ロレックスといえば、時計ファンなら誰もが憧れるハイブランドですね。
その中で最高峰と位置付けられているのはデイトナだと思っている方が多いのではないでしょうか。
実は最上位モデルは今回ご紹介するデイデイトなんです!
デイデイトは曜日・日付表示機能を持ち、その魅力はなんといってもゴールドやプラチナなど高級素材のみで作られていることです。
今回はデイデイトが最高峰といわれる理由や誕生の背景と、注目モデルや中古価格(実勢価格)についてもご紹介します!
ロレックスデイデイトとは
デイデイトはロレックスのなかでも最高峰とされ、「成功者の時計」と呼ばれています。
豪華仕様となっていて、ステンレスやロレゾール(コンビ)は存在せず、金無垢モデルのみのラインナップです。
そんなデイデイトの歴史や特徴、最高峰といわれる魅力についてご紹介します。
デイデイトの歴史
出典:https://www.bobswatches.com/
デイデイトが誕生したのは1956年です。デイト表示に加え、フルスペルの曜日をダイアル12時位置の窓に表示する世界初のカレンダー腕時計として注目を集めました。
サファイアクリスタル風防には、デイト表示を判読しやすくするためにサイクロップレンズを備えており、これは後のオイスター パーペチュアル コレクションの他モデルにも採用されるようになりました。その当時、各曜日を表示できる仕組みは、他の時計ブランドにはありませんでした。
当時のロレックスはブランディング戦略によって世界中に知名度を広げていた時期であり、デイデイトはロレックスの最上級ラインとして開発されました。
サブマリーナやデイトナがスポーツウォッチとしてメディアに注目される中、デイデイトに求められたのは圧倒的なステータス性でした。
初代デイデイトRef.6511のブレスレットは、一般の時計のようなステンレススティール製ではなく、18Kゴールド(金無垢)を使用したプレジデントブレスレットが採用されました。これまでのモデルとは仕様を大きく変えることでデイデイトは「特別な時計」と位置付けられていました。
また、デイデイトは第34代アメリカ大統領であった、ドワイト・D・アイゼンハワー大統領に贈呈されたことでも有名です。
メディア戦略に長けていたロレックスはデイデイトに「大統領が持つ時計」というイメージを定着させるため、35代目以降の大統領にもデイデイトを贈呈し、世界中にデイデイトが最高級の時計であるということを認識させました。
その後も大統領だけでなく、数々の著名人がデイデイトを愛用し、さらには多くの映画にも登場することで、デイデイトは「成功者が持つ時計」と呼ばれるようになりました。
素材は金無垢のみ
デイデイトはロレックスでは異例の”金無垢のみ”のモデルです。
その素材は華やかなイエローゴールド・エレガントなホワイトゴールド・ロレックス独自の合金エバーローズゴールド・気品あるプラチナの厳選素材4つで、素材からして高級なモデルとなっています。誕生から68年経過した現在でも、変わることなくロレックス社の最高峰モデルとして生産され続けています。
エバーローズゴールドは、2005年頃から登場したピンクゴールドです。従来の18Kピンクゴールドとは異なり、少量(2%)のプラチナを配合することで色の劣化に対する耐久性を高めることで、美しい輝きを長く保つことができると人気の素材です。
プレジデントブレスレット搭載
デイデイトに使われている「プレジデントブレス」は、1956年に当時の米国大統領ドワイト・D・アイゼンハワー氏にデイデイトが贈られたことがきっかけで、この名称で呼ばれるようになりました。ハイエンドラインにのみ使用されている3連ブレスレットで、18Kゴールドとプラチナのみのラインナップとなっています。
コマが5連のジュビリーブレスに対し、プレジデントブレスは3連のクラシックな雰囲気で、
スポーツモデルなどに用いられる3連のオイスターブレスよりもドレッシーな印象であることはもちろん、コマが細い分、動きも非常に滑らかです。
デイデイトだけの曜日表記
出典:https://www.rolex.com/
デイデイトの曜日表示は12時位置に付いており、英語で各曜日が記されているのが基本です。
これはデイデイトのみに搭載されている機能です。一般的に時計の曜日カレンダーは頭3文字で表示されるモデルが大半ですが、デイデイトは世界初のフルスペルでの曜日表示機能を搭載しています。
