ドイツ腕時計の到達点。ランゲ&ゾーネの特徴と魅力を解説

監修:Onoda Koichi
2023/11/27

クラフトマンシップにあふれるマイスターの国、ドイツ。
A.ランゲ&ゾーネは、ドイツを代表する腕時計ブランドです。

時計王国スイス製の名だたるブランドと比肩する名門ブランド、A.ランゲ&ゾーネは、世界五大時計ブランドに数えられます。
A.ランゲ&ゾーネの特徴は、最高品質のムーブメントと美術工芸品のようなデザイン性です。そしてもうひとつ、「グラスヒュッテ様式」と呼ばれる、ドイツブランドを特徴づけるムーブメント造形にあります。

ドイツの腕時計ブランドの筆頭にして、時計業界の五大ブランドの一角をになうA.ランゲ&ゾーネの歴史と特徴、魅力、主要モデルについて解説します。

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A.ランゲ&ゾーネとは?

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出典:https://www.alange-soehne.com/

A.ランゲ&ゾーネは、1845年にフェルディナント・アドルフ・ランゲがドイツのグラスヒュッテに創業した、腕時計ブランドです。
現在のグラスヒュッテは、ドレスデンを州都とするドイツのザクセン州に位置する街ですが、当時はザクセン王国でした。

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現在も、A.ランゲ&ゾーネの本社がある場所は1873年に落成したグラスヒュッテの工房です。
第二次世界大戦終戦直前に空襲を受け、一度はがれきに埋もれてしまいました。
ドイツの歩んだ分断の歴史という長い時を経たのち、街を代表する美しい姿が再現されて今に至ります。

現在はヴィルヘルム・シュミット氏がCEOをつとめ、世界各国に直営ブティックを展開、多くの正規販売店とともに人気を博しています。

誕生から黄金期

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ドイツで腕時計の街といえば、グラスヒュッテ。
グラスヒュッテに時計業界の礎を築いたシーダーもまた、A.ランゲ&ゾーネです。

A.ランゲ&ゾーネを創業したフェルディナント・アドルフ・ランゲは、15歳で天才時計技師ヨハン・フリードリッヒ・グートケスに弟子入りします。
器用な手先と明晰な頭脳に恵まれたランゲは、瞬く間に頭角を現しました。

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師であるグートケスが国王からゼンパー歌劇場に時計を設置するよう命じられた際、ランゲも同行して腕を振るっています。
ゼンパー歌劇場の五分時計は今も当時の様式のままに残されており、それになぞらえたアウトサイズデイトはA.ランゲ&ゾーネの象徴で、特許も取得しています。

その後、ランゲは当時の精密時計生産の中心地であったフランスへ旅立ち、卓越した腕を持つ時計技師、ヨゼフ・タデウス・ヴィンネルに師事します。
ヴィンネルはオーストリア出身の時計技師で、パリ近郊にヨーロッパ屈指の時計工房を構えていました。

ランゲはヴィンネルの許でもめきめきと腕を上げ、工房主任に出世しました。
さらに、フランスを代表するソルボンヌ大学に通って、時計技師に欠かせない知識である天文学と物理学を学びます。

その後ザクセンに帰国したランゲは、師であるグートケスの娘と結婚、また国からマイスター証書を授与されています。

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フランスで当時最先端の技術を学んだランゲは、時計業界に初めて「メートル法」を導入し、正確性の向上に貢献します。
また、銀採掘の街として栄えたグラスヒュッテが資源枯渇のため廃れたこと、そして鉄道の開通により国民の「時間感覚」がより正確性を求めるよう変化したことを受け、ある大きなプロジェクトを考え出します。

それが、「グラスヒュッテをスイスに負けない時計製造都市に変える」地域振興プロジェクトでした。
当時のザクセン国王は「最高のものでなければ良品ではない」という厳しい審美眼を持つ人物で、科学と芸術を奨励したため、科学技術や美術工芸が発達しました。
科学技術と美術工芸の両面を持つ時計製造も国王の庇護を受け、ランゲの地域振興プロジェクトも支援されます。
ランゲは息子や弟子たちとともにグラスヒュッテに移住、世界最高レベルのマニュファクチュール工房を立ち上げました。

