デザインと機能性の融合?ロレックス サブマリーナーの魅力

監修:Endo Youkoh
2023/11/10

 

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ロレックススポーツモデルの中で、高い人気を誇る「サブマリーナー」。
ダイビングツールとしての基本デザインを確立し、長い歳月の中で進化を重ねダイバーズウォッチの代名詞としての地位を確立したモデルです。

オンオフ問わず、つけることができる「洗練されたデザイン性」、300m防水や高精度なムーブメントといった「機能性」を兼ね備えています。
こんなにも優れた時計でありながら、ロレックスの中では比較的手に入れやすいモデルとしても定評があることをご存知でしょうか。

歴史が長く奥が深いモデルということもあって、今回は記事をいくつかに分けてご紹介していきますので他の記事も是非ご参考ください。
今回はサブマリーナーの魅力を伝える大元のまとめ記事として、その歴史や特徴などを中心にご紹介していきます。

 

サブマリーナーの特徴

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サブマリーナーは100年以上前から実用的かつ、魅力的なデザインのスポーツモデルとして人気を集めています。
カレンダーを搭載した「デイト」とカレンダーを持たない「ノンデイト」に大きく分けられます。
1953年にノンデイトが誕生し、その後1969年にカレンダーを搭載したデイトが発売となりました。それ以降(1969年頃〜1989年頃)は、デイトとノンデイトそれぞれ独自路線で展開していた印象です。
両者の特徴と系譜について別記事でご紹介していますのでこちらもご覧ください。

ロレックス サブマリーナーデイトの歴代モデル一覧!初代から現行まで】

【ロレックス サブマリーナーノンデイトの歴代モデル一覧!初代から現行まで

世界初の高い防水性能

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1920年代に“オイスターケース”を発明してから、ロレックスは「防水性」に特化した時計作りをおこなってきました。牡蠣(かき)が硬い殻を備えていることから名付けられた「オイスターケース」は、頑丈さと高い防水・防塵性能を備えたスポーツロレックスの標準仕様となりました。
1926年、ロレックスは世界初の完全防水腕時計「オイスター」を発表しました。
1927年にはイギリスの記者“メルセデス・グライツ”がオイスターを着用してドーバー海峡を泳ぎ、この時計の性能を証明しました。

そして、ライフスタイルの変化にあわせ、防水ケースを発明したロレックスが次に注目したのは、新しい深海潜水のプロフェッショナルたちのニーズを満たす腕時計の設計と開発でした。
そのニーズに応えるべく、ロレックスは1953年に、水深100m(330フィート)までの防水性能を保証した初のダイバーズウォッチ、サブマリーナを発表しました。その防水性は技術の進歩によって高まっていき、初代サブマリーナーの100m防水性から始まり、現在では300mへと大きく進化しています。

以下の比較からもムーブメントやケースの進化によって、防水性能が大きく向上していることが分かりますね。

サブマリーナー:年代別防水性能

・1953年~1965年頃     Ref.6204~Ref.5508   100m防水
・1959年~1970年代頃 Ref.5512~Ref.5517   200m防水
・1989年~2000年      Ref.14060~     300m防水

トリプロックリューズ

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サブマリーナーに使用されている“トリプロックリューズ”は1970年代からサブマリーナーを中心に採用されており、ダイバーズモデルのために開発された三重構造のパッキンを装備した特別仕様のリューズです。パッキンは、チューブ側に2つ・リューズ側に1つ使用されていて、これにより高い機密性を実現しています。

リューズトップにはその証としてロレックスの王冠マークと3つのドットが刻印されています。 また、リューズを包みこむように設計されたリューズガードにより、リューズが抜けたり破損したりするのを防止しています。

 

逆回転防止ベゼル

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“ベゼル”とは、時計の外側に取り付けられているリング状の部品です。
ロレックスのベゼルには一例として、デイトナの場合“タキメーター”という平均時速などを計測できる仕様、GMTマスターだったら短針を独立して操作できる機構を備えることで異なる2カ国の時間表示を知ることができる等という、それぞれそのモデルによって様々な機能がついています。

サブマリーナーのベゼルはダイビング中に経過した時間を正確に計測する為に使用されます。
一般にダイバーズウォッチは100m以上の耐水性能を持つことが要件のひとつとされますが、ISO6425(国際標準化機構 規格)の定めるところでは、「逆回転防止ベゼルを持つこと」とも定義されています。

「逆回転」とは、ベゼルが反時計回りに回転しないようにすることです。ダイバーズウオッチの回転ベゼルは経過時間を測定するために考案されました。つまりどれだけ潜っているのか潜水時間(=酸素が残りどれだけもつか)を把握するためのものです。