また、曜日カレンダーの言語は英語以外にも26の言語表記が存在しており、英語以外にもフランス語ドイツ語イタリア語といった言語にも、日本ロレックスに依頼すれば変更することができます。なかには日本語表記の大変珍しいモデルも存在します。
最新鋭のムーブメントを搭載
出典:https://www.rolex.com/
デイデイトには、最新スペックのムーブメントが優先して搭載されるという特徴があります。
1970年代頃に登場したデイデイトに搭載されていたムーブメントはCal.3055、そしてその次の世代はCal.3155、そして現行モデルに搭載されているCal.3255とデイデイトが搭載するムーブメントは他のモデルよりひと足早く登場しています。
ちなみに現行モデルに搭載されている“Cal.3255”は、14件の特許を習得したロレックスの技術を最大限に活かしながら精度、パワーリザーブ(約70時間)、耐衝撃性と耐磁性、快適な使用感と信頼性においてその当時ロレックス社の最高傑作ムーブメントとされていました。
前作のCal.3155を直径や厚みを変えずにさらに進化させ、「日付変更禁止時間帯」もなくなっています。
デイデイト・デイトジャストの違い
1956年に誕生したデイデイトと1945年に誕生したデイトジャストは名前が似ていますがどんな違いがあるのでしょうか。
大きな違いは以下のポイントです。
・デイトジャストは「デイト表示あり」、デイデイトは「デイト表示・曜日表示あり」のモデル
・デイトジャストは手に入れやすいスタンダードモデル、デイデイトは高級感あるハイクラスなモデル
デイトジャストはロレックスのスタンダードとして人気のモデル。実勢価格はその状態にもよりますが50万円前後〜探すことができます。
対してデイデイトは、プラチナ・ホワイトゴールド・イエローゴールド・ピンクゴールドの高級素材のみで作られているため、実勢価格は250万円前後〜となっており、出荷本数も限られているといわれています。
デイデイトの種類
デイデイトの種類は大きく分けて「デイデイト36」「デイデイト40」「デイデイトII」の3種類です。
フォーマルな印象のケース径36mmを基準サイズとして製作されてきましたが、2009年にケース径41mmの「デイデイトII」を発表します。
「デイデイトII」は存在感があり、大きめであることからカジュアルな雰囲気も出せると人気でしたが、2015年にはケース径40mmの「デイデイト40」がバーゼルワールドで発表され生産終了となりました。
2019年にはケース径36mmモデルの後継機種として、新世代ムーブメントを搭載した「デイデイト36」が登場します。
日差±2秒と公認クロノメーターの約2倍の精度を実現したCal.3255がムーブメントに採用され、スペックが大きく向上しています。
ケース径36mmのモデルは、細身の日本人にとって最も馴染みのあるサイズであり、常に高い人気となっています。
文字板やベゼルのバリエーションが豊富
デイデイトは、文字板・素材・ベゼルなどのバリエーションの豊富さが魅力のモデルでもあります。化石や、宝石、天然石を使用し、個性的なインデックスの個体もあり、選ぶ楽しみがある時計です。
ここからは組み合わせのバリエーションを一部ご紹介します。
ベゼルバリエーション
左はフルーテッドベゼルです。Ref.18238 2BRの文字板に使用されているアンモナイトは個体によって模様が異なるため唯一無二の貴重なモデルです。
右はドーム型ベゼルです。Ref.118206はプラチナモデルにしか使われない美しいアイスブルーでさらに珍しいウェーブ模様文字板のモデル。インデックスはアラビア数字デザインです。
左はベゼルにダイヤを使用したモデルです。Ref.18348Aはレッドグラーデーションカラーの文字盤に8Pダイヤをセッティングし、インデックスの6時・9時位置にはバゲットダイヤを使用した豪華なモデルです。
右はバークベゼルで、ベゼルに施した縦溝が樹皮のように不規則であることが特徴です。Ref.18308はベゼルとブレスの中央がバーク仕上げになっています。さらにベゼルには12個のダイヤモンドがセッティングされ、他のバークモデルとは一線を画した存在感です。
ダイヤ素材のバリエーション
