ロレックスヨットマスターの注目モデル!価格相場はどのくらい?

監修:Onoda Koichi
2024/02/17

ロレックスヨットマスターは、サブマリーナーの上位機種として1992年に誕生しました。
それまで実用重視で知られていたロレックスで初めてのラグジュアリースポーツモデルです。
クルーザーやセーリングを楽しむセレブをターゲットしている煌びやかなシリーズとして人気です。
ヨットマスターの20種類以上もある系譜の中から、今回は注目モデルを10種類もボリューム満点で紹介しちゃいます!!
注目モデルの魅力や特徴、それぞれの歴史なども詳しく語っていきます。

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ヨットマスターとは

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ヨットマスター「船上での優雅なひと時を楽しむときに着ける腕時計」をコンセプトに開発されました。
ロレックスとセーリング界との深い関係性を象徴するプレミアムスポーツモデルです。
耐久性と堅牢性に優れており、機能性を持ちながらもラグジュアリーな佇まいが印象的な時計で、それまでのロレックスとは全く異なるシリーズになっています。
その誕生までの経緯や歴史、魅力・特徴などについてご紹介します。

ヨットクラブとのつながり

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出典:https://www.rolex.com/

ロレックスの時計は2023年に「SailGP」「52スーパーシリーズ」というヨットレースのオフィシャルタイムピースに選ばれていますが、最初にヨットクラブとパートナーシップを結んだのは1958年で、ヨット界との関係は非常に深いものとなっています。
その当時パートナーシップを結んだのは、ニューヨーク・ヨットクラブで、そこから世界各地のヨットクラブとつながりを持ち、競技セーリングの発展を支援し続けています。
ヨット界との深い関係はロレックスがヨットマスターを発展させるための力となってきました。

 

誕生当時の逸話

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出典:https://www.rolexmagazine.com/

ヨットマスターが誕生したのはエクスプローラーIIの発売から20年以上経った1992年です。
ファーストモデルは富裕層向けと言うコンセプト通り、イエローゴールドのみのラインナップでした。
注目すべきポイントは、40mm・35mm・29mmの3サイズでの発売だったということです。
それまでのロレックスは、スポーツモデルを作る最初のステップはワンサイズのみだったため、
「3サイズ展開」「金無垢」ということはロレックスにとって挑戦ともいえました。

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1991年〜2001年のアメリカは10年間にわたって景気拡張が続き、失業率も低下傾向でした。
この当時、金無垢のペアウォッチを発表したというのはアメリカの経済成長を見越してのことだったのかもしれません。
当時はオーデマピゲのロイヤルオーク、パテックフィリップのノーチラスといった「ラグジュアリースポーツウォッチ(ラグスポ)」も既に存在していましたが、一般のユーザーにこの概念を浸透させるのにも一役買っていることでしょう。

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出典:https://www.rolex.com/

ヨットマスターはただ富裕層向けの時計というわけではありませんでした。
過去にロレックスがおこなってきた過酷な実地での使用にはヨットセーリングで世界一周という偉業もありました。
それは“サー・フランシス・チチェスター”によって、1966年〜1967年におこなわれた「ジプシー・モス4号での単独世界一周チャレンジ」です。
ロレックスの時計とともに先んじて偉業を成し遂げた彼は後に「世界周航の間、私のロレックスウォッチは何度か手首から叩き落とされましたが壊れることはありませんでした。これほど丈夫な腕時計は他に想像できません。甲板で作業をしていた時にぶつけたり波でズブ濡れにもなりましたが腕時計にはまったく問題なさそうでした。」と過酷な環境でのヨットマスターの耐久性を物語っています。

 

特徴的な両方向回転ベゼル

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ヨットマスターはサブマリーナー同様に回転ベゼルを搭載していますが、両方向回転式となっています。
これはヨットレースの際に、細かい計時を行うために素早く秒針や分針に合わせることを目的としています。さらに目盛は、立体的にエンボス加工された独特なデザインです。

 

注目すべき素材

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ヨットマスター高級感をコンセプトにしています。
見た目も大変ラグジュアリーですが、その印象を決める一つ一つの“素材”にこだわりがあります。
ロレックスの中ではワンランク上のラグジュアリーモデルとして、ステンレスのみの時計はラインアップしていません。ロレジウム、ロレゾール、オイスターフレックスブレスレット、どれもロレックスの特徴的な高級素材です。

 

