機械式時計によくあるトラブルと対処法をまとめてみました!

監修:Onoda Koichi
2023/06/16
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機械式時計は日用品でありながらも、趣味性の高い嗜好品としての側面を持ちます。 
多数のパーツで構成された精密・精緻な世界観を好んで、あえてクォーツ式ではなく機械式時計を選択する方は少なくないでしょう。 
しかしながら機械式時計は、この精密さゆえに故障のリスクを抱えていたり、定期的なメンテナンスを必要としたりする側面もあります。 

もっとも適切な取り扱いを心がければ、一生のパートナーとして末永く愛用していくことができるのも機械式時計ならではです。 

この記事では、機械式時計によくあるトラブルと、その対処法をまとめてご紹介いたします。 

※修理事例が発生した場合の相場感を掲載しておりますが、あくまで参考価格となりますこと、ご了承下さいませ。

 

時間が遅れる・止まる

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一般的な現行モデルの機械式時計であれば、日差(1日の進み・遅れの度合い)-10~+20秒程度は許容範囲とされています(もちろんブランドによっては精度を追い込んで、より正確な時刻表示を可能としております)。
とは言え、比較的新しい個体で大きく時間が狂ったり、以前よりも精度が悪いと感じた時は要注意!何らかのトラブルを秘めている可能性があります。 

時計の時間が遅れる・止まる原因はいくつかありますが、もしずっとメンテナンスをしていないのであれば、オーバーホールに出しましょう!
機械式時計のムーブメントは各パーツや歯車が緻密に嚙み合って正しい時を刻みますが、パーツ同士の摩耗を低減するため、潤滑油が差されています。この潤滑油は経年によって劣化します。そのため定期的にオーバーホールを行うことが求められます。このオーバーホールとは、ムーブメントのパーツ一つひとつを分解し、洗浄し、新たに潤滑油を差すという一連の流れです。オーバーホールを行うことが、機械式時計を末永く愛用していく秘訣となります。 

またオーバーホールの際に、技術者は「パーツに劣化や不良がないかどうか」も確認し、必要であれば交換を行います(別途見積となります)。パーツ劣化を放置しておくと、周囲のパーツにまで影響が出てしまいます。こうなってくると、修理費用が思わぬ高額となってしまうことも。 
すなわちオーバーホールは定期メンテナンスといった意味合いのみならず、不具合を事前に察知し、防ぐために欠かせないと言えるでしょう。 

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オーバーホールのスパンはモデルにもよります。 
近年はメーカーの独自構造や高度な潤滑油によって、スパンが以前よりかは延びていると言います。しかしながら3~5年に一度を目安にして頂ければと思います。 
なお、「いつもより時間が著しく遅れる」「ゼンマイが巻き上がらない」「内部から異音がする」等、いつもと違う症状が出た場合は、この時期を待たずにオーバーホールが必要となってくる場合があります。早めに購入店・修理店に持ち込みましょう! 

ただし、オーバーホールが必要なのではなく、単純に「ゼンマイが十分に巻き上げられていない」がゆえに、時間が遅くなったり止まってしまったりする事例もあります。 
ゼンマイはほどけるに従ってエネルギーが弱まっていきますが、トルク(回転力)もこれに比例していきます。そのためゼンマイの巻き上げ不足によって、単純に十分なエネルギーが行き渡らずに、精度が狂ってしまうという事例が珍しくないのです。もし「時間の進みが遅い・すぐ止まる」ということに気づいたら、リューズを使ってゼンマイを優しく、40~50回ほど巻き上げてから使ってみましょう。自動巻きの場合は腕の動きでゼンマイ巻き上げが行われますが、着用時間が短かったり、あまり運動量が多くない場合は十分に巻き上げられない可能性があります。その場合は、やはりリューズを補助的に使って巻き上げを行うと、安定した精度が維持されるでしょう。 

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余談ですが、時計の精度規格として高名なクロノメーターは日差-4秒~+6秒以内を規定していることはご存知の方も多いでしょう。もっとも、これはあくまで「検査時」の精度です。一度オーバーホールを施された個体には適用されないことを知っておきましょう(とは言え、クロノメーター規格に認定されたような個体は携帯精度も良く、経年にも強い傾向にあります)。 

