「ロレックスと言えばデイトジャスト」。そんな認識すらある人気定番モデル、デイトジャスト 。コレクター心をくすぐるバリエーションが豊富なロレックスです。
今回はメンズデイトジャストのモデル別紹介の第3弾として、「ヴィンテージモデル」や「ポストヴィンテージモデル」についてご紹介していきます。ヴィンテージの風合いが好きという方、これからデイトジャストのヴィンテージモデルに挑戦したいという方はぜひ参考になさってみてください。
デイトジャスト ヴィンテージで選ぶなら
デイトジャストが気になって調べている人の中には「ヴィンテージ」というキーワードに遭遇することも多いのではないでしょうか。(ヴィンテージに明確な定義はないようですが、1970年代~1980年代以前に製造されたものを指すことが多いそうです)
ヴィンテージのデイトジャストは、現行モデルより比較的安価で手に入れることができるので人気があります。ロレックスの型番は数字で表記されますが、4桁のモデルはヴィンテージに分類されます。近年では5桁の一部モデルもポストヴィンテージとして扱われていて人気です。
ヴィンテージロレックスの良さは、今では買えないデザインやモデルであったり、所有者のストーリーやその時代のエッセンスを持っているところ。当時の製造技術や素材の特性により、独特の風合いや経年変化が現れることが「味が出てくる」と言われるゆえんです。
歴代のオーナー達に愛され続けた時計は、着用環境により様々な経年変化を生じ、唯一無二の時計となっていく・・・何ともロマンのある話ではありませんか。また、コンディションの良いヴィンテージは数が少なく、コレクターや愛好家の間では大変人気があります。もし気に入った一本を見つけられたら、二度と出会えない可能性も高いため、前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
ヴィンテージで注目のデイトジャストは?
デイトジャストの第3世代(製造期間が1960年代〜1970年後半頃と長く流通量も多い)と呼ばれている、1970年代のヴィンテージデイトジャストをご紹介します。
第3世代と呼ばれるこのデイトジャストの注目すべき点は、それより以前のレファレンスに比べると、搭載されている1500系と言われる自動巻きムーヴメントがとても優秀なところ。この1500系ムーヴメント自体は何と30年以上にわたって生産されています。
設計変更する必要性を感じないほど、当時安定していてとても優秀だったといえます。さらに、ロレックスの自動巻きムーヴメントの基本設計を確立した時計という意味でも傑作と呼ばれる存在です。
■Ref.1601 ファットボーイ
スペック
素材:ステンレススティール×ホワイトゴールド
ケースサイズ:36mm
1969年頃に製造されたRef.1601。ステンレススティール製のケースとブレスレットを持ち、クラシックで洗練されたデザインが特徴です。ベゼルの放つホワイトゴールドの輝きがシンプルな中にも高級感を感じさせます。
通常よりも幅広の針、インデックスが採用されたダイヤルで、針・インデックスともに中央に溝があるデザインが施されており、ファットボーイ(もしくはワイドボーイ)と呼ばれ、稀少ダイヤルとなっています。
■ Ref. 1603 シルバー/バー
スペック
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:36mm
Ref.1601がホワイトゴールド素材のベゼルに対して、1603はステンレススティール素材となります。縦方向の溝が刻まれたデザインが特徴的なエンジンターンドベゼルを採用しています。(※航空機のエンジンが回転している様子にインスピレーションを受けて作られたベゼルです。)こちらは上記のRef.1601よりもさらに経年変化しており、これぞ高級ヴィンテージといったインパクトがあります。
■Ref.1600 シルバー/バー
スペック
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:34mm
ご紹介するシルバー文字盤の中で最も焼け感があり、ヴィンテージ感があります。革ベルトのモデルもかっこいいですよね。こちらも希少なRef.1600のモデルです。
■Ref.1601 グレーモザイク(リネン)ダイヤル
スペック
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:36mm
こちらは「シルバーモザイク(リネンダイアル)」と呼ばれる細かい布目のような文字盤で、落ち着いた気品を漂わせています。外側が一段下がった立体感のある文字盤で合わせやすい色調から、場所を選ばずお使いいただけるデザインです。
■Ref.1601 バックリーダイヤル
スペック
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:36mm
1970年代から1980年代に製造されたデイトジャスト、デイデイトに採用されたダイヤルです。独特な色合いのブルー×視認性の良いホワイトローマインデックスの文字盤。名称は、ロレックスコレクターでもある宗教家のジョン・バックリー氏が愛用していたことに由来し、海外での評価が高く注目を集めています。
■Ref.1603 ゴーストダイアル
スペック
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:36mm
角度によって、ダイアル表記が見えなくなるゴーストダイヤル。ライトグレーの文字盤であればレターは暗めの色を採用したくなりますが、あえて同トーンのレターを採用することで、コンセプチュアルなデザインになっています。
■Ref. 1600 シグマダイアル
スペック
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:36mm