~マニュファクチュール~

マニュファクチュールは、時計の心臓部であるムーブメントから自社製造している時計ブランド。

A.ランゲ&ゾーネの「ゾーネ」とは英語のsons、つまり「息子たち」という意味です。
ランゲの長男リヒャルト・ランゲは天才的な科学者でもあり、ベリリウム合金のひげゼンマイなど革命的な技術で27もの特許を取得しています。

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次男エミールの時代には、オスマントルコ帝国への献上品のひとつにA.ランゲ&ゾーネの懐中時計が選ばれるという栄誉に浴します。
献上時計は、今もトルコのトプカプ宮殿宝物庫に収蔵されているそうです。

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しかし、第二次世界大戦と東西ドイツの分断が、A.ランゲ&ゾーネを悲劇の歴史へ巻き込みました。
戦時中、時計工房は軍需産業とみなされ、グラスヒュッテが空爆に遭うのです。
戦後は東西ドイツ分裂で、東ドイツの領土となってしまいます。

東ドイツは共産主義の国、企業は時計工房もすべて国営化されました。
A.ランゲ&ゾーネの職人たちは工房を追われ、西ドイツに亡命したことで、会社は一時休眠を余儀なくされました。

 

復興された新生A.ランゲ&ゾーネ

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A.ランゲ&ゾーネは東西ドイツ分裂とともに休眠に入りますが、ベルリンの壁が崩壊、東西ドイツ統合により目覚めることになります。
まず、創業者のひ孫にあたるウォルター・ランゲと一族が、西ドイツからグラスヒュッテへ帰還しました。
そして、ドイツのマンネスマン財閥によって再興への扉が開かれます。

マンネスマン財閥が、東西ドイツ統合の記念に、ドイツを代表する高級時計メゾン、A.ランゲ&ゾーネの復活を提案したのです。
そこで白羽の矢が立てられたのは、IWCとジャガー・ルクルトを再興した立役者であり、カリスマ経営者として知られるLMHグループ総帥、ギュンター・ブリュームライン氏です。

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LMHグループは当時、マンネスマン財閥子会社のひとつでした。
そこで辣腕をふるっていたギュンター・ブリュームラインもまた、A.ランゲ&ゾーネの再興を強く願っていました。
再興にはランゲ家の末裔が必要だと考えたブリュームラインが探したところ、何とウォルター・ランゲが、マンネスマン財閥傘下の企業でサラリーマンとして働いていることがわかります。

眠りについていたA.ランゲ&ゾーネの運命の歯車が、ついに動き出しました。

1994年、A.ランゲ&ゾーネは「ランゲ1」「サクソニア」「アーケード」「トゥールビヨン“プール・ル・メリット”」の4モデルを発表。
いきなり超高級モデルを少数生産で放ったブリュームラインの計算は、見事成功しました。

その後、ブリュームラインが率いるIWC、ジャガー・ルクルト、A.ランゲ&ゾーネからなるLMHグループが、時計業界の三大コングロマリットのひとつ、リシュモングループに入ります。

~時計業界の三大コングロマリット~

・リシュモン(A.ランゲ&ゾーネ・ヴァシュロンコンスタンタン・IWCなど)
・スウォッチ(オメガ・ブレゲ・ブランパン・ロンジンなど)
・LVMH(ゼニス・ウブロ・タグホイヤー・ティファニーなど)
の三グループ。

現在、リシュモングループでもトップクラスの時計ブランドとして君臨するA.ランゲ&ゾーネは、見事復活を遂げました。

 

A.ランゲ&ゾーネの特徴と魅力

なぜA.ランゲ&ゾーネが世界中の時計ファンに支持されるのでしょうか。
ブランドを語るうえで、欠かせないキーワードは、「質実剛健」「グラスヒュッテ様式」そして「NEVER STAND STILL」
決して立ち止まらないことを信念として掲げるブランドの魅力に迫ります。

 

