ブランパンは、スイスに古くから存在する時計の谷、ジュウ渓谷にある時計ブランドです。
現存する世界各国の時計ブランドで、最古の歴史を誇ります。
1735年創業で、1755年創業のヴァシュロンコンスタンタンよりも長い歴史を持つ、老舗メゾンです。機械式時計に徹底的にこだわり、数々の名機を生み出してきたブランドです。
今回はブランパンの誇る歴史や魅力、定番コレクションについて解説します。
時計ブランド「ブランパン」とは?
出典:https://www.blancpain.com/
ブランパンは1735年創業の、現存する最古の時計ブランドです。
スイスの時計師・ジャン=ジャック・ブランパンが、ジュウ渓谷の小さな村に開いた時計工房こそ、世界的なメゾン、ブランパンの始まりでした。
世界三大時計ブランドのなかでも、最も古いヴァシュロンコンスタンタンを上回る、300年近い歴史を有します。
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現在、ブランパンの本社はル・ブラッシュに位置しています。
ル・ブラッシュは、オーデマピゲやパテックフィリップなどが本社を構える、スイスでも指折りの時計都市です。
ジュウ渓谷のジュー湖畔にある街で、ル・ブラッシュを含むヴォー州は、ジュネーブで知られるレマン湖畔からジュー湖全域、ヌーシャテル湖に至るまで広がっています。
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ブランパンでは、ブランドマガジン『ル・ブラッシュ便り』を9つの言語で発刊、全世界で10万部が無料提供されています。
ブランパンは、時計業界の三大コングロマリットのひとつ、スウォッチグループ傘下です。
~時計業界の三大コングロマリット~
・スウォッチ(ブランパン・オメガ・ブレゲなど)
・リシュモン(ヴァシュロンコンスタンタン・IWCなど)
・LVMH(ゼニス・ウブロ・タグホイヤー・ティファニーなど)
ブランパンは創業者であるジャン=ジャック・ブランパンの子孫から、変遷を経てスウォッチへと経営が移りました。
代表は、スウォッチの創業者であり、ブランパンのCEOも務めたニコラス・G・ハイエック氏から、ニコラス氏の孫でブレゲのCEOでもあった、マーク・A・ハイエック氏に引き継がれました。
スイス・ジュラ地方から紡がれる伝統と歴史
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ブランパンが創業した1735年は、日本は江戸時代。享保の改革を行った八代将軍吉宗の時代です。
ブランパンが産声をあげた土地は、スイスのジュウ渓谷にある、ヴィルレ村です。
スイスのジュウ渓谷は、時計の谷として知られてきました。
ジュウ渓谷のヌーシャテル州、ヴィルレ村の近くには、「ラ・ショー=ド=フォンとル・ロックル、時計製造業の都市計画」として世界産業遺産に指定された、2つの都市もあります。
ブランパンを育んだジュウ渓谷のあるジュラ地方は、澄んだ空気と水にあふれる自然豊かな土地です。
フランスとの国境にまたがるジュラ地方は、ワインの名産地としても知られています。
風光明媚なジュラ地方の「ジュラ」とは、ケルト語やラテン語で「深い森」を意味します。また、恐竜たちが闊歩していた「ジュラ紀」のジュラも、ジュラ地方に由来します。太古の昔、海の底だったジュラ山脈では、今も数多くの化石が出土しているそうです。
深い森に囲まれたジュラ地方のなかでも、南端に位置するジュウ渓谷は、スイスのレマン湖に近い山間の谷です。
冬場、深い雪に閉ざされるこの土地では、明りが入る屋根裏部屋の窓際で、古くから細工加工が副業として行われ、時計組み立てもそのひとつでした。
真面目で勤勉な人が多い土地柄と、時計の組み立てに最適な風土が合い、ジュウ渓谷は時計製造の土地として発展したのです。
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創業者のジャン=ジャック・ブランパンは、1735年に時計師として登録された記録が、ヴィルレ村に残っています。
この年、ジャン=ジャック・ブランパンは村に小さな工房を開きました。
世界でもっとも長い歴史を歩むことになる、名メゾン・ブランパンの誕生です。
ブランパンの工房がオープンした当時は、まだ農家の副業として、細々と時計が作られている時代でした。
ジャン=ジャック・ブランパンから三代目のフレデリック=ルイ・ブランパンの時代に入ると、大きな変革が起こります。