時間の進みが早い

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逆に時間がよく進むようになった。 
これまた様々な原因が考えられますが、まず疑いたいのが磁気帯びです。 

磁気帯びというのは、文字通り機械式時計のムーブメントのパーツが磁化してしまう現象です。とりわけヒゲゼンマイや脱進機などといった時計の心臓部が磁化することで、精度に大きな影響を及ぼします(ヒゲゼンマイは規則正しい収縮・拡張運動を繰り返すことで精度を取っているため、これが乱れると時間が狂ってしまう、ということです)。 
機械式時計の大敵は、しばしば「水」と言われますが、実は「磁気」も同様に脅威です。金属パーツが磁気帯びすることで、正常な動作が妨げられてしまうのです。 

一方で現代社会は磁気で溢れ返っています。スマートフォンのスピーカー部分やノートパソコンにタブレット、ハンドバッグのマグネットにエレベーター等々です。
基本的に磁力は距離に反比例するため、時計と磁気発生源を5センチ以上離していれば問題ないことがほとんどです。「磁気帯びの脅威」や「磁気発生源」について知っておくことが大切です。 
もっとも近年はムーブメントにシリコンなどといった素材を用いることで、磁気対策を行うブランドも増えてきました。これらの「耐磁時計」を使うというのも一つの手ですね。 

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なお、磁気帯びした機械式時計は、専用の脱磁機で磁気抜きが必要です。クォーツ式時計であれば磁気発生源から離すことで解決することが多いですが、機械式時計の場合は放置すると思わぬ不具合に繋がることもあります。磁気抜きだけなら時間はそんなにかかりません。購入店がサービスで対応してくれるケースもありますので、磁気帯びかな?と思ったら一度購入店や修理店に持ち込みましょう! 
ご自身で脱磁機をご購入頂き磁気抜きする方法もありますが、磁気抜きは「磁気で磁気を抜く」という仕組みであるため、余計に磁化させてしまったなどのトラブルを耳にします。なるべくなら専門店にお任せするのがオススメです。 

さらに、磁気帯び以外で「時間が進んでしまう」原因の一つで多いのが、ヒゲゼンマイの不具合です。 

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前述の通り、ヒゲゼンマイは非常に繊細なパーツです。とりわけシリコンが出回る以前は衝撃による変形などが多かったものでした。 
もっとも軽症であればオーバーホールではなく、ヒゲゼンマイの有効長を変えられる緩急針(かんきゅうしん)の調整で直ることも多いです。やはり早めに購入店・修理店にお持ち込み下さい。 

カレンダーが切り替わらない・半目になってしまう

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カレンダーの切り替わりがおかしい場合、日送り車などといった機構自体に何らかのトラブルが発生していることが考えられます。 

この原因として本当に多いのが、「カレンダー操作禁止時間帯のデイト操作」です。 
実はアナログ時計には「カレンダー操作禁止時間帯」があります。ムーブメントにもよりますが、一般的には夜8時~朝4時です。 
一見するとアナログ式時計に午前・午後の概念がないように思えるかもしれません。しかしながらカレンダー機能が搭載されたモデルの場合、カレンダーディスク(日車)が24時間に一度、時計まわりに動くことでデイトが変わる仕組みとなっており、すなわち午前・午後によってこのディスクの位置は異なることがわかります。 
画像のように、ドーナツ型のプレートに1~31日までがプリントされるパーツがカレンダーディスクです。 

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さらにカレンダー操作禁止時間帯について話を進めると、カレンダーディスクを動かすために24時間で一周するパーツが日送り車です。この日送り車の内側のツメが深夜0時頃を境にカレンダーディスク内側の突起に引っかかって押し出すことで、デイトの切り替わりが行われるといった仕組みです。 

ただし、近年多くのモデルでリューズやプッシュボタンを用いた「デイトの早送り機能」が搭載されています。 
このデイト早送り機能の場合、別途早送り車というパーツでカレンダーディスクを一日ずつ送っていく仕組みとなります。すなわち、深夜0時に行われる「日送り車とカレンダーディスクの内側の突起が引っかかっている時間帯」に早送りしてしまうと、この部分がガリっと破損してしまい、一連の不具合に繋がっていくのです。 

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この不具合を起こさないために、カレンダー操作禁止時間帯が設けられ、この時間帯の早送りはご法度となっているわけです。 
デイトの早送りを行う場合は、一度時針を回してみて、カレンダー禁止時間帯に被っていないかを確認しましょう。個人的には同時に「針ズレ(詳細は後述)」もチェックできるお昼の12時に合わせてからデイト切り替えを行うことをお勧めいたします。 

なお、一度カレンダー機構が破損してしまうとパーツ交換・オーバーホールが必要になってきます。思わぬ出費に繋がるので、正しいデイト送りについて知っておきましょう! 