妥協のないムーブメント製造

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A.ランゲ&ゾーネはマニュファクチュールで、「1モデル、1ムーブメント」にこだわり、新作ムーブメントありきの新モデルという姿勢を貫いています。
時計業界でも屈指の品質を誇るA.ランゲ&ゾーネのひげゼンマイは、キャリバーごとに適合性の高いものが都度開発されます。
スワンネック緩急針や4分の3プレートなど、伝統技術を規格化した功績は、現在のグラスヒュッテに林立するブランド群にも受け継がれています。

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近年、ツァイトヴェルクと呼ばれる瞬転数字式時刻がアウトサイズデイト機構に表示されるようになりました。
ダイヤルの向かって左側に時、右側に分を表示するアウトサイズ窓が配置され、時間が進むと瞬間的に数字が切り替わります。優美さはそのまま、時刻の視認性が格段にアップしました。

時計の発展に貢献してきたA.ランゲ&ゾーネは、今もなお歩みを止めません。高級時計史上初のダブルラトラパントクロノグラフや、ダブルスプリットを凌駕するトリプルスプリットの開発にも成功しています。

徹底した品質管理へのこだわりも、大きな特徴です。A.ランゲ&ゾーネの時計は「二度組み」をしています。
まず、7人の時計技師で組み上げた時計を、分解して洗浄します。制作過程で付着する汚れや水分を完璧に取り除き、最終的に1人の時計技師が2度目の組み上げを行って、完成となるのです。

 

審美性あふれるデザイン

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A.ランゲ&ゾーネの魅力は、芸術品とも称される美しいデザインを形にする技術力です。
無駄なものをそぎ落とした「引き算の美学」が、質実剛健さと独特な気品を生み出しています。「NEVER STAND STILL」、決して立ち止まることなく高い技術を磨き続けるスタイルが、常に革新的なデザインを打ち出す原動力です。

また、1デザイン1ムーブメントのこだわりも、ダイヤルや構造のデザインに大きな幅をもたらしています。

A.ランゲ&ゾーネの造形の魅力を挙げるなら、まずアウトサイズデイトの美しさでしょう。
グラスヒュッテのあるザクセン州の州都ドレスデンにある、初代ランゲが制作に携わったゼンパー歌劇場の5分時計がモデルです。

またランゲ1のように、黄金比を用いることでゆるぎない気品を生み出したデザインも存在します。第二次世界大戦前のドイツで、機能主義や合理主義、質実剛健なモダニズムを体系化したバウハウス造形学校で興った「バウハウス様式」の美学を今に伝えるデザイン文法です。

 

愛好家を魅了する「グラスヒュッテ様式」

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A.ランゲ&ゾーネをはじめ、グラスヒュッテの時計ブランドには、グラスヒュッテ様式と呼ばれる技術・デザイン的な特徴があります。
なかでも、スイス時計と大きく異なるものが「4分の3プレート」です。

スイス時計は3枚ほどに分かれたブリッジで歯車類を固定します。しかし初代ランゲは試行錯誤を繰り返し、4分の3プレートを完成させました。歯車類をまとめて固定して堅牢度を高め、かつホコリなどの侵入を防ぐためにムーブメントを広く覆うデザインで、シースルーバックから見れば違いは一目瞭然です。

軸受けの石は、人工ルビーにゴールドパーツを組み合わせた「ゴールドシャトン」留めをすることで、より美しさに磨きをかけています。
分解しなければ見えない部分にも徹底した美を追求するグラスヒュッテ様式は、質実剛健なケースやダイヤルのデザインと対照的にタイムピースを彩るものです。

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また、ムーブメントに卓越したエングレービングを施す技法も、グラスヒュッテ様式のひとつです。
選び抜かれた職人であるエングレーバーたちは、細やかな草花の模様を金属プレートに手彫りで入れていきます。エングレーバーたちは、彫刻刀を自身の手に合わせて作るところから作業を始めます。何年たっても、施されたエングレービングを見れば、誰が彫ったものか見分けがつくほどのこだわりが詰まっています。