1815年、フレデリックは初代が築いた工房を、水力発電を利用した近代的なアトリエへ改築しました。
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また、それまで主流だったシリンダー脱進機から、イギリスで誕生したアンクル脱進機を発展させたものを設計し、超薄型の時計を開発しました。
さらに、無理と言われてきた機械式時計の量産化に成功します。
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1830年には、フレデリックの息子エミール・ブランパンが、ヴィルレでも最大の時計マニュファクチュール工場建築に着手しました。
~マニュファクチュール~
マニュファクチュールは、時計の心臓部であるムーブメントから自社製造している時計ブランド。
1926年には、世界初の自動巻き機構ムーブメントの開発にともない、マニュファクチュール工房として製造に携わります。
しかし、1932年には、ブランパン一族が経営陣からいなくなってしまったため、スイスの法律上「ブランパン」を名乗れなくなってしまいました。
会社は元スタッフに買収されましたが、約200年にわたって受け継がれてきた「ブランパン」というブランドは、やむなく休止状態に入ります。
1932年には、オートオルロジュリー(高級時計制作)業界で初めて、女性のCEOが誕生しましたが、社名は「ヴィルレ」のアナグラムである「レイヴィル」となりました。
ブランド名は変わっても、ブランパンの魂と技術力は、脈々と引き継がれました。
フレデリック=エミール・ブランパンが立ち上げたマニュファクチュール工房は、優れたムーブメントや腕時計を生産し続けたのです。
1961年には、将来スウォッチへ成長する「SSIH」と合併し、オメガ、ティソといったブランドの、ムーブメント製造拠点となりました。
ブランパン復興の戦略
世界の時計業界を襲ったクォーツ・ショックの前後にかけて、機械式ムーブメントを手がけていたブランパンは大きな打撃を受け、眠りにつきました。
1983年、ジャック・ピゲと、SSIHのジャン・クロード・ビバーがブランパンを買収します。
ジャック・ピゲは19世紀の希代の時計師・ルイ・エリゼ・ピゲが創設したムーブメント製造メーカー、フレデリック・ピゲの代表を務めていました。
この買収を機に、ブランパンはフレデリック・ピゲと経営をともにし、2010年に正式に統合しました。
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さらに、故郷のヴィルレ村から、ジュウ渓谷にあるル・ブラッシュに拠点を移しました。
1983年の変革こそが、ブランパン復興の嚆矢となったのです。
SSIH傘下の名ブランドで経営手腕を磨いたビバーは、ブランパンの主体をラグジュアリーウォッチ製造とします。
そして復興にあたり、ビバーは「ブランパンの時計に、クォーツ式ムーブメントは一切使用しない」と宣言しました。
ビバーの時代の潮流を読んだ驚きの戦略により、ブランパンは成功の道へと歩みだします。
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ブランパン復活には、6種類の傑作機構「シックスマスターピース」という立役者の存在がありました。
一切クォーツ時計を作らないといった宣言通り、ブランパンを率いる2人の天才は、クォーツブームに沸く時計業界において、複雑機構を搭載した機械式時計の傑作を、6本作り上げたのです。
シックスマスターピース
①コンプリートカレンダー・ムーンフェイズ
②ウルトラスリム
③パーペチュアルカレンダー
④ミニッツリピーター
⑤スプリットセコンドクロノグラフ
⑥フライングトゥールビヨン
1983年のコンプリートカレンダー・ムーンフェイズ発表を皮切りに、ブランパンは複雑機構の名機を、年々世に送り出しました。
シックス・マスターピースは、すべて伝統的な34mmのラウンドケースで、シンプルかつ上品な仕上がりです。
1980年代の終盤までに6本のシックスマスターピースを発表したブランパンは、1990年代に入るとそれらの複雑機構をすべて詰め込んだ、グランド・コンプリケーション1735をリリースします。
1992年には、のちのスウォッチグループがブランパンを買い戻し、スウォッチ創設者のニコラス・G・ハイエック氏がCEOに就任します。