左はベゼルにダイヤモンド、さらに文字板に8Pのラウンドダイヤモンドと、2Pのバケットダイヤモンドをセッティングした贅沢な仕上げのモデルRef.118346Aです。文字板は美しいアイスブルーの彫りコンピューターとなっており、特別な存在感を演出してくれます。
右は文字板にパヴェダイヤを贅沢に敷き詰め、インデックスとして配された色鮮やかなレインボーサファイヤが一際目を惹く輝きを放つRef.128239Aです。
左は角度によって表情を変える美しいホワイトシェル文字板に8個のダイヤ、6・9時位置には2個のバゲットダイヤをセッティングしているモデルRef.128235NAです。
右はローマンインデックスの隙間を埋めるようにパヴェダイヤが配置された「ミリヤード」と呼ばれるデザインの文字板を持つモデルRef.18238MRです。ダイヤモンドとイエローゴールドの輝きがより一層高級感を引き立てるモデルです。
文字板のバリエーション
左は希少石のオニキスが使用された文字板のモデルRef.18238Gです。オニキスは悪霊を祓う石と言われている魔除けの石で、嫉妬や妬みなど悪い感情から持ち主を守ってくれると言われています。
右はブラッドストーン(ヘリオトロープ)が使用された文字板のモデルRef.18238です。ブラッドストーンは血石(けっせき)と呼ばれ、細かい粒の石英の結晶が集まった碧玉(ジャスパー)の一種です。酸化鉄が含有されているため赤い血のような模様が現れます。グリーン×レッドがクリスマスカラーを連想させますね。
左はメテオライトを使った文字板のモデルRef.118238Aです。使用されているメテオライトは宇宙から飛んでくる鉱石、つまり「隕石」を使用しています。名前の由来はギリシャ語で隕石を意味する「meteoron(メテオロン)」で、天然鉱物で作られているため、同じ模様を持つものは一つとして存在しません。
左はラピスラズリという瑠璃色の天然石を使用した文字板のモデルRef.118238Aです。
吸い込まれそうな濃いブルーが美しく、流通量が少ない為、非常に価値があるといわれています。ラピスラズリは幸運を呼び寄せてくれると言われる人気のパワーストーンです。
デイデイトの高級かつ貴重な「文字板・素材・ベゼル」の組み合わせは、他にもここでは紹介しきれないくらいのバリエーションがあります。
デイデイト注目モデル
デイデイトには歴史が長く、多くの魅力的なモデルが多数存在します。
そんな中でもOwllar編集部で独自に選んだ注目モデル8種類をご紹介します。
①デイデイト Ref.18238A
Ref.18238Aでは、前モデルRef.18038から「カマボコ型」と呼ばれる肉厚なケースだったものが、厚みを抑えたスマートなケースへ変更されています。
ムーブメントも、テンプを片方で支えるシングルブリッジ方式のCal.3055から、左右両方で支えるツインブリッジ方式を採用したCal.3155へ改良されています。ケースは全体的に丸みを帯びたフォルムへと変わり、鏡面仕上げを多用することで高級感を格段に向上させているモデルです。実勢価格はその状態にもよりますが2050万円前後〜となっています。
ケース径36mm・ムーブメントCal.3155・パワーリザーブ48時間・100m防水。
②デイデイト Ref.118238A
こちらのRef.118238Aは人気のイエローゴールドモデルで、8個のダイヤモンドと2個のルビーがセッティングされたブラックダイヤルが目をひきます。
ムーブメントはデイデイト専用のCal.3155を搭載。旧型モデルに比べ鏡面仕上げを多用することで高級感を格段に向上させたモデルです。
実勢価格はその状態にもよりますが300万円前後〜となっています。
ケース径36mm・ムーブメントCal.3155・パワーリザーブ48時間・100m防水。
③デイデイト Ref.118239A
Ref.118239Aは高級なホワイトゴールドやダイヤモンドを使用したラグジュアリーモデルです。上品なシルバーダイヤルで派手さを抑えたデザインに仕上がっています。ムーブメントはデイデイト専用で、左右両方で支えるツインブリッジ方式を採用したCal.3155を搭載。実勢価格はその状態にもよりますが350万円前後〜となっています。
ケース径36mm・ムーブメントCal.315・パワーリザーブ48時間・100m防水
④デイデイト40 Ref.228239
デイデイト40 Ref.228239はケース径40mmで現行モデルの1つです。