さらに、ムーブメントの素材には堅固な洋銀(ジャーマンシルバー)を使用しています。
一般的には真鍮を使用しますが、洋銀を採用することでパーツ自体の堅牢度が上がり、面取り加工やエングレービング、ペラルージュなどが施されます。
また、グラスヒュッテはかつて銀鉱山で栄え、銀の枯渇で衰退、ランゲ一族の地域振興プロジェクトによって時計の街として活気を取り戻した、銀と関わりの深い土地です。
あえて洋銀を用いて高度な装飾を施すことが、A.ランゲ&ゾーネの信念ともいえるでしょう。

 

A.ランゲ&ゾーネを代表するコレクション

A.ランゲ&ゾーネを代表する、世界中のセレブを虜にするコレクションをご紹介します。
定番となっている4モデル「ランゲ1」、「サクソニア」、「オデュッセウス」、「ダトグラフ」について取り上げました。

 

ブランドの象徴「ランゲ1」

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ランゲ1は、A.ランゲ&ゾーネを代表するアイコンウォッチです。
1994年、4代目のウォルター・ランゲがブランドを再興した際に、リリースされたモデルのひとつです。

瞬転式アウトサイズデイトを搭載し「いかなる時も針が重ならず視認性を妨げない」デザインコードに従っています。ダイヤルには、二等辺三角形を形成するように各表示機能が配置されています。オフセンターかつアシンメトリーのデザインですが、黄金比から算出されたバランスでゆるぎない完璧さを感じさせます。

また、様々なコンプリケーションを搭載したモデルも展開しています。A.ランゲ&ゾーネのなかでも特に人気が高く、愛用する著名人も多い特徴的なドレスウォッチです。

 

ランゲ1・ムーンフェイズ18Kピンクゴールド製 Ref.192.032

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ランゲ1のアウトサイズデイト、時分針を持つメインダイヤル、AUF/AB(英語のUP/DOWN)表示はパワーリザーブです。
以上の3つが基本的なランゲ1のダイヤル構成ですが、メインダイヤルとパワーリザーブを欠くことなく、4時位置に夜空を配したムーンフェイズモデルは秀逸です。

ムーンフェイズはデイ&ナイト表示で、昼間は明るい空が、深夜は天の川を引き連れた月がダイヤルを彩ります。アワーマーカーにも品よく夜光塗料が添えられ、ピンクゴールドのケースがすべてを優しく包み込む、珠玉の作品です。
シースルーバックからは、石が星座のように見える4分の3プレートや、豪奢なエングレービングなどが見られます。

 

上品な意匠をもつ「サクソニア」

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サクソニアは、A.ランゲ&ゾーネが復活を遂げた際に、ランゲ1とともに発表された4つのモデルのひとつです。
サクソニアとは、ランゲの故郷であるザクセン州のことです。質実剛健のA.ランゲ&ゾーネというメゾンを具現化したかのような、シンプルで薄型のドレスウォッチです。必要なもの以外すべてそぎ落とした「引き算の美」の極致で、洗練され尽くした気品にあふれています。
ランゲ1はアシンメトリーのユニークなデザインですが、サクソニアはクラシカルな正統派デザインが特徴です。

バリエーションが豊富で、ムーンフェイズやGMT機能などの複雑機構を搭載したモデルも揃えています。シンプルでシックなサクソニアは、正装、ビジネスシーン、装飾品と汎用性の高い時計です。

 

サクソニア 18Kピンクゴールド製 Ref.219.032

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6時位置にスモールセコンドを置いた2針という、サクソニアの基本的なモデルです。
ピンクゴールド製のケースが優美で、シルバー無垢のダイヤルにマッチしています。
シースルーバックで、サクソニアの基本的ムーブメントの手巻きL941.1を見ることができます。
グラスヒュッテ様式そのままの4分の3プレートや、A.ランゲ&ゾーネならではのエングレービングなど、ファン垂涎のデザインです。

 

スポーティーな魅力に溢れる「オデュッセウス」

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オデュッセウスは、A.ランゲ&ゾーネが誇るスポーツウォッチモデルです。
1994年の復活時ではなく、2019年に発表された新しいモデルですが、開発に10年かかった逸品です。

特徴は、スポーツウォッチのダイヤルにも輝くアウトサイズデイトです。また、A.ランゲ&ゾーネらしく、スポーツウォッチであっても徹底してシンプルかつ上品な点でしょう。シンプルでありながら、サクソニアとはまったく違ったスポーティーな疾走感や爽やかさを感じさせる、繊細なデザイン性も魅力です。