1960年代から1970年代後半まで製造されていた3rdモデルのデイトジャストです。 6時位置の「T SWISS T」の両脇に文字盤に金などの貴金属が使用されていることを示す表記σ(シグマ)マークがプリントされたものをシグマダイヤルと呼び、現行にはないディティールで希少な文字盤となっています。また、Ref.1600自体も本数が少ないレアモデルです。
まとめ
4桁品番はヴィンテージと呼ばれるに相応しく、経年変化しているモデルが数多く存在します。ヴィンテージ感をより楽しみたい方は4桁品番のデイトジャストがおすすめですが、非常にデリケートなため取り扱いには注意が必要です。特に防水性能に関してはほぼないものだと思ってご愛用されることをおすすめします。
ポストヴィンテージで注目のデイトジャスト
「 ポストヴィンテージ 」と呼ばれるデイトジャスト。はっきりとした定義はありませんが1980年〜2000年位までに製造された時計がそう呼ばれることが多いようです。すでに生産終了している5桁のリファレンスに対して、期待を込めてポストヴィンテージと捉える人もいます。ポストヴィンテージのデイトジャストなら独特の風合いを楽しめ、コンディションも納得できるものが多いという魅力があります。デイトジャストのポストヴィンテージ、おすすめのモデルをご紹介します。
■Ref. 16264 サンダーバード/彫りコンピューター文字盤
スペック
素材:ステンレススティール×ホワイトゴールド
ケースサイズ:36mm
1956年に登場し、「サンダーバード」の愛称で知られるデイトジャストです。空軍のアクロバットチーム「サンダーバーズ」の隊長ドン・フェリス大佐の引退記念モデルとして特別発注されたことに由来し、現代のスポーツモデルの礎となる特徴を多く持つ根強い人気モデルです。このモデルは流通数が少ない 「ブラック彫りコンピューター文字盤」 であることも高ポイントですね。「サンダーバード」自体は「ターノグラフ」の発売とともに生産終了となりました。
■Ref. 16220 タペストリー文字盤
スペック
素材:ステンレススティール×ホワイトゴールド
ケースサイズ:36mm
織物のテープストリー(絵画のような模様の織物)に似た模様を持つ文字盤。模様が刻まれていることで、文字盤に立体感と独特の輝きを与え、光の当たり方によって異なる表情を見せることがあります。さり気ないストライプ柄が高級感と上品さがあり、ポストヴィンテージながらも程よいラグジュアリー感があります。
まとめ
ポストヴィンテージは4桁品番のヴィンテージモデルに比べるとヨレが小さかったり、焼け感もそこまで強くないので、時計自体のコンディションが良いものが多いですね。4桁品番ほどカジュアルになり過ぎずON/OFFどちらでも着用しやすいので、ヴィンテージ感を楽しみつつ、デイリーに使いたい方はポストヴィンテージモデルがおすすめです。
珍しいクォーツのデイトジャスト
ロレックスの現行モデルは「機械式時計」が基本ですが、実は「クォーツ時計」も存在するのはご存知でしょうか。1977年〜2000年頃、ロレックスはクォーツモデルも生産していたんです。その理由は、機械式時計産業にとって大打撃となったクォーツショックです。そのきっかけは1969年にセイコーが世界で初めてクォーツ時計を市販化したことでした。
この時代に「オイスタークォーツ」が登場しましたが、その生産期間は100年以上続くロレックスの歴史の中で20数年でした。ポストヴィンテージモデルの1種類として、珍しい「クォーツのデイトジャスト」をご紹介します。
■Ref.17000 オイスタークォーツ
スペック
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:35mm
こちらは珍しいロレックスの“クォーツモデル”です。角型トノーケースや3連ハードプレートブレスなど、通常のオイスターモデルとは一線を画す魅力的なフォルムが目を惹きます。ラグスポ(ラグジュアリースポーツ)の代表的なモデルである“オーデマピゲ ロイヤルオーク”の様な雰囲気です。
こちらのクォーツは同時期のデイトジャストの自動巻きモデルと外装的にも違っていますね。デイトジャストよりも1mm小さい35mm径のケースを採用し、ケースとブレスをつなぐフラッシュフィット(弓カンとも言う)が無い特徴的なケース構造を持っています。このような“知る人ぞ知る”タイプのデイトジャストもまた心惹かれますね。
最後に
3回に分けてロレックスデイトジャストのバリエーションについてご紹介してきました。デイトジャストは高級時計のスタンダードで、時計業界に与えた影響はかなり大きいですよね。そんなデイトジャストのヴィンテージのモデルは現行にない文字盤やディティールを多数採用しており、非常にこだわることができる時計です。同じモデルでも一点一点コンディションは異なるため、至高の一本を探してみてはいかがでしょうか。
今回紹介したデイトジャストのヴィンテージモデルは実勢価格60万円~から検討することができるので、比較的手が届きやすい価格帯なのも嬉しいポイントですね。
この記事を監修してくれた時計博士
Endo Youkoh
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC 上級ウォッチコーディネーター取得
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 銀座本店 販売スタッフ
1984年生まれ 神奈川県出身 時計業界2017年より
デザイン系の短大を卒業後、23歳で大手セレクトショップに入社。 主にレディースの服飾雑貨の責任者として、店頭接客・MD・VMD業務に携わる。入社10年目を機に更なるステップアップを目指し、高級時計店への転職を決意。2017年にGINZA RASIN入社。
人と話すのが好きで、スーパーポジティブな私は、現在お気に入りのIWC メカニカルフリーガークロノと共に店舗にて販売業務に従事。アパレル業界での経験を生かし、多角的な視点で記事監修を行っている。