潜水中にこのベゼルが誤って逆回転してしまうと、潜り始めた時間が実際よりも後になり潜水時間が短く表示されてしまい大変危険です。そのような事故を防ぐために左にだけ回転できるようにしているのです。

 

ベゼルの素材

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サブマリーナは旧モデルから現行モデルに変わる際にベゼルを「セラミック製」に変更しました。(それ以前はアルミニウム製でした)セラミック製ベゼルの導入時期で言うとステンレスモデルのサブマリーナは、2010年からとなっています。現在のモデル(例えば)Ref.124060は、セラミックベゼル採用モデルとしては「第二世代」にあたります。

ロレックスがベゼルをセラミックにした理由は「傷に強い素材」という点が大きいです。
ベゼルは時計の前面に飛び出しているので、「細かな傷・剥がれ傷」などの傷がつきやすく、目立つパーツでもあります。その点、普段使いでつきやすい擦れ傷に強いセラミックはベゼル部分の素材にはうってつけです。
セラミックは耐久性だけでなく「高級感」も演出でき、綺麗な状態を保つことで時計本来の魅力を損なわずに長持ちさせることができますね。

 

近年の高品質なムーブメント

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サブマリーナーは“自動巻きムーブメント”を搭載しています。
この自動巻きムーブメントとは、時計の動力部分(ムーブメント)の中心におもりを搭載することで、腕を振ればゼンマイが回転する構造となっています。それによってゼンマイを巻き忘れてしまっても、ある程度の時間は動き続けてくれるのです。(Calによってその時間は異なります)このムーブメントも時間の経過と共に進化を遂げています。

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”Ref.116610LN″に搭載されているキャリバーは”Cal.3135″です。

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ノンデイトの”Ref.114060″のムーブメントは”Cal.3130″です。

Cal.31系はスイス公認クロノメーター検査協会(COSC)のテストに合格した高精度の時計にのみ与えられる、クロノメーター認定を受けている高品質なムーブメントです。また、このムーブメントはヒゲゼンマイと呼ばれる「ブルーパラクロム」という特殊な素材から作られていて、「温度変化に強い・磁力に耐性がある」といった特徴があります。

内部機械の細かな調整が可能となっており、定期的にメンテナンスを行えば「半永久的」に精度が保てるムーブメントとして、時計業界における最高のムーブメントの一つと評価され続けています。

前ムーブメント(cal.3000)から31系への主な変更点は以下です。

cal.3000から31系への主な変更点

・テンプを支えるブリッジが1本から2本へ変更された
・ヒゲゼンマイが平ヒゲから巻き上げヒゲゼンマイへと変更された
・マイクロスクリューが、マイクロステラナットへ変更された

さらに2020年には、サブマリーナーデイト・ノンデイトともにCal.32系へ移行されました。(ちなみに前者が”Cal.3235″、後者が”Cal.3230″です。)

 スイス公式クロノメーターの精度基準は、「+6~-4秒/日以内」です。
2015年Cal.3200以降から、その2倍の精度のムーブメントをロレックスが開発し、自社内で高精度クロノメーター(Superlative Chronometer)という精度の規格を設けました。

32系は31系に比べて精度や耐久性、耐磁性と言った実用性がブラッシュアップしました。加えて特筆すべきは、「日付変更禁止時間帯」がなくなり利便性が高まったことです。さらにパワーリザーブは従来の約48時間から約70時間へと大幅に延長しました。

ロレックスの31系は非常に成熟した名機ですが、より現代的なテクノロジーを備えた「新世代ムーブメント」として、Cal.31系から32系へと移行しました。
この高性能ムーブメントを搭載することで、内外ともに隙の無いダイバーズウォッチへと進化を遂げています。

 

オイスターブレスレット

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オイスターブレスレットは、何かにぶつかって勝手に開いてしまうことを防ぐ目的で作られたロレックス独自のブレスレットです。

耐久性にも優れていて、ダイビングスーツの上からでも装着することができます。

また、2008年からは工具を使うことなくブレスレットの長さを調節できる「ロレックス グライドロックエクステンションシステム」も備えるようになりました。

 

素材

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サブマリーナーのケースやブレスレットは素材にステンレススティール、もしくはゴールドの素材を使っています。ロレックスはこのステンレススティールにもこだわっています。
高級時計ブランドのほとんどがステンレススティールに「316L」という素材を使用しています。

これはクロムの含有率が18%と多く、耐触性・耐アレルギー性・強度などに優れた高級素材です。これに対してサブマリーナーに使用されているのは「316L」よりも更に耐蝕性の高い超高級ステンレスである「904L」という素材です。
「904L」はクロム含有量が21%と多く、316L同様、「不動態皮膜」という膜で保護されているので、錆や腐食に強く、金属アレルギーも少ない素材です。