オデュッセウスも完成品では見えないムーブメントの細部にまで、丁寧な装飾を欠かしません。オデュッセウスのテンプ受けには、他のモデルにはないハンドエングレービングが施されており、技術力と工芸美を誇るメゾンの矜持を感じさせます。

 

オデュッセウス チタン製Ref.363.117

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出典:https://monochrome-watches.com/

Watches&Wonders Geneva2022で発表された、チタン製ケースのオデュッセウスです。
アイスブルーと呼ばれる真鍮製のダイヤルは、一般的なアイスブルーよりもグレー味が強く、シュヴァルツヴァルトの奥に眠る湖のような深く静かな色合いです。
静寂を形にしたようなダイヤルに相応しく、チタンケースやブレスの完璧な研磨には一切の妥協がありません。スポーツウォッチでありながらフォーマルにも合わせられる気品、シースルーバックから見える美しいエングレービングがオデュッセウスらしいタイムピースです。

 

最高品質のクロノグラフ「ダトグラフ」

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ダトグラフは、A.ランゲ&ゾーネ復活から5年後の1999年にローンチされたクロノグラフです。ダトとはデイトのことで、12時位置にメゾンの象徴、アウトサイズデイト表示を置いています。

ダトグラフには、クロノグラフの魅力ともいえる「メカニカルな雑然さ」が一切ありません。
サブダイヤルは一般より低めの4時・8時位置に下げられ、アウトサイズデイトとダイヤル上で美しい三角形を描いています。
すべてが機能的で無駄がなく、すっきりと視認性に優れたクロノグラフは、スポーティーでありながらドレスウォッチに通じる品格が感じられます。

世界最高峰の美しさと称えられるクロノグラフの傑作ですが、ダトグラフの真価はムーブメントにあります。
再興からたった5年で発表されたにも関わらず、ダトグラフには世界初のプレシジョン・ジャンピング・ミニッツカウンターアウトサイズデイトフライバック機能が搭載されています。
プレシジョン・ジャンピング・ミニッツカウンターは、クロノグラフの計測誤認を解消する機構です。
積算分針が60秒経過すると、目盛りがひとつ先に進み、正確さを高めます。プレシジョン・ジャンピング・ミニッツカウンターは世界最高難度の機構ですが、A.ランゲ&ゾーネはさらにアウトサイズデイト機能とフライバック機能を付与しています。

フライバック機能は、クロノグラフで再計測をする際に必要なストップ・リセット・リスタートの3手順を、1度のボタン操作だけで行う機構です。この超複雑機構を搭載したムーブメントを、メゾンは完全自社製造によって新作し、目の当たりにした世界中の愛好家から「最高品質の工芸品」と賞賛されました。

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2012年に発表されたダトグラフアップアンドダウンは、プレシジョン・ジャンピング・ミニッツカウンター、アウトサイズデイト、フライバック機能に加え、パワーリザーブを備えたクロノグラフです。

パワーリザーブ表示は全体の調和を一切乱すことなく、むしろ愛らしいアクセントとして加えられています。AUF/AB(英語のUP/DOWN)表示がパワー残量を示し、名前の由来でもあります。

 

グラスヒュッテから世界へ挑み続けるメゾン

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出典:https://www.alange-soehne.com/

みなさんは、A.ランゲ&ゾーネのアイコンとして使用されているアウトサイズデイトが、「25日」を指していることをご存じでしょうか。
これは復活後の1994年、ランゲ1 が初めて発表された10月24日に、アウトサイズデイトが25日を指していたというエピソードによるものです。

写真記事が新聞に掲載される1994年10月25日の朝、ランゲ1は朝刊の日付と同じ日時を堂々と表示して、紙面を飾ったのです。

雪深い廃鉱の街を、世界屈指の時計工業都市へと変えた、A.ランゲ&ゾーネ。
引き算の美学から生まれる気品、革新を止めない技術力、質実剛健な仕事のムーブメントに惹かれるファンは、世界中で増え続けています。