シックスマスターピースは、ブランパンの再興を時計業界へ鮮烈に告げたと同時に、クォーツ時計に向いていた衆目を、機械式時計製造へとふたたび集めるきっかけとなりました。
現在は、機械式時計製造の旗頭ともいえる、ブランパンの価値が再評価され、人気も高まっています。
ブランパンの特徴と魅力
ブランパンは、様々な人々が抱いた機械式時計への熱い想いによって、復興を遂げたブランドです。
また、世界中に熱狂的なファンがいて、誕生から300年近く経った今でも支持されています。
ブランパンが世界中の時計ファンから愛される理由について、紐解きます。
機械式への強いこだわり
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ブランパンは長い長い歴史のなかで、一度もクォーツ式ムーブメントを使用していない、稀有なブランドです。
機械式時計製造に特化したブランドとして、機械式腕時計愛好家から支持されています。
ブランパン復興のリーダーのひとり、ジャン・クロード・ビバーは、復活のための戦略として「機械式時計の再興」に着目しました。
「一切クォーツ時計を作らない」「機械式時計しか作らない」という宣言と、「シックスマスターピース」リリースで、ブランパンは究極の機械式時計ブランドとしての地位を確立します。
現在に至るまで、ブランパンは機械式時計のみを製造し続け、「単純構造のムーブメントは作らない」として、複雑機構を搭載したムーブメント製作にもこだわり続けています。
優れた薄型ムーブメントを作り続けている背景には、ブランパン再興に尽力したもう一人のリーダー、ジャック・ピゲと彼の会社フレデリック・ピゲの存在があります。
フレデリック・ピゲは、パテックフィリップやオーデマピゲなどの雲上メゾンに、自社製ムーブメントを提供してきた、ムーブメント製造の名門中の名門です。
フレデリック・ピゲがブランパンの経営に関わり、統合したことで、ブランパンはフレデリック・ピゲが持つ、素晴らしい複雑機構のノウハウを共有しました。
薄さへのこだわりや、最先端のクロノグラフ技術など、ブランパンに欠かせない機械式時計の技術面、デザイン面に大きく貢献しています。
上品で精細なデザイン性
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ブランパンは、機械式時計へのこだわりのほかに、デザイン性にも強いこだわりをもっています。
ブランパンは、「革新こそ伝統」をコンセプトに掲げ、常に新たな技術や素材への挑戦を続けるブランドです。
機械式時計への絶対的なこだわりと、機械式ムーブメントの機能、デザイン双方へのこだわりが、ブランドの魅力になっています。
また、軍用ダイバーズウォッチや軍用クロノグラフをそのまま踏襲したモデルにおいても、品格と優美さを失わない、デザインコードが特徴です。
どんなに機能性に優れたスポーツウォッチであっても、ビジネススーツやタキシードにしっくり合わせられる、洗練されたエレガンスが、ブランパンのこだわりです。
ブランパンは「一切クォーツ時計を作らない」という、復興時の宣言が有名なブランドです。
実はほかにも「ラウンドケースしか作らない」「1個体は1人の職人が手作業で組み上げる」などのこだわりがあり、それらがブランパンならではの品の良さを生み出しています。
ムーブメントにも精緻なデザイン性が活かされ、シースルーバックモデルから目の当たりにできます。
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さらに、ムーンフェイズのお月様が、ユニークな表情を浮かべている点も、ブランパンならでは。
レディースモデルのお月様は、左頬にほくろがあり、よりセクシーなお顔をしています。
ブランパンを愛した女優、マリリン・モンローがモデルになっていると言われています。
様々な「伝統的な美へのこだわり」を貫きながら、革新的技術を磨き続けている姿勢が、ブランパンらしさと言えるでしょう。
ブランパンを代表するコレクション
現存する、世界最古のブランド、ブランパンを代表するコレクションをご紹介します。
定番のフィフティ ファゾムス、ヴィルレ、エアコマンドの各モデルや、ブランパンのタイムピースが持つ特徴と魅力を解説します。
実用的な機能性を備える「フィフティ ファゾムス」
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フィフティ ファゾムスは、ブランパンを代表するラグジュアリースポーツウォッチで、70年の歴史をもつダイバーズウォッチです。