・ロレジウム

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“ロレジウム”は、ロレックスの造語で、ロレックス(ROLEX)+ステンレススティール(SS)+プラチナ(PLATINUM)を組み合わせた高級素材で、上品さと丈夫さを兼ね備えています。1999年からヨットマスター(Ref.16622)のみに使用するようになりました。
シルバーカラーを基調としたシンプルでスポーティーな印象のデザインが多くのユーザーから支持され、日本国内でもヨットマスター人気を一気に高めました。
ヨットマスターロレジウムモデルはケースとブレスレットには実用性が高いステンレススティールを採用し、ベゼルディスク・文字盤にはプラチナをあしらっています。

 

・ダークロジウム文字盤

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ロレジウムモデルとして初代のRef.16622ではシルバー文字盤のみの展開でしたが、2016年には“ダークロジウム”文字盤の「ヨットマスター40 Ref.116622」が登場しました。
「ロジウム」はプラチナに似た白銀色の金属です。耐食性、耐摩耗性に優れ変色にしくいので、時計やアクセサリーなどの装飾品のメッキ素材としてよく利用されています。
「ダークロジウム」は、ロジウム素材を元に、ロレックスが独自に作った新素材の金属です。

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ダークロジウムは角度によって、黒やシルバーに見える独特の光沢のガンメタリック(黒光りしたグレーのメタリックカラー)が特徴で、洗練されていてゴージャスな印象です。
ダークロジウム文字盤は、サンレイ仕上げが美しい文字盤に明るい水色の差し色が映える文字盤で、ロレジウム特有のマットなベゼルとの相性が抜群です。
ダークロジウムの登場によって、さらにヨットマスターは需要を上げることとなりました。

 

・ロレゾール

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ロレゾールはロレジウム同様ロレックスの造語で、ロレックス(ROLEX)+ステンレススティール(SS)+ゴールド(GOLD)のコンビネーションを指します。
高級感のある時計を作る際、ケースからブレスレットまで、すべての素材にゴールドを使うと「価格も高くなるし、重量も重くなる」ということで開発されたのがこのロレゾール(コンビモデル)です。
ステンレスにアクセントとして織り込まれたゴールドが品のある高級感を沿えてくれるので、ヨットマスターの高級感というコンセプトに非常に合致した素材といえます。
ロレゾールを最初に始めたのはROLEX社で、1930年代初頭に採用され、1933年には正式に商標登録されています。

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2015年まではステンレススティールとイエローゴールドのコンビを指す用語でしたが、2016年よりこちらもロレックス独自の金、エバーローズゴールドがヨットマスターに初登場しました。
エバーローズゴールドは、2005年頃から登場したピンクゴールド。従来の18Kピンクゴールドとは異なり、少量(2%)のプラチナを配合することで色の劣化に対する耐久性が増しており、美しい輝きを長く保つことができると人気の素材です。

 

・オイスターフレックスブレスレット

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オイスターフレックスブレスレットは、2015年のバーゼルワールドで発表されたヨットマスターRef.116655とRef.268655に搭載されたロレックス初のラバーベルトです。
超弾性メタルブレード に人工ラバー(エラストマー)をコーティングしている為、ラバーベルトのような見た目になっていることが特徴です。エラストマーとは、「erastic(弾性のある)」+「polymer(重合体)」に由来するゴム弾性工業用材料のこと。

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“オイスター”の名に恥じないメタルブレスレット並みの堅牢性、防水性を確保しています。
通常のラバーブレスの場合、5年も経てば硬化したり、細かなひび割れが出てきますが、オイスターフレックスブレスレットはそれよりも長く美しい状態を維持することができるといいます。さらに快適さや手首での装着感をより高めるために、内部には特許を取得した縦方向クッションシステムを備えています。

 

ヨットマスターの系譜と注目モデル

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出典:https://www.rolex.com/

世界のセレブリティに愛されるヨットマスターにはどのような歴史があるのか、系譜と共に注目のモデルをご紹介していきます。

 

ヨットマスターRef. 16628 :1992年~2013年頃

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Ref. 16628は、それまでのスポーツロレックスとしては異例ともいえるオール金無垢仕様として発表されました。ベゼルまでもがゴールド製で、高級感・重量感がありこれ以降ヨットマスターの大切なデザインコードとなっていきました。

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文字盤カラーは、シャンパン・ホワイト・グレー・ブルーの4色展開。また、シェル文字盤等、さらなるハイエンドラインも存在します。