また本来は航空宇宙や化学産業のような先端技術分野で使用されるほど堅牢ですが、さらっとした心地よい感触があり実用性にも十分に配慮されています。

「ステンレス」ではありますが、鉄の配分が50%ぐらいまで減るという、ステンレスとしての定義ギリギリまで鉄以外の物質が配合されている、究極のステンレスです。このステンレスを、ロレックスでは「オイスタースティール 」と呼んでいます。それをロレックスが時計業界で初めて採用したと言われています。定説としては、「90年代頭ぐらいから徐々に使用が始まった」とされています。

時計の素材として扱うには、非常に高価な素材で鍛造コストなども高いため、こだわりのあるロレックスならではの素材といえるでしょう。

 

使用されている夜光・蓄光塗料

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“夜光・蓄光塗料”は日中に光を吸収し、それを夜間に放出する特性があります。
サブマリーナーには、海中のような暗所でも時刻を判断できるよう、主に針やインデックスに塗布されています。使用されている塗料については、初期のラジウムから21世紀に入り開発されたクロマライトまで、系譜があります。ここでは、サブマリーナーに使用されている「夜光・蓄光塗料」について、開発の歴史と共にご紹介していきます。

ロレックスで初めて採用された夜光塗料が「ラジウム」です。放射性物質であるラジウムは、硫化亜鉛と銅を含む顔料に混ぜる事で、放射線が顔料を常時刺激し発光させるという特徴があります。また、放射能の半減期は1600年と長く、顔料の劣化さえ無ければ現在でもその機能を維持できます。
しかし、放射性物質であるラジウムは半減期の長さ、そして製造段階における健康被害の拡大により、1967年にIAEA(国際原子力機関)から、一般・特殊用途問わず、携帯する時計への使用を規制する指針が定められました。
サブマリーナーRef.5508など、ラジウム夜光のインデックスや針が交換されずにオリジナルで残っている固体に関しては、その希少性に注目が集まります。

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続いて使用された「トリチウム」はラジウム同様に放射性物質であり自発光塗料となりますが、その半減期は12年と短く放射線量も少ないため、1960年代から90年代まで長期にわたり製造され、ロレックスでは主に4桁(5桁の一部)のリファレンスを持つモデルで採用されました。
現存するトリチウム夜光の多くは、塗料の劣化によりクリーム色や褐色に変化した色味が特徴で、そのヴィンテージ特有の風合いが多くのファンの心を捉えています。

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次の世代では、放射性物質を含まない、画期的な夜光(蓄光)塗料、「スーパールミノバ」へ切り替えられました。スーパールミノバは、従来の一般的な塗料に対し10倍の明るさ、そして10倍長く光る特徴に加え、素材としても熱や水に強く、半永久的に使用できる安定性・耐久性を持ち合わせています。ロレックスでは1998年頃から採用され、光を蓄えた塗料自体が均一で鮮やかな緑色の発光が特徴的です。

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現行モデルに採用されている「クロマライト」は、発光色は青色、発光時間はスーパールミノバの2倍相当にあたる約8時間です。長時間に及ぶ暗所での作業でも視認性が確保されています。三角形、円形、長方形といったシンプルな形のアワーマーカーと、幅広の時分針により、水中で瞬時に正確な時刻を読み取ることが可能です。また、クロマライトは劣化しにくいという特性も持っており、これまでの夜光と比べてどこをとっても高性能であると言えます。

長時間潜水することもあるダイバーにとって、いつでも時間を確認できる夜光・蓄光塗料は頼もしい存在となることでしょう。

 

個性的なヴィンテージ

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サブマリーナーは誕生してからの歴史が長く、ヴィンテージモデルの中には型番の変更を伴わない多くのマイナーチェンジが行われたモデルも存在します。

同じ製品でも仕様変更によって前期・後期に分けられ、それぞれ異なる評価を得る個体があります。
最古のヴィンテージモデルには、信じられないほど高値が付けられる希少な個体もあり、サブマリーナーはその長い歴史を感じることのできる魅力があります。
ヴィンテージについては別記事で詳しくご紹介していますので、是非ご覧になってください。

クラシックな魅力?ロレックスサブマリーナーの全ヴィンテージモデルをこだわりポイントとともにご紹介!】

最後に

サブマリーナーはクロマライトや、高品質なムーブメント・防水性能など様々な高い機能が備えられています。またデザイン性も兼ね備えており、ロレックスの中でも特に人気が高いモデルです。その歴史の長さから、個性あふれるヴィンテージモデルにも注目が集まってることに鑑みると「何本でも欲しくなる」魅力あふれるモデルと言えるのではないでしょうか。