ロレックスの三大発明をご存知でしょうか。それは「オイスターケース」「パーペチュアル機構」「デイトジャスト機構」という時計史に刻まれた発明ですが、このうちの2つを兼ね備えたロレックスの原点を現在に伝えるモデルがオイスターパーペチュアルです。
シンプルで普遍的なデザインが魅力的なオイスターパーペチュアルは、他のモデルとは一線を画する存在です。今回はロレックス オイスターパーペチュアルの魅力と特徴、人気モデルについてもご紹介していきます。
オイスターパーペチュアルとは
オイスターパーペチュアルが誕生したのは1933年で、世界初の自動巻き防水時計として誕生しました。「ロレックスの原点」と言われるモデルです。
このモデルをベースとして、後にエクスプローラー、サブマリーナー、ミルガウス などロレックスのプロフェッショナルモデルが広がっていきました。
時計ファンから長く愛されてきたオイスターパーペチュアルには、どんな特徴や魅力があるのかご紹介します。
ロレックスの三大発明
オイスターパーペチュアルをご紹介するうえで欠かせないロレックスの三大発明についてご紹介します。ロレックスの三大発明とは以下の3つです。
・防水性(防塵性)の高いオイスターケース
・自動でゼンマイが巻き上がるパーペチュアル機構
・瞬時に日付が変わるデイトジャスト機構
この3大発明のうち、「オイスターケース」と「パーペチュアル機構」を兼ね備えたモデルがオイスターパーペチュアルです。
オイスターケースやネジ込みリューズの開発に成功したロレックスでしたが、この2つを持ってしても完全防水というのは難しく、“パーペチュアル機構”を開発するに至ります。
出典:https://www.bobswatches.com/
この当時の機械式腕時計は、時計を動かすためのエネルギーを供給するために手で巻き上げることが必須でした。その際にリューズを緩めなければならないため、湿度や汚れが時計内に侵入する可能性がありました。
湿度などの侵入を防ぐためには、リューズを緩めることなくムーブメントが自動的に巻き上げられる方法を考える必要があり、ロレックスは数年間の研究を経て1931年に「パーペチュアル」と呼ばれる機構を開発し、特許を登録しました。
“パーペチュアル機構”は、ゼンマイを巻く必要がない全回転式ローターを持つ自動巻きの機構です。
これによりネジ込み忘れによる浸水の心配は減り、手首の動きによりメインスプリングと噛み合ったローターが回転し、時計をつけたままでゼンマイが巻かれるようになりました。
普遍的なデザイン・豊富なバリエーション
オイスターパーペチュアルは、ロレックスの原点とも言われるだけあり、昔から変わらないシンプルなデザインも魅力の一つです。
ラグジュアリースポーツの原点とも言われる、パテックフィリップのノーチラスとロイヤルオークを手がけた伝説的なデザイナージェラルドジェンタ氏にも「ロレックスのオイスターのデザインだけは手がけたかった。あれほど完成されたデザインはない。」と言わしめたほどです。
老若男女問わずつけることができるモデルで、「デイトジャストはきらびやかすぎる」など気後れしてしまうような人にもぴったりのロレックスです。普遍的なデザインはつける人を選ばない“万能な時計”と言えるでしょう。
出典:https://www.rolex.com/
また、文字盤のデザインはシンプルですがカラーの違いや、モデルによって夜光インデックスがあったりサンレイ仕上げのものがあったりと細かい違いがあり、選ぶ楽しみもあります。
特にヴィンテージモデルにはファインリーエンジンターンドベゼルや、ステンレススティール×ゴールドのロレゾールモデルなども存在し、人と違ったロレックスを探すのも面白いでしょう。
手に取りやすい価格帯
「ロレックスは高い」というイメージがありますが、オイスターパーペチュアルは他のモデルに比べて価格的に手に入れやすいのも魅力です。
例えばデイトジャストやサブマリーナーが120万円前後、エクスプローラーが80万円前後ですが、オイスターパーペチュアルは50万円〜と比較的購入しやすい価格です。
サイズ展開が豊富
オイスターパーペチュアルは、メンズ・レディース合わせて【28、31、34、36、41mm】と多彩なサイズ展開をしているのも魅力の一つです。
34mmサイズのモデルはかつてエアキングとされていましたが、オイスターパーペチュアルに集約されました。
腕時計はデザインだけでなくケースサイズも重要です。これだけサイズが豊富なら自分にぴったりなサイズを見つけることができるのではないでしょうか。
オイスターパーペチュアル人気モデル
オイスターパーペチュアルの中で人気の高いモデルをOwllar編集部で独自にピックアップしてご紹介していきます。
Ref.114300
2015年に発表されたRef.114300は、最も人気の高い39mmサイズモデルです。
エクスプローラーIと同じムーブメントCal.3132が搭載されています。
Cal.3132は2010年以降のノンデイトモデル全般に搭載される基幹ムーブメントであり、パワーリザーブは48時間と最新モデルと比べると物足りない気はしますが、耐磁性・耐衝撃性・巻き上げ効率に優れており日常生活において実用性は申し分ありません。