現代のトレンドに合わせた迫力のあるフェイスを持ち、圧倒的な高級感を演出します。
ムーブメントにはデイデイト36と同じくCal.3255が採用され、パワーリザーブが約70時間に延長されました。これまでのデイデイトよりも耐衝撃と耐磁性がアップしていることも見逃せないポイントです。実勢価格はその状態にもよりますが690万円前後〜となっています。
ケース径40mm・ムーブメントCal.3255・パワーリザーブ70時間・100m防水
⑤デイデイト Ref.118206
Ref.118206はロレックスデイデイトモデルの中でも、秀逸なカラーリングとデザイン性から高い人気のモデルです。プラチナモデルにのみ展開されているスペシャルカラーのアイスブルー文字板を備え、他のデイデイトと異なり、フルーテッドベゼル仕様ではありません。実勢価格はその状態にもよりますが400万円前後〜となっています。
ケース径36mm・ムーブメントCal.3135・パワーリザーブ48時間・100m防水。
⑥デイデイト Ref.18348A
Ref.18348Aはイエローゴールドを贅沢に使用し、光沢・マットにそれぞれ仕上げられたブレスが見事なバランスで配されています。こちらは華やかなシャンパンゴールド文字板にダイヤインデックスが上品な輝きを添えるモデルです。
実勢価格はその状態にもよりますが500万円前後〜となっています。
ケース径36mm・ムーブメントCal.3135・パワーリザーブ48時間・100m防水。
⑦デイデイトII Ref.218206
Ref.218206は2009年に発表された、ケース径を36mmから41mmへサイズアップし、デイデイトの新たなバリエーションとして登場した「デイデイトII」です。
ケース・ブレスレットには重量感あるプラチナが使用され、他リファレンス同様ブレスレットは専用のプレジデントブレスとなっており、最高峰モデルに相応しい仕上がりとなっています。プラチナ素材のみに使用されるアイスブルー文字板が人気のモデルです。
搭載されているムーブメントCal.3156は、ロレックスが独自開発したパラクロムゼンマイとパラフレックス・ショックアブソーバーを装備し、前ムーブメントCal.3155に比べ耐磁性能・耐ショック性に優れています。実勢価格はその状態にもよりますが950万円前後〜となっています。
ケース径41mm・ムーブメントCal.3156・パワーリザーブ48時間・100m防水。
⑧デイデイトII Ref.218239
Ref.218239はケース・ブレスにホワイトゴールドを使用した、非常に使い勝手の良いモデルです。腕に着けたときにズシリと感じる重量感は最上級モデルならではの感触です。
ゴージャスな印象が強いデイデイトですが、こちらはホワイト文字板とローマンインデックスの組み合わせが上品な印象でビジネスシーンにも適しています。実勢価格はその状態にもよりますが500万円前後〜となっています。
ケース径41mm・ムーブメントCal.3156・パワーリザーブ48時間・100m防水。
最後に
高級素材のみを使用していて特別仕様が多いデイデイト。成功者が着ける時計として申し分ないモデルでしたね。ゴールドやプラチナなど値崩れしにくい素材は資産として購入を検討する人が多そうです。
バリエーションも多く選ぶ楽しみがあるモデルですが、店頭に並ぶ本数には限りがあるとされています。お好みのモデルと出会えたら決断の時かもしれません。
この記事を監修してくれた時計博士
Endo Youkoh
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC 上級ウォッチコーディネーター取得
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 銀座本店 販売スタッフ
1984年生まれ 神奈川県出身 時計業界2017年より
デザイン系の短大を卒業後、23歳で大手セレクトショップに入社。 主にレディースの服飾雑貨の責任者として、店頭接客・MD・VMD業務に携わる。入社10年目を機に更なるステップアップを目指し、高級時計店への転職を決意。2017年にGINZA RASIN入社。
人と話すのが好きで、スーパーポジティブな私は、現在お気に入りのIWC メカニカルフリーガークロノと共に店舗にて販売業務に従事。アパレル業界での経験を生かし、多角的な視点で記事監修を行っている。