もし「カレンダー操作禁止時間帯に早送りしてしまった」といった場合は、何日か時計の様子を見てみて下さい。見るべきところは「リューズ操作の際、デイトがきちんと切り替わるか?また、デイトの切り替わりの際、ズレはないか?」「デイトが変わり出す時間帯と、切り替わる時間帯が、誤操作をしてから大きくズレていないか(一般的には深夜0時を境に、±10分以内で切り替わります)?」「リューズの感触に違和感はないか?」です。 

※自然運針でのデイト切り替わりモデルの場合は、じょじょにデイトが変わっていくことがあります。

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ちなみに針の逆回しにも注意が必要です!カレンダーディスクを逆回しできる個体もありますが、基本的に歯車は同一方向に回転します。そのため針を逆回しすることで、各パーツに余計な負荷をかけてしまう結果になりかねません。 
一番大切なのは、取扱説明書をよく読んで、適切な操作を行うことですね。 

余談ですが、ロレックスやブライトリング等、カレンダー操作禁止時間帯を撤廃させ、24時間デイト早送りOKのムーブメントを順次標準装備としているブランドもあります。 
技術進歩はユーザーにとって嬉しいところですね! 

時計から異音がする

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「時計の内部から音がする」といったお問合せも、かなり多いトラブル事例の一つです。 

ただし「異音」ではなく、自動巻きのローターが回転することに起因する「シャーシャー」といった音であることも少なくありません。ムーブメントにもよりますが、ローター回転時に大きめの音を出す個体があり、このケースであれば不具合ではなく「仕様」となります。 

ただし「以前よりも音が大きくなった」と感じる場合は注意が必要です。潤滑油が経年で劣化してスムーズな回転をしていない場合があります。 
また、ローターを固定するネジが緩んで裏蓋に接触してしまっていたり、外部からの衝撃でムーブメントが破損してしまった場合のカタカタといった音なども要注意です。 

パーツが外れてしまっていると周囲の不具合や傷の原因になるので、「いつもと違うな」と感じたらすぐに購入店・修理店に相談しましょう!  

針の位置がズレている

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時針や分針、あるいはクロノグラフ針などが12時ちょうどの位置に止まらず、わずかにズレている現象に気づく方もいらっしゃるかもしれません。 
この原因の一つとして考えられるのが、ハカマの緩みです。

ハカマとは、針を取り付けるための筒状のパーツです。 
このハカマが緩む原因は様々で、衝撃や振動はもちろん、経年による金属疲労も考えられます。また、クロノグラフの場合は、リセット時の負荷に起因する劣化もあるでしょう。 

針ズレ自体は精度などに直接影響を与えるようなトラブルではありません。
しかしながら放置していると針が取れてしまって、文字盤やインデックス等を傷つけてしまうことも。
針の取り付け直しのみであれば高額修理とはなりませんが、交換や別作となると10,000円前後~費用が発生してきます。 
定期的なオーバーホールを行っていれば締め直してもらって防げるトラブルということも知っておきたいですね。 

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ただし、時計の秒針がメモリと微妙にズレているのはトラブルではなく、バックラッシュによる仕様の可能性が高いです。 
バックラッシュとはあえて設けられた歯車と歯車の間の隙間です。簡単に言うと歯車同士の回転をスムーズにするための仕様であり、1秒ごとのステップ運針をするクォーツ式時計でわかりやすいかもしれません。 
そのため針ズレだと感じても、メーカーでは許容範囲と判断することもありますので、こちらも知っておきたいですね。 

針が軸から外れてしまった

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針ズレとも通じるところですが、時計に強い衝撃が加わったことで、針が軸から取れてしまうことがあります。また、長年使用していく中で、軸に固定させるための針の穴が広がってしまったことに起因する場合も。 

前述の通り、針が取れてしまうことで文字盤やインデックス等に傷が付いてしまうなど二次災害に繋がります。 
針が外れてしまった場合、使用をいったん止めて、すぐに修理に持ち込みましょう! 