働くビジネスマンにとっては大変使いやすいモデルで、文字盤バリエーションにはブラック、ホワイト、シルバー、ブルー、レッドグレープ、グレーなどが存在します。
Ref.116000
2008年に発表されたRef.116000は、ケース径36mmです。
39mmサイズのRef.114300よりも製造期間が長いことから中古市場でも結構流通していてロレックスファンに喜ばれています。
ブラックコンセントリックなど、今ではない文字盤デザインも存在し、他にもホワイトグレープ、シルバー、ブラック、ブルー、レッドグレープ、グレーなどの文字盤カラーがあります。
ムーブメントはクロノメーター認定のCal.3130を搭載しています。
2012年から、cal.3130はパラクロム・ヘアスプリングを装備し、磁気と衝撃、さらに温度変化に対しても耐性を発揮しています。
スーツにも似合うノンデイト仕様の36mm径で、ドレスモデルとして求める方の多いモデルです。
Ref.114200
2007年から2014年までRef.114200は、エアキングとして製造されていました。
2014年のマイナーチェンジで、文字盤から「Air-King」のロゴが消えて「オイスターパーペチュアル34mm」として展開するようになりました。
ムーブメントはクロノメーター認定のcal.3130を搭載し、文字盤中央下には「PRECISION」の印字がなくなり、ダイアル6時の位置の上に「CHRONOMETER CERTIFIED」の印字が入りました。
ブルーコンセントリック、シルバーコンセントリック、ピンク・ブルーなど文字盤のカラーバリエーションとデザインが豊富で、特にオリーブグリーンの文字盤が人気です。
非常にレアな個体としてドミノピザとのWネームモデルも存在し、市場価値が高くなっています。
デイト表示を持たないシンプルさと小ぶりなケース径で女性の方にもお勧めなモデルです。
Ref.6564
1950年代~1960年代に製造されたRef.6564に搭載されているムーブメントCal.1030は、
ロレックスのターニングポイントとなった機械です。初めて両方向巻き上げ方式を採用し、世界初の量産化に成功しました。
ローター部分が蝶のように見えることから、バタフライローターと呼ばれています。
ケース径は34mm。ドーム型プラスチック風防が使用されており、くさび型インデックスの個体などもありヴィンテージらしい風合いが人気です。
年々個体数が減っており、見かけることが少なくなったモデルです。
Ref.126000
2020年に発売されたRef.126000は、文字盤のカラーがブライトブラック、キャンディピンク、ブライトブルー、ターコイズブルー、イエロー、ターコイズブルー、セレブレーションモチーフ、コーラルレッド、グリーン、シルバーと豊富です。
カラフルな文字盤に注目が集まり、現行モデルなので人気が高くカラーによってはデイトナより入手困難といわれています。
オイスターパーペチュアルデイト
1950年代後半にはカレンダー表示もついた”オイスターパーペチュアルデイト”も発売されました。(現行モデルではデイト付きは販売されていません)
当初はデイトジャストのように日付けが瞬時に変わるものではありませんでしたが、1970年代には同じキャリバーが搭載され、現在ではケースの大きさ以外にあまり違いはありません。
当時36mmケースだったデイトジャストに対して、小振りな34mmケースを採用していたことから腕の細い方や小振りな時計を好む方から支持されてきましたが、2021年には生産終了となりました。
生産終了モデルで希少性が高いので実勢価格は70万円〜となっていて人気があります。
Ref.15210
1990年から2007年まで生産されたRef.15210は、細かな線が放射状に刻まれた現行モデルにはない「ファインリーエンジンターンドベゼル」が採用されています。ケース径は34mm。
文字盤色にはブラック、ブルー、シルバー、ホワイト、グレーなどがあり、センターローマインデックスやアラビアインデックスの個体も存在します。
シンプルなデザインは着用する場面を選ばず、ビジネスでもプライベートでも活躍する汎用性の高いモデルです。
最後に
オイスターパーペチュアルは、2020年には新世代モデルとしてビビッドな文字盤カラーが登場して大きな話題を呼ぶなど、時代に合わせてイメージも刷新されており、定番人気となっています。
文字盤のカラーも豊富なので「人とかぶらないロレックスが欲しい」という方にもうってつけです。
状態の良いヴィンテージモデルについては、年々個体数が減ってきていますので迷った時は決断の時かもしれませんね。
この記事を監修してくれた時計博士
Onoda Koichi
一級時計修理技能士取得
高級時計専門店GINZA RASIN 本社 ロジスティック部 商品管理課 主任
1982年生まれ 神奈川県出身 時計業界2005年より
大学卒業後、時計の販売や修理受付を経験した後、修理専門学校に入学。メンテナンスの基本知識を学ぶ。2009年に専門学校卒業後、時計専門の修理会社や国内メーカー、正規輸入代理店で腕を磨き12年以上の時計修理実務経験を経た後、2023年3月より商品管理業務に従事。
なお、国内メーカー在籍時、時計技能競技全国大会に出場した経歴を持つ。