しました。
傑作「ロシア皇帝ツァーリの目覚め」には、実に7つものギョーシェ彫りがダイヤルに施されています。

よく使用される、主なギョーシェ彫りをご紹介します。

 

クル・ド・パリ ピラミッドのような「四角錐」を規則的に並べた模様。
名前は「パリの爪」という意味。
ソレイユ 「太陽」という意味の、放射状の集中線が太陽光のように広がる模様。
ダミエ 市松模様。
ヴュー・パニエ 「古いカゴ」を意味する、円弧を重ねた網目のような模様。
ヴァーグ 波模様。ソレイユと組み合わせたものもある。
グレンドルジュ バーリーコーンとも。麦の穂のような模様。
フラメ 円弧の大きさを変えつつ重ねる、炎のような揺らぎをもたらす模様。

 

このほかにもまだまだ種類があり、派生模様や組み合わせを考えれば無数にあるといえるでしょう。

ギョーシェ彫りを手がけるメゾンのメティエダール(芸術的な職人技術を誇る匠たち)は、ブレゲの装飾だけでなく、ブレゲのタイムピースの根幹にかかわっています。

ブレゲ針

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ブレゲでは、一目でブレゲとわかる特殊な装飾を施した針を文字盤に用いています。
ブレゲ針と呼ばれる形式で、針に月のような輪を備え、先端が剣先のように尖ったデザインです。

この斬新なデザインも、初代ブレゲによって考案されたものです。
1783年ころに誕生したブレゲ針は品のあるデザイン性だけでなく、視認性にも優れています。
ブレゲの時計はもちろん、他のブランドの高級時計にも採用される人気の高いデザインです。

ブレゲ数字

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くるんと先端が丸まった、愛らしくもエスプリの利いたインデックスの数字は、初代ブレゲ自身がデザインしたものです。
ブレゲ数字と呼ばれ、今も親しまれている書体です。

フランス革命前からブレゲではブレゲ数字を使用しており、当時は分目盛りに小さな星や百合の花などがデザインされていました。

ブレゲ数字はブレゲの時計だけでなく、他のブランドでも人気の書体として使用されています。

 

コインエッジ装飾

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ブレゲが生み出したもののひとつが、現在「コインエッジ装飾」と呼ばれる飾り彫りです。
日本の100円玉のような細かいギザギザ模様が、外周にぐるりと刻まれています。

ゴールド素材に熱を加えず、常温のまま圧力を加える「冷間鍛造」(冷鍛)加工を施し、固定したのち、熟練の職人によって刻まれます。
18世紀から現代へ、すべてのモデルに受け継がれています。

 

シークレット・サイン

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出典:https://www.breguet.com/

ブレゲは、創業からほどなくして、王侯貴族に愛されるトップブランドへと成長しました。
そのため、なんと初期の18世紀から偽物の流通に悩まされてきました。

そこで考案された「本物の証」がシークレット・サインです。
鋭いノミを使って、文字盤に薄く彫られた小さな「BREGUET」の飾り文字は、よく観察しなければ見えません。
現在でも、様々なタイムピースに本物の証として彫りこまれ続けています。

 

個別の番号

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出典:https://www.breguet.com/

ブレゲは、腕時計に識別番号でもあるリファレンスナンバーを打っています。
最初の4桁の数字は時計本体にも刻まれるモデルナンバーで、数字の組み合わせでモデルや裏蓋の種類などがわかります。

型番からは他にもケースの素材や装飾、文字盤の形式、ベルトの素材など様々な情報が読み取れます。
個別番号はモデルを識別するだけでなく、シークレット・サイン同様本物の証左となるものです。

 

ラグ

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出典:https://www.breguet.com/

ラグは時計のケースとストラップを繋ぐ、ブリッジ部分を指します。
ブレゲのラグは他のブランドと比較し、一見細くて丸みを帯びた、たおやかな印象です。

しかし、機構を見てみると、一般の時計がバネ棒で時計とストラップを留めていることに対し、ブレゲはバーを設けて両端をストラップに固定しています。

見た目の繊細さと、強固な固定力を持つブレゲのラグは非常に特徴的で、ファンも多いパーツのひとつです。

 

ブレゲを代表するコレクション

ブレゲを代表するコレクションをご紹介します。
なかでも、定番のクラシック、マリーン、アエロナバル/トランスアトランティック、トラディションについて、モデルの特徴や魅力などを解説します。

 

洗練された美しさをもつ「クラシック」

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クラシックは、ブレゲの伝統的な外装様式を再現した、メゾンを代表するモデルです。
その名のとおりクラシカルな風格あるドレスウォッチで、アブラアン・ルイ・ブレゲが手がけた懐中時計にインスパイアされて、1972年に誕生しました。

ブレゲはデザインにおいても稀有な才能の持ち主でした。
クラシックのデザインコードである「高精度であること」「視認性が高いこと」「洗練されていること」からも、ブレゲのセンスの高さがうかがえます。

シンプルで薄型ながら手巻き・自動巻き・複雑機構と様々なバリエーションを展開していますが、ブレゲ針を使用しているなどの特徴があります。

 

クラシック 5207BB/12/9V6

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ホワイトゴールドのケースとシルバーの文字盤に、ブルースチールのブレゲ針がくっきりとアクセントになっている、スーツによく合う上品なタイムピースです。
12時位置と6時位置にレトログラード式のパワーリザーブとスモールセコンドを配した、左右対称のデザインが静寂さを感じさせます。