フィフティは50、ファゾムスは水深を表す古い単位の一種です。
50ファゾムスは約90メートル強で、フィフティ ファゾムスが誕生した1953年頃の、潜水限界深度だったことから、名づけられました。
フィフティ ファゾムスの誕生は、フランス海軍の特殊部隊「コンバットダイバー」の要請がきっかけでした。
1953年にCEOを務めていたジャン・ジャック・フィスターは、ダイバーでもありました。
そこで、特殊部隊の依頼に応えるべく、当時最高の機能を備えたダイバーズウォッチの開発に乗り出したのです。
以降、ドイツやアメリカなどの海軍にも、ダイバーズウォッチとして採用されましたが、クォーツ・ショックなどの影響でいつしか製造も途絶えてしまいます。
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ブランパンの復興後は、1997年に限定モデルとして一度復活しました。
フィフティ ファゾムスの誕生50周年にあたる、2003年にも限定50本で生産されています。
しかし、本格的な復活は、2007年まで待たなければなりません。
リューズガードやインデックス蓄光塗料の改良が行われ、パワーリザーブ5日間を誇る新型キャリバーを搭載し、レギュラーモデルとして登場しました。
フィフティ ファゾムスは、現在人気のあるラグジュアリースポーツウォッチ、ダイバーズウォッチの原型と言われています。
そのデザインには、現代の各ブランドがリリースしているダイバーズウォッチに流れる、源流のようなたたずまいが見られます。
視認性の高さや防水性能など実用的で機能性の高いスタイルに、エレガントかつクラシカルな雰囲気が漂います。
約70年にも及ぶ、ダイバーズウォッチの歴史を持つプランパンは、現在、海洋保全や探査を行っているダイバーや研究者らをパートナーとして支援し、海の保護にも注力しています。
■フィフティファゾムス バチスカーフ 5000-1110-B52A
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フィフティ ファゾムスのなかでも、よりフランクに楽しめる、バチスカーフシリーズです。
バチスカーフとは、スイスの小型深海探査艇の名前で、深海を自由に動き回る能力を持った潜水艇です。
メテオライト(隕石)のような深いグレーのダイヤルには、サンレイ仕上げを施しています。
ベゼルは、ダイヤモンドに次ぐ硬度とされるサファイアクリスタルをドーム状に加工し、さらに驚異の耐久性を持つ「変形しない合金」リキッドメタル ®で目盛りを入れています。
クラシカルな意匠が美しい「ヴィルレ」
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ヴィルレはブランパンを代表するドレスウォッチです。
2002年、マーク・A・ハイエック氏がCEOに着任した年に、リリースされています。
ブランパンが創業した、ジュラ地方のヴィルレ村にちなんで名づけられました。
誕生年は21世紀ですが、ヴィルレには300年近いブランパンの歴史と伝統が、そのまま凝縮されています。
クラシカルかつシンプルでありながら、華を感じさせるラウンドケースやダイヤルには、ブランパンがこだわる品格や美意識が凝縮されています。
グラン・フーと呼ばれる高度な高温焼成エナメルや、伝統的な高級時計の証であるブルースチール針に至るまで研ぎ澄まされた、クオリティの高さがこだわりを物語っています。
正装に華やぎを添える、正統派ドレスウォッチで、持ち主のステータスを輝かせます。
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クラシカルで品の良いケースには、ブランパンが誇る最先端技術や、複雑機構が詰め込まれたムーブメントが搭載されています。
「革新こそ伝統」をコンセプトに掲げるブランパンでは、常に機械式時計の最先端技術を目指し、日夜研鑽が続けられています。
今に至る歴史を持つ工房としては、世界最古のブランパン。
その道のりには、パリを中心とした貴族文化や産業革命、アールヌーヴォー・アールデコなど様々な文化の変遷がありました。
ヴィルレは、それらのエスプリを吸収してきたブランパンの、叡智が散りばめられたタイムピースです。
ちなみに、2020年にモデルが刷新され、より洗練されたシンプルな印象となりました。