リューズが重い 

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オーバーホールをせずに潤滑油が劣化したり切れてしまったりすると、リューズの巻き上げが極端に重くなる場合があります。この場合、絶対に無理に動かさずに修理に出すことをお勧めいたします。 
なぜならリューズの先端周りなどにサビや腐食が発生している可能性もあるため。無理に力を入れることで、リューズそのものや周辺パーツを破損させてしまうことにも繋がりかねません。 
違和感を覚えたら、一度購入店・修理店に相談しましょう! 
また、リューズで針回しやデイト早送りを行うことで不具合の早期発見となりますので、たまに確認の意味もこめて優しくリューズを操作することをお勧めいたします(ただし必要以上にゼンマイ巻き上げや針回しを行う必要はありません)。 
なお、リューズはゆっくり、かつまっすぐ開け閉めすることも、末永く愛用するためのポイントです。

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さらに付け加えると、内部の劣化を早めたり腐食させたりしないためにも、水・湿気は要注意です! 
「磁気」について前述していますが、「水・湿気」もまた時計にとっては大敵。現行モデルであればその多くがある程度の防水を有していますが、個体によって異なること。また年式を経るにつれてパッキン等が劣化し、購入時の防水性を維持しているとは限らないことから、注意するに越したことはないでしょう。 

「水が入ってしまったかな?」と思った時も、すぐに購入店・修理店に相談すると良いですね。 

リューズが緩い・ゼンマイ巻き上げを行おうとしても空回りする 

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反対にリューズが緩かったり、ゼンマイを巻き上げる手ごたえがない場合も、不具合のサインです。ゼンマイが切れてしまった、あるいはリューズ本体が経年劣化・摩耗してしまうことで、空回りしている可能性があります。 

ゼンマイ切れは経年による金属疲労の他、手巻き時計の「巻き止まり」を無視して強く巻き上げてしまう場合に起こりえます。時計を扱う時は優しく、無理な操作を行わないようにすることが大切です。 

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なお、リューズの緩みは「オシドリ」と呼ばれるパーツの不具合も考えられます。 
オシドリはリューズの巻き芯を固定するパーツで(オシドリに似ていることから、この名前で呼ばれています)、ここの摩耗や破損でリューズが緩んだり、抜けてしまったりする場合があります。 
ネジの締め直しだけなら時間・費用は大きくかかりませんが、パーツ交換が発生するとその分修理金額がかさんできます。 

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ただしジョイント式リューズ(裏蓋とケースが一体型となったような時計に用いられる仕様で、文字盤側からムーブメントを取り出すために、強く引っ張るだけで抜けるリューズのこと)は仕様の場合もあります。 
パテックフィリップ等の一部のブランドでのみ採用されてきた珍しい仕様ですが、こういった時計もあるということを知っておきたいですね。 

ねじ込み式リューズがねじ込めない

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優れた防水性・気密性を担保してくれるねじ込み式リューズ。ダイバーズウォッチのみならず、スポーツウォッチではお馴染みとなっていますね。 

このねじ込み部分は溝が多く、そのためゴミや汚れが溜まってしまいがち。これを放置するとリューズ側とケース側のねじ山が上手にかみ合わなくなってしまい、開放やねじ込みに支障をきたす場合があります。 
重症化するとリューズやパイプを交換しなくてはならず、その費用だけで10,000円以上かかってしまうことも。 

そもそもリューズを開放したまま使用したり放置したりしないことはもちろん、使用後は汚れをセーム革やクロスで優しく拭きとる。たまに歯先のやわらかい乾いた歯ブラシ等で溝をお掃除してあげるといった、お手入れが重要になってきます。 

クロノグラフが作動しなくなった・すぐに止まる 

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時間計測ができるクロノグラフ。非常に人気の機構の一つですね。 
タキメーターベゼルや積算計が搭載されるモデルが多く、レーシーなデザインとなりやすいことも魅力の一つです。 

とは言え3針などと比べるとパーツ点数が多くなる分、不具合の種類も増えるものです。 
そんな中で「クロノグラフが突然作動しなくなった」というお問合せを、よく頂きます。 