文字盤、レトログラード部分、外周にはびっしりとギョーシェ彫りを施し、ケース横にはコインエッジが刻まれています。
シースルーバックからは、ギョーシェ彫りが丁寧に施されたローターが見え、外装にもこだわるブレゲらしさの詰まった逸品です。

現代的な意匠をもつ「マリーン」

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マリーンは、1990年リリースのスポーツウォッチです。
クラシックなど他のブレゲウォッチ同様、格式の高さや品の良さを持ちながら、スポーティーな側面も持っています。
ブレゲはフランス海軍のマリン・クロノメーター開発に携わる栄誉を与えられており、その歴史を感じさせるモデルです。

高い防水性能やリューズガード、サンドウィッチ構造のケースなど、スポーツウォッチとしての機能を持ち、現代的に解釈されたデザインが特徴です。
現代的ラグジュアリースポーツウォッチのポイントを押さえつつ、ギョーシェ彫りやコインエッジ装飾など伝統を継承しています。
ハイスペックなスポーツウォッチでありながら、主張しすぎない品の良さがファンから愛されています。

マリーンクロノグラフ 5527BB/Y2/5WV

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海を思わせるディープブルーの文字盤に、波模様を表すギョーシェ彫り「ヴァーグ」を大胆にあしらったモデルです。
これまたブレゲが発明したクロノグラフモデルで、3眼を下部にまとめてすっきりとしたデザインに仕上げています。

クロノグラフ針の後端部には、海洋信号旗の「BRAVO」をかたどった「B」型がデザインされています。
蓄光性能が高いアワーマーカーとブレゲ針によって、視認性もアップしました。
他のモデルよりも厚めのケースには、コインエッジ装飾が施されています。

ラバーストラップも付属しており、スポーティーに楽しめるラグジュアリースポーツウォッチです。

 

軍用時計がルーツ「アエロナバル/トランスアトランティック」

洗練された上品なデザインが特徴のブレゲコレクションのなかで、異彩を放っているモデルがアエロナバルとトランスアトランティックです。

アエロナバルは1950年代に海軍航空部隊のために開発された、パイロットウォッチです。
「アエロナバル」とは「フランス海軍航空部隊」を指します。
1995年に、民間用に自動巻きを搭載してリリースされましたが、パイロットウォッチとしての外観をそのまま残しています。

2005年リリースのトランスアトランティックは、アエロナバルから派生したモデルで、より現代的で高級感のあるデザインが特徴です。
トランスアトランティックとは「大西洋横断」を意味します。

いずれも軍用パイロットウォッチが原型で、他のブレゲコレクションと比較すれば無骨でミリタリー色の強いモデルです。
しかし、コインエッジ装飾などのブレゲ伝統様式も盛り込み、いわゆるパイロットウォッチとしては上品な仕上がりになっているところが、ブレゲらしさでしょう。

2023年には、ミリタリー仕様のタイプ20と、民間仕様のタイプXXがリリースされ、いずれもファンを魅了しています。

 

タイプ XX 2067ST/92/3WU

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出典:https://www.breguet.com/jp

新作パイロットウォッチのうち、民間仕様とされるモデルです。
ビッグ・アイ仕様の積算計を3時位置に持つ3眼クロノグラフで、針の形状やインデックスのアイボリーカラーがレトロな風情をプラスしています。

ブラックダイヤルに、三角マーカーとアラビア数字が刻印された両回転式ベゼル、存在感のあるリューズなど、堂々たる風格で、ケースサイズも42mmと大きめです。
ブレゲミュージアムに所蔵されている、1967年製タイプXXにインスパイアされたタイムピースです。

 

斬新なデザインが魅力的な「トラディション」

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トラディションは、伝統的なデザイン様式と、最新鋭の技術をあわせもつモデルです。
初代ブレゲが活躍した18世紀は、懐中時計の時代でした。

実際にブレゲが発明して使用されていた耐衝撃機構「パラシュート」や、正確性を保つ「可変慣性テンプ」を搭載しています。
スケルトナイズしたケースに、ブレゲ発案の機構を備えたムーブメントを収めたトラディションは、時計の鼓動を如実に観察できる、ブレゲファン必見のモデルです。

ブレゲ自慢の緻密なエングレービング技術や三大複雑機構など伝統技巧を使用しつつ、最新鋭の技術も取り入れたユニークな逸品ぞろいです。

 

トラディション 7597BB/GY/9WU

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出典:https://www.breguet.com/jp

オフセンターのブルー文字盤にはぎっしりとギョーシェ彫りを施し、コインエッジも備えたスケルトンのタイムピースです。
くるくると動き続ける内部機構も、芸術的な伝統技巧も楽しめます。

トラディションには、トゥールビヨンやミニッツリピーターを備えたモデルもあり、お好みの複雑機構をじっくり観察できる楽しみがあります。

 

時計界に舞い降りた天才ブレゲが残し伝えたもの

時計の歴史を200年早めた時計業界のレオナルド・ダ・ヴィンチこと、アブラアン・ルイ・ブレゲ。
彼の残した偉業と、伝えたメゾンは現代においてもまったく古びることなく世界中で活用され、愛されています。

今後も伝えられていくであろうブレゲの美的技巧や機械技術は、世代を超えて人々を魅了し続けるでしょう。
そして、ブランドは初代の遺産に甘んじることなく、日々研鑽と研究を続け、毎年素晴らしいタイムピースを世に送り出し続けています。