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2007年以降に製造された個体は、ルーレット刻印(ケースインナーにROLEXのロゴとシリアルを記した仕様)となります。実勢価格は状態にもよりますが260万円〜300万円前後となっています。
40mmサイズのRef.16628とともに、34mmサイズ(ボーイズ)Ref.68628(実勢価格240万円前後)、29mmサイズ(レディース)Ref.69628(実勢価格260万円前後)も同時リリースされています。防水性能は100m、Cal.3135ムーブメント使用、パワーリザーブ48時間。

 

ヨットマスターRef. 68623:1997年~1999年頃

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Ref. 68623は、ヨットマスター初となる、ステンレススティール×18Kイエローゴールドロレゾールモデルでした。1997年のリリース当初は、ボーイズレディースのみがリリースされました。
ムーブメントは、レディースデイトジャストRef.69173などに搭載されてきたCal.2135が用いられることとなりました。
レディースモデルはケース径33mm、ボーイズモデルは35mmと小さめですが、クラシックな雰囲気をお好みの層から人気のモデルです。

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文字盤カラーはホワイト、ブルー、グレー、シャンパンの4色から選ぶことができます。
第三世代 Ref.16622に2年ほどでモデルチェンジとなったため、流通量はそこまで多くはありません。実勢価格は状態にもよりますが80万円〜110万円前後となっています。
防水性能は100m、パワーリザーブ48時間。

 

ヨットマスターRef.16622:1999年〜2012年

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Ref.16622は、以降ヨットマスター人気を牽引することになったロレジウムモデルです。
ベゼル文字盤プラチナを使用し、赤い秒針をアクセントに加えたロレックスらしいハイセンスさが光ります。

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このモデルでもオール金無垢のRef.16628同様、2007年以降の製造個体にはルーレット刻印が採用されています。
10年以上に渡って製造されたロングセラーですが、今なおその人気は衰えていません。
実勢価格は状態にもよりますが130万円前後となっています。

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同年には、ボーイズサイズのロレジウムRef.168622(実勢価格100万円前後)や、ステンレススティール×イエローゴールドのロレゾール仕様Ref. 168623(実勢価格95万円前後)、レディースサイズの同シリーズも併せてリリースされています。(共にCal.2235使用)
防水性能は100m、Cal.3135ムーブメント使用、パワーリザーブ48時間。

 

ヨットマスターRef.16623:2004年~2016年頃

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Ref.16623は、ケース径40mmにステンレススティール×イエローゴールドのロレゾールモデルとしてラインナップされました。
2016年を以て、ヨットマスターからイエローゴールド素材仕様は姿を消していたのですが、従来のヨットマスターファンからは根強い人気を得ています。

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文字盤カラーはゴールドモデル同様、シャンパン・ホワイト・グレー・ブルーの4色から選ぶことができます。実勢価格は状態にもよりますが140万円〜170万円前後となっています。
防水性能は100m、Cal.3135ムーブメント使用、パワーリザーブ48時間。

 

ヨットマスター40 Ref.116622:2012〜2019年頃

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Ref.116622は、2012年バーゼルワールドで発表されたステンレススティール×プラチナのロレジウムモデルです。
デザインは、第三世代のRef.16622を踏襲していますが、随所にスペックアップが図られています。
搭載ムーブメントは変わらずCal.3135ですが、Ref.116622以降はロレックス独自のブルー・パラクロム・ヒゲゼンマイが採用され、従来の十倍も高い耐磁性、そして耐衝撃性を獲得しています。
夜光塗料もクロマライトへと移行し、従来のスーパールミノバに比べて約二倍にあたる8時間発光が可能となりました。さらにバックルとフラッシュフィットも、最新版に移行しています。

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デザイン重視と思われがちなヨットマスターですが、確実に最新スペックへとアップデートされています。文字盤カラーはプラチナベースのシルバーカラーだけだったものが、2012年に発売されたこちらのRef.116622より、ブルーダークロジウムが追加されました。
独自のプラチナ配合によるダークロジウム文字盤はエレガントかつスタイリッシュな印象で、サンレイ仕上げによって角度で表情を変える様も魅力となっています。
実勢価格は状態にもよりますが200万円前後となっています。防水性能は100m、パワーリザーブ48時間。

 

ヨットマスター40 Ref.116655:2015年~2019年頃

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Ref.116655はロレックス初のラバーベルトを搭載したヨットマスターの新シリーズです。
「オイスターフレックスブレスレット」で快適な装着感や耐久性といった実用時計としての側面を強化しただけでなく、ヨットマスター特有の斬新なデザイン性も話題になりました。
同シリーズとしては初のエバーローズゴールドモデルで、マットブラックのセラミックベゼルが使用されています。