また、500以上のパーツを職人が手作業でリンクさせて作る17連のミルマイユブレスレットを採用し、金属とは思えない滑らかな着け心地を実現しています。
■ヴィルレ コンプリートカレンダー 6654 1127 55B
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ヴィルレのデザインコードである、優美なラウンドケースにアプライドローマンインデックス、リーフ型の針を持つコンプリートカレンダーモデルです。
ユニークな表情のお月様が浮かぶ、ムーンフェイズが特徴です。
ほかにも、ポインターデイトの針がぐにゃりとしたサーペント(蛇)型であること、リーフ針はくり貫きの「杼(ひ・シャトル)」型になっていることも、こだわりのデザインです。
また、このモデルは、コンプリートカレンダーの修正装置である「コレクター」を、ラグの下に組み込んでいます。
完璧なデザインを追求した「アンダーラグコレクター」機構です。
軍用クロノグラフを踏襲した「エアコマンド」
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エアコマンドは、2019年にリリースされた、ブランパンのパイロットウォッチです。
ブランパンは、ダイバーズウォッチの源流となった「フィフティ ファゾムス」を世に放ったブランドですが、実はパイロットウォッチでも古い歴史を持ちます。
エアコマンドは近年リリースされた復刻版で、1950年代に、原型である軍用クロノグラフが存在しました。
ブランパンのダイバーズウォッチ「フィフティ ファゾムス」をアメリカ海軍が採用したことで、アメリカ空軍も優れたパイロットウォッチ開発を打診したのです。
フィフティ ファゾムスの性能の高さや、ブランドの圧倒的な実力から指名されたブランパンは、空軍が求める高精度クロノグラフ「エアコマンド」を開発しました。
初代のエアコマンドは、試作品が12本、実際に製作されたものもごくわずかという、大変希少な存在です。
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ブランパンの休眠とともに姿を消したエアコマンドですが、2019年にふたたび脚光を浴びることになります。
復刻版は、威厳すら感じさせる存在感と、軍用クロノグラフとは思えない優美さで、世界の時計ファンを圧倒しました。
1950年代の軍用クロノグラフを忠実に再現したデザインと、現代の先端機能「フライバッククロノグラフ」を搭載した機能性をあわせ持つ、ファン垂涎のモデルです。
■エアコマンド AC02 12B40 63B
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成層圏の空のように深いブルーが印象的な、エアコマンドです。
ダイヤル、ベゼル、ストラップの色が統一され、軍用パイロットウォッチの厳粛さを感じさせます。
フライバッククロノグラフ、タキメーター、50時間のパワーリザーブを備えた2眼クロノグラフムーブメント、F388Bを搭載しています。
落ち着いた金属色が魅力の、チタンケースです。
同じカラーリングですが、地色の金が華やかさを添える、レッドゴールド製AC02 36B40 63Bも人気です。
「革新こそ伝統」最古のブランドの最先端
「革新こそ伝統」をコンセプトに、「機械式ムーブメント、ラウンドケース、手作業組み立て」など、独自のこだわりを貫くブランド、ブランパン。
現存する最古のブランドは、最先端技術を常に模索しています。
クォーツ・ショックを経て、人々が再び機械式時計に魅力を感じ始めた時期、ブランパンが放った伝統的な機械式複雑機構時計「シックスマスターピース」は革新的な試みでした。
ブランパンはこの10年ほどで、43種類以上の新作ムーブメントを生み出しています。
今後も革新を続けながら、伝統を紡いでゆくことでしょう。
この記事を監修してくれた時計博士
Onoda Koichi
一級時計修理技能士取得
高級時計専門店GINZA RASIN 本社 ロジスティック部 商品管理課 主任
1982年生まれ 神奈川県出身 時計業界2005年より
大学卒業後、時計の販売や修理受付を経験した後、修理専門学校に入学。メンテナンスの基本知識を学ぶ。2009年に専門学校卒業後、時計専門の修理会社や国内メーカー、正規輸入代理店で腕を磨き12年以上の時計修理実務経験を経た後、2023年3月より商品管理業務に従事。
なお、国内メーカー在籍時、時計技能競技全国大会に出場した経歴を持つ。