この要因も様々ですが、何度か言及しているように、定期的なオーバーホールを行っていなかったために潤滑油が劣化していたり、クロノグラフに関連するパーツ類が不良になってしまっているという事例がかなりあります。 
繰り返しになりますが、定期的なオーバーホールは機械式時計と付き合っていくうえで、必要不可欠ということを知っておきたいですね。 

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なお、プッシュボタン自体が不良を起こしている場合もあります。そのためスタート・ストップ・リセットができないといった現象が起こります。 
このプッシュボタンの不具合、そして前述した内部パーツ不良は、強い衝撃や振動が時計に加わってしまった、あるいは誤った使い方(稼働しているクロノグラフ針を、ストップを介さずリセットしてしまった等)でも起こりうるトラブルです。 
また、プッシュボタン周りの溝に汚れやサビが詰まってしまった結果、押下できなくなったという事例も。 

オーバーホールのみであれば、クロノグラフ機構は民間修理会社で30,000円前後~といった相場感ですが、パーツ交換が発生してくると費用が増していきます(特にプッシュボタンの別作となると、10,000~20,000円以上が上乗せされてしまうことも)。 
機械式時計のみならず全ての精密機器に言えることですが、取り扱いには十分気を付けていきたいですね。 

ガラスが曇っている

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時計のガラスが曇っている場合は、内部への水入りが考えられます。屋内・屋外での気温差によって結露が発生し、一時的に曇った後に自然と消えるといった場合は問題ないことがほとんどです。しかしながら「曇りが消えない」のであれば、すぐに購入店や修理店に持ち込むことを推奨いたします。 

これまた何度か言及しているように、時計にとって水は大敵です。 
手洗い時の水しぶきや雨、あるいは湿気。また身体から発する汗によって時計に水入りしてしまった場合、文字盤・針の腐食の他、内部機械にも影響が出てくることとなります。 
近年では防水性がある程度担保されたモデルが少なくありませんが、経年によって防水性能が落ちている場合もあります。 
日常生活の中で、時計が水にさらされないよう気を付けていきたいですね。 

なお、ガラスをご自身で外すことはお勧めできません。必ず専門家にお任せしましょう! 

水洗いしたら挙動がおかしくなった

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一般的に、100m以上の防水性能を有する時計であれば、水洗いしても問題ないことがほとんどです。 
しかしながらこの時、二点気を付けたいことがあります。 

一点目は、オーバーホールを行っていなかったり年式を経たモデルであったりした場合、購入時の防水性を確保していない可能性が高いということです。 
二点目は、水道の蛇口から出る水にそのままさらしてしまった場合、思わぬ水圧がかかってしまうことです。 

時計を安全に水洗いするには、桶や器などに水を溜めて、やさしく水洗いしましょう。また、外装に水気が残っていると、腐食の原因となります。洗浄後は、しっかりと乾かすことが大切です。 
なお、例えダイバーズウォッチであっても、お湯は厳禁です。蒸気に含まれる小さい粒子が時計に入り込んでしまうためです。 
同時に、超音波洗浄機を用いる場合は、かならずヘッドとブレスレットを外し、ブレスレットのみ洗浄しましょう。 

防水性に懸念がある時計については、購入店・修理店にオーバーホールついでに洗浄してもらうのが一番です。 

まとめ

機械式時計によくあるトラブルと、その対処法についてご紹介いたしました! 

文中でも何度か言及しているように、多くのトラブルが定期的なオーバーホールによって防げるものです。 
このオーバーホールをずっと行わなかったり、不具合を放置したりすると思わぬ高額修理に繋がってしまうので、必ず定期的に行いましょう! 
オーバーホールの推奨期間はメーカーやモデルによって異なりますが、一般的には3~5年に一度です。また、この期間より前であっても、異常を感じたら修理店・購入店に持ち込みましょう。 

さらに「適切な取り扱い」も重要なポイントです。 
機械式時計は非常に精密な設計となっているため、誤った使い方によってすぐに故障に繋がってしまう場合も。ご使用前に取り扱い説明書をよく読む。あるいは購入店で使い方を聞くなどしておきたいですね。 

定期的なオーバーホールと適切なお取り扱いで、末永く愛機と付き合っていきましょう!