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さらにダイアルとラバーで黒基調となった一本の中に、赤いYACHT-MASTERのロゴが目を引きます。実勢価格は状態にもよりますが400万円前後となっています。
防水性能は100m、Cal.3135ムーブメント使用、パワーリザーブ48時間。

 

ヨットマスター40 Ref.126621:2019年 ~現在

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Ref.126621は、ロレックスが「最新世代」と自負する新ムーブメントCal.3235を搭載して誕生しました。このCal.3235によって、従来品よりさらに耐衝撃性と耐磁性がアップし、パワーリザーブが48時間から70時間に延長されました。
リファレンスも1166〇〇⇒1266〇〇へと変化しています。

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なお、エバーローズゴールドの方は変わらずチョコレート文字盤ブラック文字盤の二本柱となっています。実勢価格は状態にもよりますがブラック文字盤が240万円前後、チョコレート文字盤が300万円前後となっています。
また、オールエバーローズゴールドのRef.126655も、そのままブラックのバリエーションを踏襲しています。(実勢価格450万円前後)
近年のディテールとなっている、文字盤の6時位置に印字された、SWISSとMADEの間にロレックスロゴの王冠マークデザインも追加されました。防水性能は100m。

 

ヨットマスター40 Ref.126622:2019年~現在

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Ref.126622は、Ref.126621同様にCal.3235への移行を以て誕生しました。
シルバー文字盤が生産終了となり、スレートまたはブライトブルー文字盤の二択となりました。

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Ref.126621同様に文字盤の6時位置に印字された、SWISSとMADEの間にロレックスロゴの王冠マークデザインも追加されました。実勢価格は状態にもよりますが180万円〜250万円前後となっています。防水性能は100m。

 

ヨットマスター42 Ref.226659:2019年〜現在

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Ref.226659は、2019年のバーゼルワールドで発表されました。
ヨットマスター初のケース径42mm、18Kホワイトゴールドの新シリーズです。
ベゼルにはマットブラックセラクロムを搭載し、インパクトのある印象となっています。
伝統的にヨットマスターにはゴールドやプラチナといった貴金属ベゼルが用いられてきましたがこのマットタイプのベゼルや、耐久性に優れたオイスターフレックスブレスレットのおかけでよりスポーティーで精悍なラグジュアリースポーツウォッチへと昇華されました。

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オイスターフレックスブレスレットはフィット感が高く、バックルにはグライドロックエクステンションシステムが採用されており、クラスプカバーの裏のラック(刻み)により、工具を使わずにブレスレットの長さを約2.5mm単位で最大約15mm延長することができるということも大きな魅力となっています。

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出典:https://www.rolex.com/

文字盤カラーは、ブラックとタイガーアイの1種であるファルコンズアイの2色から選ぶことができます。実勢価格は状態にもよりますが、ブラック文字盤が450万円〜700万円前後、ファルコンズアイ文字盤が730万円前後となっています。
防水性能は100m、Cal.3235ムーブメント使用、パワーリザーブ70時間。

 

ヨットマスター42 Ref.226627:2023年〜現在

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出典:https://www.rolex.com/

Ref.226627は、RLXチタンと呼ばれるロレックス独自のTI(チタン)素材を全面に使用したモデルとして発表されました。
ディープシーチャレンジに次ぐ2番目のチタン製モデルの誕生です。
RXLチタンとはロレックスのグレード5チタン合金のことで、純正のチタンはグレード2に分類されています。チタンは加工がしづらく、なかでも高級腕時計に欠かせない仕上げの難易度が高くなるとされています。他の金属を含有させて合金とすることで、この弱点を克服したのが“グレード5チタン”です。従来はポリッシュ仕上げが基調であった外装でしたが、RLXチタンの素材を活かすためにサテン仕上げへと変更され、スポーティー感溢れる印象へと様変わりしています。

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出典:https://www.rolex.com/

搭載されるオイスターブレスレットもRLXチタン製となっており、ステンレスと比較すると約1/3も軽量化され快適に着用できるようになりました。
実勢価格は状態にもよりますが、700万円〜900万円前後となっています。
防水性能は100m、Cal.3235ムーブメント使用、パワーリザーブ70時間。

 

最後に

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ヨットマスターはロレックスの中でもワンランク上のラグジュアリーモデルとして、厳選された素材のみで作成され、ステンレスのみの時計はラインアップしていないということがわかりましたね。
ゴールドやロレジウムなどこだわりの高級素材を使用しているので資産として購入される方も多いモデルです。
サイズやカラーバリエーションも豊富なので、選ぶ楽しみがあるロレックスでもあります。